半透明の美学

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 106
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000244619

作品紹介・あらすじ

なぜ「半透明」に注目するのか。そこからいかなる新しい世界が開示されるのか。しかし、そのどっちつかずの両義性にこそ、従来の芸術観を乗りこえる感性と思考の潜勢力が宿っているのだとしたら?アリストテレスをはじめ、聖書、ダンテ、メルロ=ポンティ、ドゥルーズ、ジャンケレヴィッチらの言葉と、リヒター、ドラクロワ、クレー、ベーコン、ジャコメッティ、モランディ、デュシャンなどの"灰色と埃の美術史"との交差点から、知られざる「半透明の美学」が姿を現わす。

感想・レビュー・書評

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  • アルベルティの窓論や、ケプラーのカメラ・オブ・スクラの流れの上では見過ごされてしまっていたソクラテスの「ディアファナース」という概念を元に展開される論はとても独特で面白かった!半透明な星座、かっこいい

  • フランシス・ベーコンに惹かれて存在を知った書。謎めいた描き方の答えが示されているわけではないのだが、あの紗のかかったような画面をヴェールと捉えて「半透明の系譜」のうちに語ることがひとつの解釈に。
    葉脈の表紙と半透明のカバーが心憎し。

  • アリストテレスの「ディアファネス」の概念をヒントに美術史を読み解くもの。

    透明か不透明かという二元論的な思考様式で理解するのではなく、その中間のグレーゾーンを概念に内包してしまうことで、より広範で繊細な議論を可能にする美術史。

  • 透明/不透明で語られてきた西洋美術史を、その中間項的な言葉ー半透明ーによって脱構築を企てんとする試み。
    まあ、ベーコン論が展開されているということで、しかも岡田先生ということで、ほほぉ〜っと読み始めたはいいが、如何せん、美術史にかんしての議論/固有名を知らなすぎる。
    途中から完全に振り落とされた。もうちょい基礎教養を固めてから。

  • 透明でもなく、不透明でもなく、なぜ半透明なのだろうか。限りなくファジーでグレイゾーンに近いこの概念を、あえて持ちだすことによって、いったいこれまでとは違うどんな世界が見えてくるというのだろうか。あるいは、世界がどんな風に違った見え方をしてくるのだろうか。

  • TKC推薦

  • 美学の先生に勧められた本です。
    一度読んだだけでは、難しくて理解し切れませんでした。じっくり読まんといかんなぁ。
    灰色についての言及が特に興味深かった。

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著者プロフィール

岡田 温司(おかだ・あつし):1954年広島県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。現在、京都精華大学大学院特任教授。専門は西洋美術史・思想史。著書『モランディとその時代』(人文書院)で吉田秀和賞、『フロイトのイタリア』(平凡社)で読売文学賞を受賞。ほかに、『反戦と西洋美術』(ちくま新書)、『西洋美術とレイシズム』(ちくまプリマー新書)、『最後の審判』『マグダラのマリア』『アダムとイヴ』(中公新書)、『デスマスク』 『黙示録』(岩波新書)など著書多数。

「2024年 『人新世と芸術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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