正義への責任

  • 岩波書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000259637

作品紹介・あらすじ

構造的不正義はいかに生まれ、いかに維持されるのか。そして、正義への責任を果たすにはどうすればいいのか。こんにちの政治の核心を突く主題を、ロールズ、アーレント、ファノンらの議論を駆使して論じ、「社会的つながり」のなかで、罪ではなく責任を担うことを提唱する。本書は、現代最高の政治哲学者の一人、アイリス・マリオン・ヤング(1949‐2006)が病のなかで執筆に打ち込み、遺作となった彼女の主著である。哲学者マーサ・C.ヌスバウムが、ヤングの人物像を語るとともに、本書について解説した緒言を収めた。

感想・レビュー・書評

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  • この世界に生きる私たちは皆、複雑に絡み合う行為によって、構造的不正義、すなわち貧困や抑圧、疎外、差別などを作り出し維持する一因を無意識に担っている。私たちはその事実を自覚し責任を負うべきだという筆者の主張に納得した。それが正義への責任を果たすということに繋がるのだということを理解した。

  • 本書は、アメリカの政治哲学者アイリス・ヤングの遺稿にして初めて翻訳されたもの。おもに貧困や格差問題に関して「自己責任論」が跋扈するようになった現代において、ヤングは、明らかに過失責任を課せる者がいない構造的不平等に対して、人びとを向き合わせるためにいかなる動機づけがなし得るかを検討している。本書で提起されているのが、「社会的つながりモデル」である。構造という社会的プロセスは、意図していなくても誰もが行為を通じて生産・再生産している。そして、そうした社会的プロセスが、ある特定の立場や状況に置かれた人びとに対して、とくに不利になるように作用してきた/しているのならば、すべての人に公正なものになるよう、私たちは構造的不平等を是正し、監視する「責任」があるのだと論じている。

  • 目次がヌスバウム先生とかの文章のうしろにあるのやめてほしい……

  • 2021年1月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00511865

  • 資料ID:21402443
    請求記号:311.1||Y
    配架場所:普通図書室

  • 【新着図書ピックアップ!】正義とはなんだろうか。責任とはなんだろうか。例えば、福島の原発事故ののちに他国に原発を売り込むことのどこに正義とか政治家の責任があるのだろう?

    そんな疑問を持つ方の参考になりそうな一冊です。

    [New Book!]
    What is justice? What is political responnsibility today in Japan?

    If you ask such questions, this book is for you

  • とっても気になる。。。
    Young, Iris Marion[アイリス・マリオン・ヤング]arsvi.com:立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点→生存学研究センター
    http://www.arsvi.com/w/yi02.htm

    岩波書店のPR
    https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-025963

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著者プロフィール

(Iris Marion Young)
1949年生まれ。アメリカの政治哲学者。ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジで哲学を学び,1974年にペンシルバニア州立大学で哲学博士号を取得。その後,ウースター工科大学,ピッツバーグ大学などで教鞭をとった後,2000年からシカゴ大学政治学部教授を務めた。20世紀後半を代表する政治理論家の一人であり,ロールズ正義論の批判的再検討を通じて政治的少数派の権利擁護に理論的根拠を与える本書の議論は,今日に至るフェミニズム・多文化主義の発展に多大な理論的・実践的影響を与えた。代表的な著作には,本書の他に,Intersecting Voices: Dilemmas of Gender, Political Philosophy and Policy (1997); Inclusion and Democracy (2000); On Female Body Experience (2004)などがあり,日本では『正義への責任』(岡野八代・池田直子訳,岩波書店,2014年)が翻訳されている。2006年死去。

「2020年 『正義と差異の政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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