労働――働くことの自由と制度 (自由への問い 第6巻) (自由への問い 6)

著者 :
制作 : 佐藤 俊樹 
  • 岩波書店
3.55
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本棚登録 : 41
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000283564

作品紹介・あらすじ

労働と自由は、それぞれ近代以降の社会を支える最も基幹的なしくみだが、二つをどう接続するかは曖昧にされてきた。正社員体制が解体するなど労働の二極化が進む現代の日本では、私たちの生活に大きく影響する、労働と自由のつなぎ方、絡まり方はいっそう見通しにくいものになっている。そんななか、働くことと自由をめぐる現状とは別の姿を想像することが必要になってきたのではないか。制度と現場、理念と歴史の各層から考察する。

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白かった。何度か読み返そう。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:316.1//J55//6

  • この本に収められている中で、読みづらい論文は読みづらい。
    なぜ読みづらいか
    こういう社会学系の論文は口先だけの問題提起にしかならない書き方をしてしまうものがある。そういうものは読みながら徐々に信憑性が失われ、読む気が減退していく。そして読みづらくなる。

    自分はこういった書き方をしないようにしようという気になった。

    以下の二つの点が目から鱗だった。

    ①対話は面と向かってすると逆に緊張する。何かしながらの会話がより自然で、その後につながる。会話は大事だけど、会話をする場の作り方はもっと大事だということ。

    ②コミュニケーションの失敗は誰の責任か。話しかけても相手が上手く返してくれない時、コミュニケーション能力の無い相手が悪いのか。
    コミュニケーションには相手の歩調に合わせることも含んでいる。だから、相手の歩調を無視して一方的に”失敗”だと決めつけて気まずい空気を作ってしまったあなたもコミュニケーション能力にかけているんですよ。


    コミュニケーション能力という言葉についてまた新たに考えさせられました。

  • 哲学・経済・ジェンダー・社会保障など、幅広い分野からオムニバス形式で労働を語っている。
    内容的にはそれなりに高度であるが、個々の論文があまり長くなく、かつそれぞれに扱う題材がまったくといっていいほど異なっているため、飽きることなく読めた。
    しかし、読んですっきりとくる論文とそうでない論文の差が激しいのが難点。その故は、すべての論文が「労働」と「自由」に言及しての帰結を試みているからであり、そもそもの題材との関連性からして、うまい着地点が見つからず骨の折れるものもあったのだろう。

    自分の探求課題からして、とくに印象に残ったのは濱口桂一郎「『正社員」体制の制度論」と、福井康貴「就職空間の成立」の2つ。日本の就職・雇用制度については、もう1冊読んでから詳しく考えたい。
    実際の働く現場を起点に論じた第三章も面白い。コンビニエンスストアに関する論文とケア労働に関する論文が2本連続した構成となっているが、結果として経営・労働のシステム化の限界点と人間性・場所性の可能性の対比となっており、興味深く示唆に富む。また、同章最終論文の、労働と社会性への視点は、先に読んだ「いま、働くということ」と多少対立する論点を含むものであり、これもまた考えさせられる。

    最終論文を起点として少々自分の意見を述べるとすれば、労働を通して社会に参画することは、実際には強制ではないのである。当該論文中でも述べられているように、社会参加/労働の「拒否」自体が「社会/労働のあり方を問う」というパラドックスにもなっており、その視点は非常に大事であろう。現代では「労働を通して社会の網の目を構成する一員となる」ことで、かえって自らの尊厳が傷つけられることが少なくない。それをあえて拒否する権利は否定されるべきではないとも思う。
    結局、論点は「『社会』に参加する媒介項としての『仕事/労働』があり、まずはそれに携わる自由が保証され、携わった場合にはその中での自由が保証される必要があり、その保証のシステムこそが就職・雇用システム(注:あえて就職システムと雇用システムを分けている)であり、一般的に労働問題として問うとすればそれらシステムのあり方」ということであろうか。うーん、ちょっとまとまってきた??

  • 佐藤俊樹氏編集『自由への問い⑥労働』読了。佐藤氏によるハイパーメリトクラシー批判はおいといて(といっても結局関連してくるけど)、貴戸さんの論考が特に面白かった。「社会性」って何なんだろう。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授

「2023年 『メディアと社会の連環』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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