マスコミは何を伝えないか――メディア社会の賢い生き方

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000248099

感想・レビュー・書評

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  • 図書館より
    どのような報道被害があるか、からそれの解決の方法をメディアの視点からそして受け手の視点から書いた本となっています。

    実際にメディアで活躍されている方の本なので、報道被害についての話はどれもリアリティがあってなるほど、と思わされました。

    各章で対談が入っているのも面白い。特に実際に報道被害にあった人や、事件被害者の遺族の方との対談は、普段テレビで見るだけで実際取材攻勢に遭ってしまう方の気持ちを考えることがなかったので新鮮でした。

    メディアリテラシーについては本を何冊か読んできた中で、いかにニュースを額縁どおりに受け取るだけでなく、そこから自分は何を考えるかが重要である、ということを考えるようになってきたと思います。

  • いい本だった。
    マスコミが、構造的に「見せたいと思った事実」を伝える手段となることの説明。
    悪意ある報道被害はまったく別物として、悪意がなくても、報道被害者が生まれてしまう経緯。それを、なくしていきたいという個人の考えから、どういうことが出来るのか。どういう取り組みをしているか。世の中ではどういう対応が取られているか。

    報道被害者に聞いた話。彼らが立ち直るまでの歩み。

    地域に生きる市民が自分たちで発信することで、無責任なことを言えないという新しいメディアの現れ。
    マスコミに接触する側も、マスコミは正しいものではなくてスポットライトの中にあるものを伝えるものだ、ということを認識すべきだということ。つまり、鵜呑みにするんじゃなくて自衛すること。普通の市民でさえ、自分が番組を作るという試みをすると、悪意なく、事実を変えて伝えてしまうという「演出」の怖さ。

    防衛であるメディアリテラシーの高め方。
    「マスコミはニュースになることしか取り上げない」だから、デモがあればデモだけを切りとるけれど、「デモをやっていません」とは言わない。「テレビの画面に映っていないこと」を想像することが、大事だということ。

  • どれだけ“真実を伝える”と正義に燃えてがんばっても生じる誤解というのは、実は、個人レベルの中にも生じている。
    自分が観たこと体験したことを友人などに伝えるということの中にすら、意図したこととは違う解釈をされたり誤解されたりという体験が誰にもあるように思うんだよね。
    そんなことから伝えるという技術の限界やら、表現の工夫の必要というのは、ちょっと意識のある人間だと誰もが痛感しているでしょう。
    そういうことの延長に、マスコミのいろんな問題もあるのだということがわかりやすく丁寧に書かれている。
    ゆえに、伝達側だけの問題ではなく、受信側の取るべき態度にも想像を働かせようと。
    これだけインターネットが一般化して、誰もが「発信者」になる時代だと、単純にマスコミのことをバカにできない。
    規模は違えど自分も同じことをやる可能性がある、ということを知るよい1冊だね。
    だからか、私には第3章の市民メディアのことを書かれた章が、かなり興味深かったです。

  • 著者はTBSの社員だと思っていたら、退社後「市民メディア・アドバイザー」という仕事をされているそう。マスコミ関係者の中に著者のような考えを持つ人が広がるのを期待。

  • 読了。最近のマスコミの偏向報道には目を覆いたくなるが、それは情報発信側であるマスコミがかならずしも恣意的に行っているものではなく、結果としてそう伝わってしまったというものも多いということ。そして、偏向報道に惑わせられないように情報受信者側のメディアリテラシーをもっと鍛えることが必要だということ。この2つを特に学べた。数人との対談があるが、これは少し冗長だった。

著者プロフィール

市民メディア・アドバイザー。TBS報道アナウンサー等を経て、TBS「サタデーずばッと」(テレビ)「下村健一の眼のツケドコロ」(ラジオ)等にレギュラー出演中。

「2006年 『どうして勉強するの?お母さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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