ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000295925

作品紹介・あらすじ

ウイルスのことを病気の原因で、危険なものとばかり考えていませんか?実はあなたが胎児だったとき、ウイルスはあなたを守る大切な役割をはたしていたのです。地球上には膨大な数のウイルスが存在し、生物の行動や生命の進化に大きな影響を与えていることがわかってきました。これまでの常識をくつがえす、ウイルスの存在意義を考えてみます。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年9月期展示本です。
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  • ウイルスは、約30億年前から存在しており、1993年に発明された電子顕微鏡による観察で徐々にその実態の解明が進んでいく。ウイルスと聞くと病原体としてのそれを想像してしまうが、宿主を弱らせるものばかりではなく、守っているような働きをするウイルスも存在していることがわかってくる。
    ウイルスより形状の大きい細菌は、20世紀の半ばに生物に含まれるようになった。一方ウイルスは、生物なのか無生物なのかは、生物と無生物の定義を明確にしないと微妙な存在なのだという。こうした内容は本書にかかれている本の一部である。
    こうした、ウイルスの様々な振る舞いを学べた。岩波科学ライブラリーシリーズには他にもウイルスに関するものもあるようだ。調べてみようと思っている。

  • 古代から中世、近世までの細菌発見以前の病気に関する人々の考え、知識。
    細菌が発見され、ウイルスの発見以前のこと。
    ウイルスが発見され、DNAの解析がなされていく現代のこと。
    さらに、新しい研究や話題などが、わかりやすい内容で書かれています。

    思いがけないウイルスの働きが解明されて、生命の神秘に驚きです。
    人間が利用しているウイルスも多いが、まだわかっていないことも多い。
    変化するウイルスの脅威、長期的な影響など 今後の研究にも目が離せない!

    5/26 新刊棚で見つけて借りる。6/10 読み始める。6/13 読み終わる。

    内容と著者は

    内容 :
    ウイルスのことを病気の原因で危険なものとばかり考えていませんか? 
    がんと闘うウイルス、細菌を食べるウイルスなど、
    生物の行動や生命の進化に大きな影響を与えてきたウイルスの存在意義を明らかにします。

    著者 :
    1931年生まれ。東京大学名誉教授。日本ウイルス学会名誉会員。ベルギーリエージュ大学名誉博士。
    著書に「エマージングウイルスの世紀」「ウイルスと人間」「史上最大の伝染病牛疫」など。

  • 2018/9/21 返却

  • ウイルス発見の歴史、ウイルスは生物か否か、動物ウイルスから人ウイルスに進化するまで、などなど、これまでぼんやりとしか知らなかったウイルスについて色々な知識が得られた。また、ヒトの進化や胎児の保護などウイルスの意外な一面も知った。遺伝子治療、食品添加物、生物農薬などウイルスの用途開発が進む一方で、巨大ウイルスや海のウイルスなどまだまだ未知な部分も多く、今後も面白そうな分野である。それにしてもT2ファージのメカチックな形状。只者ではない。。

    序章 あなたはウイルスに守られて生まれてきた
    1.ウイルスはどのようにして見いだされたか?
    2.ウイルスは生きているか?
    3.人のウイルスはどこから来たか?
    4.生物界を動きまわるウイルス
    5.病原体だけではないウイルスの意外な役割
    6.病気を治すウイルスの利用
    7.広大なウイルスの世界

  • 細菌は生物だがウイルスは生物ではない、らしい。なるほど、ウイルスには細胞がなく増殖は他生物の細胞に依存するのだ。これまで細菌感染にはかかっていないものの、ウイルスには重ねて痛い目にあっている。インフルエンザは最たるものだが、帯状疱疹が4たび発症したのには参った。周りで聞いたこともない。ということで、ウイルスのいろはを学んだ次第。病原体としての悪玉ウイルスばかりではなく、胎児を守ったり病気を治したりする善玉ウイルスも紹介される。ただ、善玉についてはもうひとつ曖昧で、今後研究が進んで行くのだろう。プランクトンを分解するウイルスの働きは地球温暖化に影響を与えるというが、善悪どちらに導いているのか理解できず。

