民主主義のあとに生き残るものは

  • 岩波書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000248655

作品紹介・あらすじ

インドでは、市場主義とヒンドゥー至上主義が猛威をふるい、人びとの生を脅かしている。しかも民主主義がその暴力を正当化している。同様のことは、世界の至る所で見られるのではないか。そしてまた、各所で起きている小さな抵抗に、これからの希望を見出すことができるのではないか-。注目のインド人作家がしなやかな言葉でつづる政治エッセイ集。ウォール街占拠運動でのスピーチや、初来日時のインタヴューも収載。

感想・レビュー・書評

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  • インドは世界最大の民主主義国家である。しかし、民主主義は完璧ではない。民主主義を支える諸機関が何か危険なものに変わり、搾取する有機体へ。ヒンドゥー原理主義と市場原理主義を携えながら、マオイストやイスラム原理主義と対峙する警察国家。貧富の差は大きく、国家の都合で民衆を逮捕、リンチできる国。民主主義が最低でも、他のどんな主義よりもマシだ、という巧言は時と場合により、当てはまらない。ヒトラーだって選挙で当選したのだから、当たり前だろう。問題は別の所にある。

    彼女が頻りに反対するダム。ダム建設の功罪とは。本著ではデータで示される事はなく、日本に数多く存在し、水害に効果を果たすダムのインドでの不要論の論拠がよく分からない。環境破壊という文字があるが、データが無ければ思想である。思想で論ずるならば、文脈を見抜かねばと、背後を気にする必要がある。インドに詳しく無いため、私の勉強不足だが、この本だけで是非は決められない。
    従い、微妙な読書である。

  • 絶対に読まなきゃ。。。

    岩波書店のPR
    「インドでは、ヒンドゥ・ナショナリズムと市場主義が猛威をふるい、人びとの生を脅かしている。しかもそれらが民主主義によって正当化されている。同様のことは、世界中で起きているのではないか。注目のインド人作家がしなやかな言葉でつづる政治エッセイ集。ウォール街占拠運動でのスピーチや、日本でのインタビューも収載。」
    http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0248650/index.html

  • 民主主義のあとに生き残るものは
    (和書)2012年12月13日 23:13
    アルンダティ・ロイ 岩波書店 2012年8月31日


    柄谷行人さんの書評から読んでみました。図書館にリクエストして購入して貰いました。

    民主主義と新自由主義の名のもとに何が行われているのか?その一端を知ることができる。その世界の中に自分自身が存在していることがなんだか不思議なのだ。いや存在しているのだ。

    自分自身も闘わなければならないと思う。もうとっくに闘っているのかも知れない。

  • 【要約】


    【ノート】

  • ブッカー賞作家がインドにおける至上主義とヒンドゥー至上主義の猛威を厳しく批判し、民主主義が暴力を正当化する根拠になっているなどと主張する政治エッセイ。厳しい内容ですが、ここで述べられているような現実の有無と意味を考えなければならないなあと思いました。

  • こちらの書評
    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2012102800009.html?ref=rss2
    から。

    インドは開発に伴い、多くのムスリムや少数民族が虐殺にあっているという。

    貧富の差が激しくなり、GNPの1/4を100人で所有している、と。
    IT立国だが、高速回線は独占されているらしい。

    途中、虐殺のエピソードが出てくるが、一次資料がないので、事実なのかわからない。
    生きたまま、手足を次々に切り落として、枯れ木の上に胴体を載せて火をつけたって、ほんとかよ……

    あと、規模が。8割は抑圧される民族みたいだけれども。

    しかし日本では確かに報じられてないね……

  • 「世界の縮図」であるインドの実情を読んで絶望的な気持ちになるが、これが対岸の火事とはまったく思えない。日本も同じ縮図の中にいるのか。。

  • 平田さんの投稿で興味をもって。ポスト民主主義の考え方はいろいろあると思いますが、民主主義についても、市場主義についても、自分はあまりにも勉強不足と思い。

  • アルンダティ・ロイ『民主主義のあとに生き残るものは』岩波書店、読了。本書は、大企業(市場主義)ヒンドゥー原理主義(ナショナリズム)が民主主義の名のもとに人々を抑圧するインドの苛烈な現状を告発するインド人作家の政治エッセイ集。この現実はインドだけでなく世界各地で現在進行形のことである。

    アルンダティ・ロイ『民主主義のあとに生き残るものは』岩波書店。進歩と開発は人々に生活の安心をもたらすのだろうか。かつての植民地支配の掲げたその理念は、民主主義世界において「新帝国主義」という形で数倍の悲劇を招来している。本書は、その矛盾に立ち向かう筆者の精神の軌跡となっている。

    アルンダティ・ロイ『民主主義のあとに生き残るものは』岩波書店。筆者は昨年3月、東日本大震災を東京で経験した。初来日時のインタヴューも収載されている。『誇りと抵抗 ―権力政治を葬る道のり』(集英社新書)と併せて読むことで立体的に理解することができる。「インドは世界の縮図」との言葉が重い。

    アルンダティ・ロイが語るインド経済成長の犠牲者たち:Democracy Now! http://democracynow.jp/video/20090928-2

  • HONZ朝会で紹介されて、即買い。うん、良かった。インド好きには。

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著者プロフィール

作家。ニューデリー在住。1997年に長編小説『小さきものたちの神』(DHC、1998年)でブッカー賞受賞。その他の著書に『わたしの愛したインド』(築地書館、2000年)、『帝国を壊すために』(岩波書店、2003年)、『誇りと抵抗――権力政治を葬る道のり』(集英社、2004年)、『民主主義のあとに生き残るものは』(岩波書店、2012年)など。

「2013年 『ゲリラと森を行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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