ヒューマニティーズ 法学

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (122ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000283236

作品紹介・あらすじ

「パンのための学問」と揶揄されることもある法律学を、その出自から掘り起こすと同時に、他の人文=社会諸学との関連のなかで捉え直すことを通じ、単なる資格取得や実用のための手段にとどまらない「制度的想像力の学」として提示する。グローバル化やリスク社会における新たな法秩序、社会改革の可能性を考える。

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  • 【書誌情報】
    『ヒューマニティーズ 法学』
    著者:中山 竜一(1964-)
    出版社:岩波書店
    シリーズ:humanities
    刊行日:2009/07/30
    ISBN:9784000283236
    版型:B6 並製 ソフトカバー
    頁数:138

     「パンのための学問」と揶揄されることもある法律学を,その出自から掘り起こすと同時に,他の人文=社会諸学との関連のなかで捉え直すことを通じ,単なる資格取得や実用のための手段にとどまらない「制度的想像力の学」として提示する.グローバル化やリスク社会における新たな法秩序,社会改革の可能性を考える.
    [https://www.iwanami.co.jp/book/b257604.html]

    【目次】
    はじめに

    一、法学はどのようにして生まれたか 
     ㈠ なぜ法の歴史について学ぶ必要があるのか
      法と正義という言葉/二つの法継受──中国法とヨーロッパ法
     ㈡ 西洋法の歴史 
      ギリシャ哲学からローマ法へ──正義概念の定礎/共和制から帝国へ──法の担い手について/一二世紀ルネサンス──解釈学の誕生/法典編纂──理性法の夢/歴史法学から概念法学へ

    二、生きられる空間を創る──法学はどんな意味で社会の役に立つのか 
      法に期待される役割と背景にある思想/活動促進と紛争解決──民事法の役割/社会統制と秩序維持──刑事法の役割/統治システムと保障機能──憲法の役割/資源配分──社会保障法・労働法・経済法・環境法

    三、制度知の担い手となる──法学を学ぶ意味とは何か
      法学を学ぶ意味とは?/法的思考のいくつかの特徴──哲学との対比/素人に法的判断はできないのか/法の解釈とは何か/利益衡量論と議論の理論

    四、法学はいかにして新たな現実を創り出すのか──法学と未来 
      法的思考で現実は変えられるか/難事案をどのように判断するか㈠──ドゥオーキンの構成的解釈/難事案をどのように判断するか㈡──アンガーの逸脱理論/解釈と立法の関係について/立法・法道具主義・完全法典/法学の未来について──制度的想像力と最小限の正義の要請

    五、法学を学ぶために何を読むべきか 

    おわりに

  • 最高の法学入門。コンパクトですので、時間も余裕もないロースクール未修者の学生にこそ、おすすめしたいです。

  • 法学に関して実践的なアプローチではなく、俯瞰的な視野がほしかったため、ちょうどいい本だった。
    法哲学/法社会学というものの存在は知っていたが、こういったことを考えているんだなと思えたことはなにより。規範や平等性に関わる単語としての「正義」を意識することがなかったため、法に抱いているイメージと実際のずれを感じていたが、原因の一端が分かってすっきりした。こういう風な法学の授業を大学の前期で受ける、もしくはこの本に出会っていたら、と少し思ってしまった。
    経済政策のような合理性ではなく、社会政策とか平等とか今の私の規範に近い基準で、社会を生きるためのルールとして法が成立しているとも感じられたこともよかった。

  • 321||Na

  • 大阪大学大学院法学研究科教授の中山竜一(1964-)による岩波の「ヒューマニティーズ」シリーズ(全11冊)の法学編。

    【構成】
    1.法学はどのようにして生まれたか
     (1)なぜ法の歴史について学ぶ必要があるのか
     (2)西洋法の歴史
    2.生きられる空間を創る
       -法学はどんな意味で社会の役に立つのか
    3.制度知の担い手となる
    -法学を学ぶ意味とは何か
    4.法学はいかにして新たな現実を創り出すのか
    -法学と未来
    5.法学を学ぶために何を読むべきか

    ふつう法学入門と言えば大学の基礎科目であるような法体系や成文法と不文法の違いからはじまり、憲法、民法、刑法などの実定法などの内容を紹介したりするようなイメージがあるが、本書は著者が法思想史が専門であるということもあり趣の異なるアプローチとなっている。

    すなわち、「法学」という学問が何故存在するのかという疑問に答えようとしているのである。古代ローマ法と12世紀ルネサンスによるそのドグマ化と解釈学の成立から始まる法学の歴史過程を通じて、法の機能の説明を試みている。後半は社会秩序維持に果たす法律の役割等が内容となっている。

    著者の意図するところではないが、評者の個人的な見解では本書が高校生か大学1・2回生向けに書かれたものと考えれば、法学の主流となっている保守的で前時代的な法解釈学に対して批判的な姿勢を持つ必要があるということを示しているという点では評価できる。

  • 「法学とは、「人が生きることのできる空間」として諸々の制度を設立し、それを維持するための一種の「制度知」に他ならない」という定義や、「人間が常にそのような諸制度的空間を必要とすることは人類学的な事実である」という指摘には、共感するところ大です。

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