- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000291309
感想・レビュー・書評
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もう少しは整理を、又マクロと言いつつ結局ミクロ
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アジアの国家を、地理的には東・東南・南の3つに、また歴史的には伝統王朝・近代王朝・植民地・現代の4つに区分して見ている。学校世界史程度の知識で読めるが、内容は薄く広くならざるを得ない。大きな流れが捉えられればよし、と思って読んだ。
伝統王朝時代は東アジアで儒教、南アジアでヒンドゥー教、東南アジアではインド由来の仏教・ヒンドゥー教を中心とした王朝が誕生するが、勢力の動きは基本的にはアジア内部でとどまっていた。近代王朝時代には中東や中央アジアからイスラム勢力が到来、一方でモンゴル帝国はアジアの外まで拡張、後にはヨーロッパ勢力が到来と、アジアの外との関係が発生してくる。植民地時代には外部世界との交流は海路中心となり、沿海部に都市が増加する。また移民労働者の流入と宗主国による国境画定のために王朝時代の一民族一社会から多民族社会に変容、という流れだった。
現代国家については、植民地時代との連続性が面白い。植民地下での官僚育成、エリートへの共通言語=英語教育による国民意識の発生、また植民地時代の国境線が基本的に維持されていることや、多民族社会になった故の宗教・民族紛争の発生などだ。 -
わかりやすく概観できた。
何気なく感じていたこと・・・・。
つまり、東南アジアはなぜ統一されなかったのだろうとか、なぜ中国は西に責めなかったのか・・とか、漠然とそうではないかな・・と思っていたことが確認できた思い。
そういう意味では目新しい発見はないのですが、あえて風呂敷を大きく広げていただいたおかげで見えてきたものあります。 -
ヒンドゥー教にはイスラム教のように自らの宗教理念を実現するにはそれを推進する国家が必要であるという考えがなかった。たとえ異民族の支配者でも自分たちの宗教や歴史文化が容認される限り、誰が国家支配者なのかさほど問題にならなかった。
モンゴル帝国が崩壊した一因は征服した土地を統治、管理できる能力以上に支配領土が広がりすぎた。
王朝国家では群が強力だったとはいえ、基本的に伝統的支配者に従属して自らの意思を持つことはなかったが、現代国家の場合、軍は1つの自律的な政治集団を形成して自らの意思による介入と支配を行っている。