瞬間と永遠――ジル・ドゥルーズの時間論

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000234825

作品紹介・あらすじ

20世紀最後の哲学者ジル・ドゥルーズが描いた軌跡には、いつも「時間」の問題が深く刻み込まれていた。『差異と反復』、『意味の論理学』に始まり、『アンチ・オイディプス』を経て『シネマ』、『哲学とは何か』まで、全主要著作を「時間論」として読みきる画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉で述べることと身体が行為することとは、そもそも一致するものではない。そのズレは原則的な問題だ。パラドックスは、つねにこれらのあいだのズレに関わっているのだから。
    こうしたパラドックスを突きつけられることが、ひとが思考をはじめる原初にあるのではないか。ドゥルーズが「出逢い」と呼んでいる事態、思考を強要してくる「出逢い」とは、それ自身、こうしたパラドックス的な自己の生のことではないか。自己の無思考を自己に突きつけ、「思考しえないものの思考」を導いてくること。しかし、矛盾のなかで思考停止に陥るのではなく、まさにそこから思考をはじめていること。
    ひとは奇妙なことをするし、整合性のないことをしゃべる。いい加減なことをして、その奇妙さを自覚させられる。そのとき、ひとは新しいものと出逢っているし、愚鈍さをもって思考を発生させている。このことを明確にしなければならない。そして、そこでの恥じらいと重なる自己の倫理を探らなければならない。

  • 今まで7冊ほどドゥルーズの解説書を読んで、どれも刺激を受けたのですが、本書が一番「未来への予感をはらむ」もののように感じます。例えば同著者の『バロックの哲学』など。
    この本と『差異と反復』、『意味の論理学』の三書を抱えて沈潜したい気持ちもあり。

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著者プロフィール

檜垣 立哉 1964年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。大阪大学名誉教授、専修大学文学部教授。哲学・現代思想。著書に『生命と身体』(勁草書房)、『日本近代思想論』『ヴィータ・テクニカ』(青土社)、『バロックの哲学』(岩波書店)、『日本哲学原論序説』(人文書院)、『ベルクソンの哲学』『西田幾多郎の生命哲学』(講談社学術文庫)、『哲学者がみた日本競馬』(教育評論社)、監訳書にN.ローズ『生そのものの政治学』(法政大学出版局)ほか。

「2023年 『ニューロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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