渡良瀬

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 65
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000259408

感想・レビュー・書評

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  •  渡良瀬川は、足尾鉱毒事件で死に、今またコンクリートと水門で死につつある。渡良瀬遊水地は栃木、群馬、埼玉、茨木にまたがっている。東北本線古河駅の近く、平塚電機製作所に勤務する南條拓28歳の物語。電気工の仕事ぶり、妻と3人の子供たちとの暮らしがとても丁寧に描かれています。時代は昭和の終わり、平成に移る前の頃。377頁、大作だと思います。佐伯一麦「渡良瀬」、2013.12発行。

  • 几帳面な描写が、ちょっとくどいと思うところもあるが、これが作者の人柄を感じさせるスタイルなのだろう。事件らしいこともない日常が生き生きと描かれているのがいい。

  • どこにでもあるような毎日をモノクロでも淡々と描写してる。ズッシリした大作。20180423-58

  • 2014/9 この本は何?小説?日記?観察記?でも印象に残る不思議な本です。配電盤作る描写と日常の姿が淡々と描かれて、盛り上がりも何もない本なんだけど…

  • 時は昭和から平成へ。
    南條拓は家族と共に茨城県の古河へと移り住む。
    配電盤の製造工場での仕事内容など、何気ない日常が描かれている。
    「この土地に越してくる気になったのも、そもそも近くに川があると思ったからだった」拓は渡良瀬の水辺へと向かった。
    その川は一度死んだ。
    明治時代に足尾の古河鉱業の製銅所が渡良瀬川に鉱毒を流したからだ。
    川が持つ歴史も書かれている。
    南條拓一家を見ていても、生きて行くのはしんどいと感じるし、苦しい事の方が多い。
    でも、先が気になり最後まで止まる事なく読み進めた。

著者プロフィール

1959年、宮城県生まれ。84年、「木を接ぐ」により海燕新人文学賞、91年、「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、「遠き山に日は落ちて」で木山捷平文学賞、『鉄塔家族』で大佛次郎賞、『山海記』で芸術選奨・文部科学大臣賞文学部門を受賞。ノンフィクションに『アスベストス』、エッセイに『Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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