思想の不良たち――1950年代 もう一つの精神史

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258913

作品紹介・あらすじ

戦争期を経て戦後へ、日本の思想が孕まざるをえなかった転回や倒錯はなぜ生まれたのか。それを世界史的な視点から、また日本思想史に内在する視点から読み解くにはどのような方法が可能なのか。鶴見俊輔、花田清輝、安部公房、きだみのるを中心に、変移を外と内から生きざるをえず、思想的転回を試みた思想家たちをとりあげ、日本の近代を根底から問い直す。

感想・レビュー・書評

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  • 実に軽快に上野俊哉は思想家を/思想を語る。彼自身がかつてジジェクを評した言葉を彼にそのまま当てはめれば、「香具師」の面白みと臭みがある。ドゥルーズやガタリを用いて軽快に問題をあぶり出し、それらを豪腕でまとめあげて料理する。それは面白いのだけれど、一歩間違うと文脈を超えたサンプリングとカットアップに陥り不協和音/ノイズを生み出す恐れがあると思うのだ。いや、上野ならその居心地の悪さもまた醍醐味なのだと言うかもしれないが……私自身ドゥルーズはよくわかっていないので的外れな異論かなとも思うが、上野の読解は有効か?

  • 【由来】
    ・図書館の岩波アラートで

    【期待したもの】
    ・戦争期から戦後へと、日本の転換を生きた思想家たちがはらんだ転回と倒錯とは。鶴見俊輔、花田清輝、安部公房、きだみのるを中心に、思想的転回を試みた思想家たちをとりあげ、日本の近代を根底から問い直す

    【要約】


    【ノート】

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】121.6||U【資料ID】91132529

  • 上野俊哉『思想の不良たち 1950年代 もう一つの精神史』岩波書店、読了。本書は、近代日本の矛盾と葛藤と正面から切り結んだ安部公房、鶴見俊輔、花田清輝、きだみのる)を取り上げ、その思想の可能性を問い直す試み。戦争、メディア、民衆を切り口に、近代という「ずれ」に立ちつづけた四人の不良たちだ。

    彼らは「一つの立場に拘泥し、これに生命を賭ける、ということのばからしさをよく知っている」。だから不良なのだ。律儀に線路を走り続けるのでもなく、脊髄反射的全否定でもない。その苦渋に満ちた逸脱や倒錯の自覚的選択に著者は注目する。

    四人の不良は自己同一性への果敢なき抵抗で共通する。「『正しい』立場が見失いがちなアノニマス(匿名的)な知性の転回と倒錯に身構えてほしい」。現代社会をトランスローカルに俯瞰し、しなやかな知性と批判精神とは何かを学ぶことのできる、格好の一冊。

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著者プロフィール

1962年生まれ。批評家、和光大学教授。専攻は、社会思想史、文化研究、メディア論。主な著書に、『増補版 アーバン・トライバル・スタディーズ』(月曜社、2017年)、『四つのエコロジー:フェリックス・ガタリの思考』(河出書房新社、2016)、『荒野のおおかみ:押井守論』(青弓社、2016年)、『思想の不良たち:1950年代 もう一つの精神史』(岩波書店、2013)、『思想家の自伝を読む』(平凡社新書、2010年)など。

「2024年 『[決定版]四つのエコロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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