液状化の脅威 (叢書 震災と社会)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000285230

作品紹介・あらすじ

東日本大震災において、津波災害・原発事故とともに大きな被害を各地にもたらした液状化現象。なぜ、液状化が起こる地域とそうでない地域があるのか。マンホールの浮上、建物の傾斜・倒壊などの被害はなぜ起こるのか。そのメカニズムから、地盤の調査方法、対策まで-工学の見地から地震防災に取り組み、東京湾臨海コンビナートの脆弱性に警鐘を鳴らしてきた地盤工学の第一人者が解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • [紹介文から]東日本大震災において、津波災害・原発事故とともに大きな被害をもたらした「液状化」。工学の見地から、地震防災に取り組み、東京湾臨海コンビナートの脆弱性に早くから警鐘を鳴らしてきた第一人者が、なぜ液状化が起こるのか、そのメカニズムを明らかにした上で、われわれが取りうる予防策までを明快に解説。

  •  岩波叢書「震災と社会」の第二巻。

     こういう叢書を機械的に全部読むと、自分の弱い部分がよくわかるので有効。ちょっと内容に比較して高い(167ページで1800円)気がするが、自分の投資と思って我慢。

     液状化は、津波被害で隠れているが、千葉、茨城なので、東日本大震災では宅地で大きな被害をだしている。ただし、今回は、比較的、ガルが小さかったため、宅地の被害にとどまり、死者もでなかったが、首都直下ではより大きな被害がでること、特に、埋め立て地の被害が大きくなることに注意が必要。

    (1)1964年の新潟地震以降は、埋め立て地で液状化対策を講じているが、それ以前の埋め立て地は、液状化の危険が危惧される。(p111)

    (2)液状化と長周期地震動によって、原油などが流出した場合には、東京湾の奥に達するので、亜川崎臨海などの基幹的防災拠点は使用ができなくなるし、12機ある火力発電所への燃料の補給もできなくなる。(p121)

    (3)護岸の液状化工法として、地中壁、地盤改良、杭を千鳥状に打設する方法が提案されている。(p153)

     私設の護岸であれば、まるべき埋め立て地と護岸の所有者が一緒なので、対応ができそうだが、公共護岸で、埋め立て地が企業に売却されている場合には、そもそも誰が私有地側に入ってこれらの液状化工法を行うべきか、もめそうな気がする。

     そもそも昔つくった埋め立て地なのだから、護岸も含めて自分の土地が守れるように、私有地を所有する企業がすべきなのか、公共護岸を守る観点から、港湾管理者がすべきなのか、それとも、同じ公共でも埋め立て地の瑕疵として埋め立て事業者がすべきなのか、整理が難しそう。

     いずれにしても、埋め立て地の液状化は、火災、重油などの流出、火力発電所の停止など、もしかしたら、首都直下の最大の被害を生じるかもしれない。

     自分も引き続き、よく勉強したい。

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著者プロフィール

「国境なき技師団」会長。前理事長

「2021年 『国境なき技師団 スマトラ島から東北へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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