絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)

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著者 : 服部幸雄
制作 : 一ノ関 圭 
  • 岩波書店 (2001年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001106480

絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)の感想・レビュー・書評

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  • 迫力の俯瞰図の大型絵本。
    船乗り込みから、大道具づくり、工房の様子、出待ち、観客席、奈落、楽屋、興行の終わりまで。
    興行の様子を語る「おいら」を探しつつ、絵本いっぱいに描かれる人々の様子を見るのが楽しい。
    幕だまりからの視線、奈落の様子、観客の頭上の橋、川の花道、実際に観てみたくてウズウズする。
    何度も開きたくなる絵本。

    船乗り込みって知らなかったな。
    東京でもやってるのかな。

    これ、難しい漢字が多すぎ。S12

  • 現代、歌舞伎といえば伝統芸能・古典芸能で、いくぶんか取っつきにくい感じがしますけれども、江戸の人々にとって「芝居」は身近な娯楽で、芝居見物に行く前日は眠れないほどわくわくしたものだそうです。芝居小屋はハレの日の歓楽を提供する祝祭の場でした。
    人々を虜にしていた江戸の芝居小屋がどんな風だったか、ちょっと覗いて体感してみましょうか、という絵本です。

    本書では、堺町(現在の東京都中央区日本橋人形町3丁目)にあった「中村座」をモデルにしています。当時、江戸の街には公に許された大きな芝居小屋が3つあり、江戸三座と呼ばれていました。中村座、市村座、森田座です。中でも中村座は早い時期に興行の許しを得ており、伝統を誇りとした一座でした。

    前半は、興行の準備から、華やかな舞台、裏方で支える人々、興行が成功を祝う宴、千秋楽の後の片付けまで、15の場面を描く精緻な絵です。
    芝居の中心は役者さんたちですが、彼らだけでは芝居は成り立ちません。絵師が背景を描き、衣装係が衣装を整え、鬘師が役者の頭に合わせて鬘を調整しなければなりませんし、刀や張り子、調度や牛車、演目に合わせて、さまざまな大道具・小道具が必要です。
    目の肥えた江戸っ子たちをあっと驚かせるには、同じ演目でも前の興行とは違う、新奇な趣向を考え出さなければなりません。
    今でも人気の演出である宙乗りや回り舞台、はては客席に橋を架ける演出まであったといいます。
    そんな様子が緻密に細かく賑やかに描き出されています。
    文と解説は歌舞伎研究者であった服部幸雄さん、絵は漫画家の一ノ関圭さんです。

    前半を眺めていくだけでもおもしろいのですが、後半は詳細な解説。場面ごとに、部分部分に何が描かれているのか、きちんと細かく絵の背景が説明されていきます。
    江戸歌舞伎は、文献は残っていても芝居小屋自体があるわけではないので、意外にわかっていない点も多いのだとか。推測で描いた部分はその論拠も示されていきます。
    前半の絵、後半の解説と、行きつ戻りつ眺めていると、次第に江戸歌舞伎の賑わいの中に吸い込まれていくようです。

    タイトルに「夢の」とありますが、これはもちろん、江戸の芝居小屋が今はないということ、それから、隅田川での船乗り込み、年末の顔見世興行での桜の演目など、実際には行われていなかったけれども、もしもあったとしたらこうでもあったろうか、という想像を交えています。少々の虚構を混ぜ込むことで当時の歌舞伎の雰囲気をより色濃く感じられる仕組みになっています。

    個人的に最も驚いたのは、当時も宙乗りがあったことです。本書では、そのからくりの一例が示されていますが、仕組みは1つではなかったようで、さまざま工夫があったのでしょうね。でもこれ、見るからに危ない感じがします。ときには役者さんがお客の上に落っこちてくるなどという事故もあったのではないかなぁ・・・。それもまた臨場感のうちでしょうかね。
    回り舞台も奈落も人力で動かしていたというのもすごいです。なるほど、電気があるわけではなし、スイッチ1つで、とはいかないでしょうね。

    描かれている役者さんたちは、概ね、(特に立役は)顔がばんと大きく立派な押し出しです。
    昔の時代劇映画などを見ていると、小顔とはほど遠い、大作りの役者さんが目立つのですが、確かに大きい顔の方が舞台映えしそうな感じがします。