  • ヒトゲノム解読の結果ヒトのDNAの9%は昔々取り込まれたヒト内在性レトロウイルスで34%がレトロとランスポゾンで3%がDNAトランスポゾン。このトランスポゾンというのはいろんな生き物の間を行き来できるレトロウイルスの祖先の断片と見られている。ジャンクDNAといわれたものの多くがこう言ったウイルスの名残だとすると、ウイルスは突然変異に大きく関わっているのかも知れない。

    海水中には多くの細菌やウイルスがいて、海洋微生物の総量はアフリカ象2400億頭という説があるそうだが同じくウイルスはシロナガスクジラ7500万頭分だそうだ。(こちらは炭素換算)これらのウイルスの宿主は藻類や細菌だとか。アフリカ象は最大10tでクジラは最大180tです。

    ウイルスは病気の原因だけでなく生命活動を支えていることもわかって来た。例えば胎児が免疫の攻撃を受けない理由はへその緒で母親のリンパ球が胎児の血液中に入らないように遮断されているからなのだが、この膜はウイルスが活性化されて増えてくる時に作られるタンパク質からできている。他にも虫に卵を産みつけるハチなども免疫を抑制するしくみを持っている様だ。HIVってのもあるしね。ミツバチが死を覚悟して毒針をさすのにはカクゴウイルスというものの働きがある。針を刺したら内蔵ごと抜けるので1回きりの必死の攻撃がウイルスによるとは。

    ウイルスを破壊するウイルスまであるらしい。何のこっちゃだが単独では増殖できず、他のウイルスがいる時に増殖し最後にはその助けてくれたウイルスを破壊するとか。

    100ページほどしかなく1時間ほどで読め、面白い話も載っている。しかし、これで1200円は高いなあ。岩波科学ライブラリーはだいたいこんな感じの様だがそうは買わないよねえ。半額にならんかしら。

  • ウイルスとの共生が地球生命を創りだしてきたのですね。
    病原性ウイルスにばかり注目されていますが、天文学的な数のウイルスの中には人にとって役に立つウイルスもあると思います。
    これからウイルス学は、見方をかえることで発展してゆくでしょう。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11734532460.html

  • ウイルスとここまで縁が深かったなんて。直前に豚の臓器の話もしていたのでタイムリーでした。

  • ウイルスの種類や進化の話で、専門的な部分は少々難しいですが、全体的に素人でも興味深く読めました。
    話題の鳥インフルエンザについても書かれていました。

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著者プロフィール

1931年、神奈川県生まれ。東京大学農学部獣医畜産学科卒業。農学博士。北里研究所所員、国立予防衛生研究所室長、東京大学医科学研究所教授、日本生物科学研究所主任研究員を経て、現在、東京大学名誉教授、日本ウイルス学会名誉会員、ベルギー・リエージュ大学名誉博士。専門はウイルス学。主な著書に『エマージングウイルスの世紀』(河出書房新社、1997)『ウイルスと人間』(岩波書店、2005)『史上最大の伝染病 牛疫 根絶までの四〇〇〇年』(岩波書店、2009)『ウイルスと地球生命』(岩波書店、2012)『近代医学の先駆者――ハンターとジェンナー』(岩波書店、2015)『はしかの脅威と驚異』(岩波書店、2017)『ウイルス・ルネッサンス』(東京化学同人、2017)『ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在』(みすず書房、2018)『ウイルスの世紀――なぜ繰り返し出現するのか』(みすず書房、2020)など、主な訳書にアマンダ・ケイ・マクヴェティ『牛疫――兵器化され、根絶されたウイルス』(みすず書房、2020)などがある。

「2022年 『異種移植 医療は種の境界を超えられるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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