- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000292085
作品紹介・あらすじ
子どもたちの悲惨な戦争体験として語られてきた学童集団疎開。しかし、受入れ地域からはまた別の側面が見える。県別に割り当てられた四〇万人もの学童、決定から最初の受入れまでわずか一カ月余、宿舎や食糧の工面、激化する戦争と軍事施設までもの疎開…。埼玉県公立高校の郷土部の調査を契機に、地域全体が戦時体制に巻き込まれる状況を明らかにした、新たな観点からの学童疎開史。
感想・レビュー・書評
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学童疎開を「受け入れたほう」から見るというのは、確かに欠けていた視点だ。
都市部と違って地方(農村)には受け入れるマージンがあったというのは前提として語られるべき事柄ではなく、検証が必要だろう。
本書では、「疎開」制度の変遷を丹念に追って、都市と農村の関係(国土計画の観点)や、非戦闘員の避難と軍事・工業の隠匿という両面から見た質変化を記している。
まったくの素人な感想だが、「疎開」がもともと軍事用語ということも知らなかった。「避難」ではなく「疎開」が用いられた理由も。
あと、ロンドン空襲に対してイギリス政府がとったのと同様の疎開策を部下が提案したときに、家族が別れて暮らすのは日本の伝統に反するといって東條英機が反対したというエピソードは興味深い。皇道派に対して統制派は理性的とされるが、所詮は相対的な評価ですよね。
というわけで、本の狙いには意義があるし、興味も湧くのだけど、データが乏しいのが残念な点だ(たぶん著者のせいではなく、もともと残っていない)。
都会の子供たちが疎開してくるけど、農村の子供たちには満蒙開拓青少年義勇軍や少年農兵隊の割り当てがあったという記述も、たとえば府県別の割り当て数などのデータがあれば説得力が出ただろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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