    絵本は、狂言作者の見習いとして鶴屋南北に入門したばかりの千松が案内役です。群衆の中に、千松が必ず描き込まれているため、「ウォーリーを探せ」のような楽しみもあります。千松のほか、当時の有名人、葛飾北斎や小林一茶、杉田玄白なども描き込まれていますよ。さぁ、何人見つけられるかな。

    芝居見物は、とっておきのお楽しみの日。何を着て行こうか、何を食べようか、とお客の方も目一杯楽しもうと期待に胸を弾ませています。
    これを迎える興行側もあの手この手でお客を楽しませよう、喜ばせようと、趣向を凝らします。
    両者の思いが作り上げる祝祭空間。
    その華やぎと賑わいが生き生きと感じられる1冊です。

  • 形式は絵本ですが、内容はとても充実しています。資料をもとにしっかり考察されて作られたのだなぁとわかります。
    歌舞伎は今まで縁もゆかりもなかったのですが、少し興味がわきました。

  • 服部先生の本です。借りてきてあ、これ姉が持ってる本だと思いました。
    大分前にいいでしょ、と自慢されたのですがその時は絵が素晴らしいね、と絵にばかり目が行き、監修まで見ておりませんでした。その時はそれほど歌舞伎にも興味を持っていなかったしな。
    今回、絵は勿論素晴らしいのですが細部までこだわって調べられた先生と絵師のコンビだったからこそこんな素敵な本が出来あがったんだなあと言うことが良くわかりました。私も欲しいな。買おうかな~
    (結局購入しました。結構お値段が張りましたが…)

  • This is a picture book written about Edo Kabuki.
    Kabuki is a Japanese traditional performing arts that started in Edo era.
    You can find differences between past and today. (onikuさん)

  • 目次:1.船乗り込 2.大道具をつくる 3.芝居を支える人たちの工房 4.楽屋での惣ざらい 5.いよいよ初日、木戸前の賑わい 6.出を待つ役者たち 7.幕が開く時 8.観客の頭上に橋を架ける 9.移動する劇空間 10.奈落で働く・・・他

  • 亀和田武さんおすすめの本。本屋さんには無くて、Amazonで購入。ただただ感心。ゆっくり楽しめる絵本。

  • 興行の始まりから終わりまで描かれていて興味深い。

  • 縦切り。横切り。断面図満載。
    服部幸雄を先生に一ノ関圭が実際に歌舞伎と歌舞伎小屋とその裏側を見て歩き、年数のかかる経験を経て、「夢の」江戸歌舞伎を描く。つまりなにより、わたしたちはこーいう客になりたい感、が満載。
    ぎっしり埋まった人々の一人一人が、思い思いに、歌舞伎を、その空間を、満喫しているのが羨ましい。かつての南座も、このずーっと末端に連なっていたんだなー。ブーツを脱いで、ほどよい桝席で足を伸ばして、コロナのカツサンドと安いワイン持参で、ぱあっと「下」が明るくなる。花道のほとんどが見えなくても、ワクワク、ヤンヤ。歌舞伎小屋とはまるごとぜんぶでひとつの空間で、けっして舞台と客席ではないということを、いまはこの本が見せてくれます。ウォーリーを探せ、なお楽しみつき。
    「寸分の狂いもないデッサン力」と谷口ジローが評した一ノ関圭が絵を担当した絵本には、ほかに歴史を旅する絵本シリーズ(全8作。佳シリーズ。ぜんぶほしい)の「江戸のあかり」があります。絵はこっちのが好きかなあ。色がうつくしいです。

  • ときめく絵本。
    吉原編とかもあればいいのに…(無理か)

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絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)の作品紹介

作者見習いの少年を主人公に、江戸後期の顔見世興行のすべてを細密な絵で再現しました。誰も知らない芝居小屋の内部と、幻の舞台にご案内します。役者と裏方と観客が一体となってつくる、どよめく祭りの興奮を、江戸の人たちとともにご体験ください。観客にまぎれて同時代の有名人たちも来ています。巻末には、細密な絵にこめられた江戸歌舞伎の魅力と特質を、一つ一つ注にして、たっぷりと解説しました。江戸文化のたくましい姿が見えてきます。研究者と画家が8年をかけた渾身の絵本。

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