呉清源とその兄弟 ―呉家の百年

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000228565

作品紹介・あらすじ

北京の呉家に浣、炎、清源の三兄弟がいた。末弟の呉清源は戦前に来日し昭和囲碁界にその名を響かせるが、祖国との戦争に身を引き裂かれる。日本の大学を出て満州国官吏となった長兄・呉浣は、終戦前夜に台湾に渡るが公職に就けず、アメリカで生涯を終えた。次兄・呉炎は抗日戦争を戦い共産党に入党し、大学教授となる。時代に翻弄された三兄弟を通して日中百年を描くノンフィクション。

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  • 日中激動の時代を生き抜いた呉清源と2人の兄弟の物語。
    日本で学び満州国官吏から台湾、そして米国に渡った長兄の呉浣。共産党に入り、日中戦争、内線、文化大革命を生き抜いた次男呉炎。
    清源は、碁盤の中に宇宙を見出し、精神と日中の「調和(中和)」の理想を追い続けた。
    台湾、中国で英雄。「中国は戦争に日本に勝ったが、それはアメリカの力のおかげだった。日本に勝ったのは、呉清源だけ。」

  • 辛亥革命の前後に4年間に生れた呉清源と二人の兄、呉浣、呉炎の3人及びその3人の妹たちの数奇な人生は有名な宋家の3姉妹にも匹敵するドラマですね。清末期の中国の状況が祖父、伯父、父の歩みの中で語られ、そして3兄弟は呉浣が満州国の官僚から戦後は台湾へ。呉炎は反日の闘士から共産党員、そして大学教授へ。呉清源(本名・呉泉)は14歳の時、囲碁の超天才少年として戦前の日本に日中友好の使命感をも感じつつ来日。日本帰化、日本人との結婚、そしてまた台湾への帰化など。また道教、日本の新興宗教への傾倒と数奇な運命です。天才棋士・呉清源の噂は聞いていましたが、本因坊秀哉、藤沢朋斎、橋本宇太郎、木谷実、高川格、坂田栄男ら有名な棋士たちとの対決における圧倒的な成績は今更ながら驚きであり、中国人たちの間で、真に日本人を打ち負かす英雄となっていった姿もありありと描かれています。82年封切の日中の囲碁の棋士たちを主人公にした平和と戦争を話題とした「未完の対局」という大作映画に感動したことがありましたが、中国人蔑視の日本での活躍は大変だっただろうと思います。改めて日中の不幸な歴史に思いを馳せました。

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