日本神話と心の構造

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242660

作品紹介・あらすじ

1965年、河合隼雄はスイスのユング研究所で、日本人初のユング派分析家の資格を得る。その際提出された審査論文は、日本神話について論じた最初の一歩であり、生涯のテーマの原点ともなるものだった。英語原文、エラノス会議講演録、審査会でユングの理解を巡り激論を交わした審査員への手紙など貴重な資料も併せて収録。

感想・レビュー・書評

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  • p255の河合隼雄が次に書きたいテーマは「ヒルコ」(片子)ではなかったか、というサスペンス的な文章が興味を誘った。
    「昔話と日本人の心」1982(p85)に「(ヒルコを)後にとりあげて論じることにしよう」と書きながら、その本の中で『それについて全く論じてないのに気がついた』
    と、「生と死の接点」1989(p248)に述べておきながら、この「生と死の接点」の中でもヒルコに関しての論は突き詰められていなく
    河合神話論の総決算本である「神話と日本人の心」2003でもトーンダウンしている。
    と俊雄さんは述べている。

    しかし、「生と死の接点」では私は十分ヒルコに関して論じていると思う。が、「神話と日本人の心」では「・・・論じるとなると、また、あらたに一書を書くことになるだろう」「それを論じるとなると、一冊の書物になるほどのことだからである」などの思い当たる言葉がある。
    つまり、河合さんは亡くなってしまったが、このテーマは残留していると見るべきだろう。

    今、日本で生きている大部分の人は、核家族した家族で生まれ大人になり結婚して、また核家族をつくり子どもを育てていく、この連鎖である。村の一員となれるイニシエーションもなく、共同体の一員でない個人が一生続く。これはまさしく片子の人生である。では、どうしたら良いのか。
    河合さんは21世紀の課題とか言ってごまかしていることが多いが、ほんとは、防止策、将来像があったのでは?
    河合さんの「未知の書」にはそれが書かれていたはず。国や人種を超越したコミュティーの創造なのだろうか?夢のような話になりそうで、時期尚早の極みである。
    差別は人間の本能のような気もする。差別を乗り越える対策は永遠に続く作業、永遠に続く人類の自己実現の作業なのかもしれない、でまた終わる本だったのだろうか?
    人類の自己実現なら、片子が人類の元型という論にも発展させることができる。
    「未知の書」。読みたかったな~。

  • 天体にも神話にも心にも興味が尽きない!

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