精進百撰

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000233156

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  • 心筋梗塞で、心臓の三分の二が壊死した状態で、長野の山荘で畑を耕し、自ら調理し過ごす日々。
    なぜそのような生活を送ることになったかと言うと、病院の料理が豪勢過ぎたから。(特別室だからね)
    病院での生活ではお腹がすくはずもなく、ほとんどを残してしまったという。
    だから大量の薬と点滴で、自分の心臓を医者に預けるような生活が嫌になった、と。

    そうして山荘の生活をはじめて長く健康に過ごせるのだから、人それぞれにあった生活ってあるのだなあ。
    私はある程度都会じゃないと生きていけないので、山荘暮らしは無理だけど、手を、身体を使った生活をしたいとは思っている。
    できるかどうかはまた別の話。

    精進料理といえ、揚げ物が多いのにびっくり。
    だけど肉や魚を食べないのだから、揚げ物のカロリーくらいは特に問題ないのか。

    出汁をとった後の昆布を梅干しと煮詰める。
    これは作ってみようと思った。

  • 奇跡的に重篤な心筋梗塞から生還し、精進料理をまとめあげた。料理本と違い、料理に対する思いが熱くかたられている。思い出もある。いくつか、私も作ってみた。水上勉のアドバイスが、出来栄えを助け、美味くしあがる。
    塩だけにすべきとか、よく水分をとばすとか、禅寺ですしこまれた者の生と食に対する欲望が、真剣勝負で要をおしえんとする。
    100とあるが、後ろにおまけが沢山ある。
    使われている陶器は角さんの作品で、素晴らしい。
    すみさんを世に出した1冊と思いますが、角さんの作品はさらに進化しています。
    この本は1冊は料理用に、もう一冊は、再読用にしています。

  • 帯表
    独身老人時代の台所読本
    全国百万人心臓病患者に贈る
    15年ぶりの書き下ろし
    カラー写真多数、レシピ付
    帯背
    料理は哲学だ
    帯裏
    この仕事は愉しかった。
    一品ずつつくり終えて、味見する時は格別で、皿や小鉢に盛りあげて、写真家に手渡す時のよろこびは、『赴粥飯法』にも書かれていない心の躍動であった。
    しかも、畑へ出て、収穫、あるいは山を駆け走って掘る、まびくの気分は同じ空気を吸って生きているはずなのに、いつもとちがった。

  • 手本にしたい暮らし方です。まずできませんが、せめて料理だけでも真似したい。

  • 精進料理の本です。が、著者最晩年に暮らした北御牧村(現、東御市)での里山暮らしを知る本でもあります。そして、自然との関わりの中で人生というものを少しだけ考えてみるきっかけになりそうな本です。もちろん、お料理本のコーナーに置いておくのが一番ふさわしいでしょう。

  • 結局、桜守を手に取る前に、自宅本棚にあったこれを読み始めた。作者の生い立ち。今では考えられないが、こういう幼少期の経験が人を生かすことになるということも事実だと思う。

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著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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