がんのお姫様

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著者 : 海老原暁子
  • 岩波書店 (2013年10月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000259200

がんのお姫様の感想・レビュー・書評

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  • ちょっと変わったタイトルに、少女趣味のような表紙のデザイン。だが、中身を読めば、ちょっとマッチョで頗る元気な女性の書いたがんの闘病記である。

    東京近郊の裕福な家庭に生まれ、不自由なく育った環境を自分はお姫様だったと最初に書いている。しかし、読み進めていくと、ジェンダー主義、フェミニズムに目覚め、二度の結婚を経て、三人の子供を育て、職業婦人として忙しい人生を送り、周囲のしがらみにとらわれず、気高く自立する自分をもう一度「お姫様」と捉え直している。

    自分よりも進んだ病勢での闘病開始で、再発、再再発もしている。闘病記と言ってしまったが、治療の様子などの光景よりも、むしろ病院外での日々過ごしてきた生活や、休職中の職場との関係、家族とのしがらみ、などの光景の方にページが多く割かれている。がんの種類が違うので、治療などが違う部分もあるが、同じ病院にかかっている親近感を覚えた。

    抗がん剤治療の副作用の辛さなど、大変なしんどい体験が綴られているが、文体も勢いがあるし、家族と一緒に、常に前向きに毎日を過ごしている様子には、元気がもらえた。

    抗がん剤の功罪を謳う本もあるし、代替療法も世の中には数多あるし、がんとは闘うな、共生すると考えるべきだという説もある。正直、がん患者にとってはどの情報に寄り添うのがよいのか本当に迷う。しかし、本書を読むと、やはり抗がん剤による治療は避けられない、と思うし、がんと共生するという考えも、一定部分は肯定するところもあるが、やはり、闘わなければ、年という単位で存命期間を延ばすことはできないだろうな、と思った。

    自分の存命期間はたぶん、あと数か月、ということはないが、おそらくあと数年、というところではないかという気がする。それでも、今はそれほどそれが怖いことでも、悲観することでもないと思っている。残された期間を、できるだけ充実させて、面白く楽しく生きられることを願うだけである。

    自身の宗教観について、どの宗教にも依らず、最後は「うすぼんやりと、穏やかな野辺送りを望む」と書かれているが、その死生観にはとても共感する。

  • ジャケ買い。あとどこかで読んだ、「仕事にまい進してきた女性ががん宣告をされたとき、これまでの人生で成し遂げた一番大きなことは、3人の子どもを育てあげたことと思った」というくだりに魅かれて。巷にあふれる自分語りのがん闘病記ではなく、女性一代記としても面白いものを、という著者の思いは実っていると思う。仕事、家庭、病気・・・人生は色々ある。パワフルでユーモアを忘れない姿勢は見習いたい。ご冥福をお祈りします。

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    闘病・体験記 : WP322/EBI : 3410156708

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海老原暁子の作品

がんのお姫様はこんな本です

がんのお姫様の作品紹介

跡取り娘の立場を捨て、子連れ再婚した著者は、とある短大の教員として超多忙な日々を送っていた。そこに突然やってきたのはほぼ手遅れのがんとの宣告。さあて、困った。再婚家族のビミョーなバランスはどうなる?仕事はクビ?何よりどうすりゃ生きられる?「戦うお姫様」として開き直りを決めた中年フェミニストのユーモアエッセイ。

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