いまを生きるための政治学 (岩波現代全書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291095

作品紹介・あらすじ

歴史的な転換期の中で、いま日本の政治は大きく揺れ動いている。この困難な時代を生き抜き、人間の尊厳を守る社会を作り出すには、政治学の知見が必要だ。人間は社会の中で生きる存在であり、そうした他者とのかかわりから政治が生まれてくる。人間の本性を踏まえて政治の本質に迫り、民主政治のメカニズムをわかりやすく解説する本書は、市民一人ひとりが政治を知り、考え、行動するための最良の手引きとなるだろう。

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  • 山口二郎『いまを生きるための政治学』岩波書店、読了。社会的存在としての人間は政治を不可欠とする。諦めでも熱狂でもなく、いかに関わればよいのか。本書は「困難な時代を生き抜き、人間の尊厳を守る世の中を作り出すための指針」を具体的に検討。文明論的視座から政治学を新しく構想する。

    1990年代を時代の転換点と捉えた上で、戦後日本社会の歩みと変節と現状を分析。政治(学)と民主政治の意義を考察した上で、その実践の方途探る。知ると動くの二部で本書は構成されている。目次→ https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0291090/top.html

    「人間は不完全な存在である」。この事実から出発し、その協同を維持・持続・発展させるのが政治といってよい。著者は人間の本性を踏まえた上で、これまでの失敗や具体的な現状を取り上げ、その営みを私たち自身の事柄へと取り戻そうと本書で果敢に試みる。

    著者の提案は政党政治が理念や理想で結集するという基本に返れという極めてシンプルなもの。その遂行にあたっては先鋭的理想主義に傾くなという。何より大切なのは私たちが「声(voice)を出す」こと。虚偽を激しく撃ち、参加と熟議促す必携の一冊。

  • 選挙に行く度、無力感を感じていたが、それでも絶対に行かなければいけない。忙しい時、予定がある時は、本当に面倒くさいと感じていた。
    それでも投票に行ったのは、学校教育で、選挙権は大事だと教わっていたからである。ただ、その理由を深く考えることはなかった。
    本書は、そんな私の投票行動に対する姿勢を正してくれる一冊になった。自分が納得できないことについて、デモをしてというほど、強く主張したいことはないが、それでも投票行為を通じて政治的な意思表示をしていくことに前向きになることができた。
    本書が言うように、自分の理想を体現してくれる政党・政治家はいない。それでもそこで匙を投げてはいけない。少しずつ世の中を変えていくためにも、辛抱強くならなければいけない。
    会社の同僚、部下の行動が容易に変わらないのと同じ、もしくはそれ以上に世の中を変えていくことは難しい。その前提を心にとどめて、なおかつ、自分の意見を主張していかなければいけない。そうしなければ、絶対に変わらない。

    最後に、紹介されていた魯迅の素敵な言葉
    「希望とは本来あるとも言えないし、ないとも言えない。これはちょうど地上の道のようなもの、実は本来地上に道はないが、歩く人が多くなると、道ができるのだ」

  • 「橋下はその過激な、あるいは人権無視の発言に表れているように、デマゴーグの政治家である」とあるように、ただの政治学の教科書ではない。
    民主党の失敗からも、「市民は、この一連の経験から、教訓を学ばなければならない」とあるように、ただの解説本ではない。
    だからこそ、おもしろい読み物となった。

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著者プロフィール

法政大学法学部教授・行動する政治学者
1958年生まれ。東京大学法学部卒、北海道大学法学部教授、同大学院公共政策学連携研究部教授などを経て、2014年より現職。最初の著作『大蔵官僚支配の終焉』(岩波書店)により、自民党と財務省による政治・行政支配の構造・実態を暴き、1990年代から2000年代に続く政治改革の深い底流のひとつを形作る。2009年の民主党政権成立をめぐっては、小沢一郎、菅直人、仙谷由人各氏らとの交友を通じて政権交代に影響を与える。立憲主義の立場から安倍首相を痛烈に批判、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の結成にかかわる。

「2018年 『圧倒的!リベラリズム宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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