- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000242509
作品紹介・あらすじ
いま公立学校に対して親や社会全体に不信感と不満が広がっている。一番いい学校にするために、「コミュニティスクールや学力テストの結果をどう活用するか」「いい取り組みをどう継続させ、普及させるか」「地域連携イノベーションをどう起こすか」…豊富な事例をもとに検証・提案してゆく。
感想・レビュー・書評
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地域が学校を支え、学校をコミュニティスクール化していく取り組みを紹介。
地域の教育力の大切さについては、最近身をもって感じることが多いです。
大事な研究だと思います。
明日は、著者の金子郁容さんの講演を聴きに行きます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まだ住んでいる地域の小さな学校にも可能性があることを感じました。
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「いい学校」は「いい地域」にあり、また、「いい学校」を作ろうと学校と地域が連携することで「いい地域」も生まれてくる・・・
学校を軸として地域的なつながりを再構成していく、というアイデアには、かなり前から興味を持っていた。
ところが、いざどのように実践していけばいいのかと考えを巡らすと、具体的には何も思い浮かばない。
本書では、「コミュニティスクール」を軸として、いくつかのツールを例示することで、地域が学校と結びつく道筋が、分かりやすく共有しやすいものとして紹介されている。
まずは、学校が聖域化して情報が外部にまったく出てこないことに苦言を呈する。地域から孤立した「専門家たちによる」学校が、「いい学校」になることは考えにくい。
「いい学校」を作る活動を「ソーシャルイノベーション」として捉え、事業として地域の一般人(素人)を巻き込むことで、地域住民に学校を知ってもらう。それは情報公開の流れに他ならない。
一方で、単純な自由化を目指すことで競争を促す市場主義的な考えからも距離を取る。
オープンソースソフトウェア運動に擬えて、「プログラム」を積極的に公開することで、ゼロサムではなくウィンウィンの関係を作り出し、日本中で「いい学校」を作ることができる可能性を示唆している。
ここで重要なのは、「プログラム」は移植可能であり、やる気さえあればやり方を真似ることで誰でもできる、ということだ。
この辺りは、オープンソース運動に明るい人には馴染み深い。
自分の子どもが小学校に通っているという当事者になって初めて、やっとこういうテーマに注目することになったのは、現金に過ぎる気もするが、ド素人の地域住民の一人として、「いい学校」=「いい地域」を作るために、何かやってみたいという気にさせられた。
そういう意味では、本書の目的は十分達せられたことになるのだろう。