- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000242493
作品紹介・あらすじ
イラク開戦から四年、米国は、世界はどう変わったか。日本が孤立の危険に直面しつつあるとしたら、その要因は何か。国際政治の現場でいま起きている大きな地殻変動の正体とは?-世界各地を股にかける国際的ジャーナリストが、その圧倒的な情報量と筆力で混迷窮まる同時代の相貌を鮮やかに描き、隘路脱出のヒントを探る。
感想・レビュー・書評
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「週刊朝日」連載エッセイのまとめという性質上、テーマが多岐に渡って精神分裂気味なのは仕方がないけれど、それだけに読み易い。時事的な話題は、時期をずらした今読むと、却って当時の現場感覚を伝えてくれる。
・03年時点では、勝ち誇るネオコンの落とし穴や、イラク・日本の占領を同一視する危うさを書いている。前者は幸いにも続かなかったけど、後者は今(07年)もそう。
・米国の宗教右翼というとネオコンと結んだ超保守、とだけ見ていたけれど、必ずしもそうではなく、宣教等による国際的視野を紹介している。また、宋美齢、アキノ大統領、金大中の対米食い込みにもキリスト教があったとのこと。この辺は気付かない視点だった。
・小泉総理の靖国参拝による中韓外交の破綻と対米一辺倒を、「軍事防衛上の国際主義(同盟)と文化防衛上の一国主義(アイデンティティー)が混在」と表現している。自分の頭の中でまだ明確な形になっていないけれど、これは長期的に考えていく価値がある指摘だと思う。
・最近の米軍はCINCPACよりCENTCOMが出世コースになっている点、制服交流でも米側はビジネスライクになっている点、そしてNSCと国防総省相手の外交が手薄で、特に後者は「国防総省と防衛庁の政策協議と人的交流はきわめて希薄である。それぞれの政策企画部門に、互いにそれぞれのもっとも優秀な政策プロを送り込み、政策企画段階から意見交換する関係になってしかるべきだが、いまはまだ夢物語だろう」とのこと。
・日中韓の相互理解や語学学習の必要性を述べる中で、「日中韓とも国民は相手のことを知らない。それなのに知っているような気になっている。そこに北東アジアの関係の危うさがある。」とのこと。同意すると同時に、自戒を込めたい。
・中国を単なる大陸勢力と見るのではなく、沿海部を日本の海洋戦略の中に組み入れるべきと筆者は言う。それはちと楽観的な気もするが、中国をこの点でどう見るかというのは今後の観察も必要だ。
・筆者は、05年の日本外交を一番悲惨だったと見ているよう。安倍政権・福田政権下で少なくとも対中関係は改善したし、対韓関係も大統領選を経てもっと改善するだろうか。その意味では、タイトルの「日本孤立」は、筆者が心配するほど永続的なものではなく、小泉政権に特有なものだったと見ていいのかな・・・?こんな考えは楽観的過ぎ・・・?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
船橋さんはぼくがちゃんと新聞をよむようになったキッカケの人。
国際コラム、本当に面白い。 -
朝日新聞社の中で唯一まともな人だと思う。俺が総理大臣になったらこの人に外務大臣をやってもらう。