戦後日本の国家保守主義――内務・自治官僚の軌跡

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258951

作品紹介・あらすじ

明治から昭和戦前期まで、大蔵官僚と並んで権勢を誇った内務官僚は、敗戦により内務省が解体された後も、その後継官庁で生き延び、日本の支配を担ってきた。彼らは、現役時代は国家の中枢を支え、「天下り」後は「国家の触手」として社会に働きかけた。官僚たちの思想と行動から、日本の支配構造に新たな光を当てた画期的著作。

感想・レビュー・書評

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  • 内務省(元)・自治省の幹部クラスの人事データをもとに彼らの異動ルートや政界への転出、天下りの状況について記したもの。
    政府内のポストで旧内務省系の人物が就任するという慣行で戦後に確立したものが幾つかあるのが興味深かった。また、事務担当の内閣官房副長官は、意外と内務省系とも限らないし、戦後初期は政治家への登竜門としての色彩が強かったのは面白かった。
    ただ、本書は全体的に、情報量の割に深い分析や含意が見えて来なかった。

  • 石原信が内閣官房副長官を退いて1995年に鈴木の後継を狙って都知事選に出たが青島幸雄に敗れたのは、大物自治官僚が知事をする時代の終焉だった。
    戦後の焦土の中から旧内務官僚が目指した国家機構の権威の再建は1970年代後半までに一定の成果をあげた。

  • 戦後日本の支配構造を支えた者たち、その軌跡をたどり、国家保守主義の転換を描く。
    明治から昭和戦前期まで,大蔵官僚と並んで権威を誇った内務官僚は,敗戦により内務省が解体された後も,自治省などの後継官庁で生き延び,日本の支配を担ってきた.彼らは,現役時代は国家の中枢を支え,「天下り」後は「国家の触手」として社会に働きかけた.内務・自治官僚たちの思想と行動から,日本の支配構造に新たな光を当てた画期的著作。(2013年刊)
    ・はじめに
    ・第1章 内務官僚の系譜
    ・第2章 中央・地方政治への転身
    ・第3章 戦後の準国家機関の再生
    ・第4章 準国家機関の増殖と天下りの拡大
    ・おわりに
    ・人名索引

    期待していたほど面白くなかった本。第1章、第2章ともに良く調べてはあるが、目新しさは感じなかった。第3章は面白い。天下りポストを分析し、官庁所管の法人を準国家機関として位置づけ分析を行っている。第4章は単に天下り批判にとどまっている感じがして不満がある。
    おわりには、読んでいて意味がわからなかった。各章をまとめると、このような結論になるのだろうか。著者の言わんとしている事はわからないでもないが、結論が飛躍しているきらいがある。
    押さえなければいけない文献が、押さえられていないと思われる部分もあり、画竜点睛を欠いた感じがする。

  • かつて戦前日本の中枢を担っていた内務官僚は
    戦後も自治省・厚労省など官僚として国家保守主義を担ってきたと結論づける。

    →1970年代後半から内務官僚が宮内庁中枢や政務官として登用されるようになった。

    官僚制はトップ人事の制度化をすることで権威付けと自律性の確保を図るようになる。

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著者プロフィール

中野 晃一(なかの・こういち) 1970年生まれ。東京大学文学部哲学科、英国オックスフォード大学哲学・政治コース卒業。米国プリンストン大学で博士号(政治学)を取得。上智大学国際教養学部教授。現在は学部長。専門は比較政治学、日本政治、政治思想。主な著書に『戦後日本の国家保守主義―内務・自治官僚の軌跡』(岩波書店、2013)、『右傾化する日本政治』(岩波新書、2015)、『つながり、変える私たちの立憲政治』(大月書店、2016)、『私物化される国家―支配と服従の日本政治』(角川新書、2018)、『噓に支配される日本』(共著、岩波書店、2018)ほか。

「2019年 『野党が政権に就くとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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