- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001106862
感想・レビュー・書評
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名作「ゲド戦記」3巻目。ここでいったんは終了、後に4巻そして5巻も書かれましたが。
この世界がおかしくなっている…
王の一人息子アレンは、ロークの大賢人として名高いゲドのもとへ遣わされ、すぐにその人柄を尊敬してゲドに仕えることを望みます。
ゲドもまた、何を探すかも定かでない探索の旅の連れとして、少年アレンを選ぶのでした。
世界の果ての海で筏の上だけで暮らす民族に助けられ、人の世界には現れないはずの竜が太古から得ていた言葉を失い、しだいに狂気にむしばまれていく姿を目の当たりにします。
死んだと言われていた魔法使いクモの仕業らしいと突き止め、生と死の境界を越え…
アレンとホートタウンに行くあたりは映画に近いところがあります。
ただ映画はほとんどそのあたりで対決して終わりだもんねえ…
2時間ほどでまとめるからとはいえ、スケールが小さい。ダイジェストみたいなもんだから〜ぜひ原作も読んでください。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジブリのゲド戦記のベースが、確かこの三巻…と聞いたような気が…?
っていうか、中身はきわめてこの本と酷似してたからそうだと思うけどw
ジブリのゲドでは、アレンは最初お父さんを刺して逃亡する途中、既に世界の均衡が崩れ始めた原因を探して旅に出ていたゲドと会う、はずだが、本ではアレンの方がロークの学院へ会いに来る。お父さんを刺した事実もない。
一巻も二巻もそうだったけど、いつも、探すべきもの(というかすべきこと)がはっきりとしていなくって、だけど暗い不安は間違いなく在り、気を抜くと色濃くなってく。もやもやした不安と闘ううち、極限まできてやっとこさ、核心に迫ることができるの。
三巻もやっぱりそういうパターンで、「何か」がおかしいことははっきりとしているのだけど、何をどうしたらそれが解決するのかはまったくわからないまま、ゲドとアレンは旅立つことになる。
最初からアレンのための旅であるとゲドが言っている、意味が最後のほうになってよくわかってくる。ゲド(たち魔法使い?)は、漠然とだけど、どうすべきかってことを感じて感じるままに行動しているだけ…大きな流れのようなものを、感じているのかなって。
なんていうか…もちろん物語の主人公はゲドなのかもしれないけど、二巻でもそうだったように、ゲドはいつも、主たる流れの真ん中にはいないで、影で支える場所にいる。
クモに関して。
もともと存在する"邪なもの"に、まんまと利用されていただけのような気がする、クモ自身が中心となって悪事を働いた、というよりは。
なんかどっかにも書いた気がするなぁ〜、宮部みゆきさんの英雄の書にでてくるヒロキ、みたいに。もちろん、生きている人間誰にでもある、黒い欲望はベースとしてあったと思う、そしてクモはその欲望が人一倍強くて、かつ欲望を叶える力もあった、若かったゲドと同じように。その心のすきまに邪なものが入り込み、結局扉を開けさせられてしまった。死の国でクモとゲドが会話するのを読んでいたら、結局「どうしよう、扉を開け放ってしまった、大変なことになって自分の手には負えないよ」って言っているように思えて来ちゃった。
やっぱり、私たちの世界でも誰にでも起こりうることじゃないのかな、魔法とか、極端なファンタジーは別として。
本では、町の荒廃ぶりが映画に劣らずヒドくて…映画は本に忠実だったと思う、三巻がベースとなっているのならww
麻薬をかんで町の片隅でうずくまっている人々、人買いに鎖で繋がれて売られて行く奴隷。ニセモノばかりが並び、見た目ばかりにぎわっている市場。
映画の方の批評で、冒頭お父さんを刺す息子から入るのはどうか?みたいなことどっかで書いてるのを読んだけど、本がこれなら、親を刺す息子っていうのもアリではないかと思ったです。殺したとまではっきりしてるわけじゃないし、本でも赤ちゃんを生け贄として刺そうとしているのをみたと、竜が言う記述がある。異常ぶりがよくわかるよね。
さて、あとはテハヌーだけど。
どんな風にして物語にでてくるのかな。
ラストで。
竜の背に乗る時、杖は置いて行くと言うゲド。
ロークの学院にアレンを送り届けた後、自分はロークに戻らず再び竜の背に乗る。
その後のことは、後世に歌い継がれる歌のみで事実として語られていなかったことが、余韻があってすっごくよかった。 -
Iでは心の闇と孤独を、IIでは自由の意味を、そしてIIIでは死に対する理解を、。I、IIとお話しが進むにつれテーマも深まり、こちらも何度も読み込みたくなる一冊でした。シリーズ三冊、どれをとってもルグウィンの生み出す世界観は本当に凄い!死というものを正しく捉えたゲドの言葉は、そのまま読者へと語られ、納得を促します。ゲド戦記のこの物語は、誰もが持つ捉えようのない不安への答えを導き、私たちを明るいところへと戻してくれる、お守りのような書だと思います。
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ファンタジーの世界観の作り方が非常にうまい。派手さはありませんが、それが良い。内省を促す演出には脱帽。
子供の頃に読みたかったですが、大人になっても繰り返し読み応えがあると思う。 -
読了。シリーズには続きがあるけど、やっぱり最初の三部作が控えめに言って最高。残りはファンサービスみたいなもんだよね。
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昔読んだおすすめの本です
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自分が小学5年生くらいの当時、シリーズはこれが最終巻だった。だから3部作なのだと思っていたし内容的にも締めくくりにふさわしかったように思う
1巻(影との戦い)の頃は血気盛んな青年だったゲドも老人期に入っているし、アレンという若者も出て来るし、さいはての島で決着がついたし、と。
実際はこの後続いたシリーズの別作品を読む事でさらに物語が熟成していったと感じる。逆にここで終わらなかったからこその円熟味が出たというか。 -
アレンかっこいい…
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ゲドが歳を重ね、若い青年と旅をする。壮年の心、青年の心、読んでいるとふだんの生活によくあるような葛藤がでてくる。
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主人公は王子のアレン。王家の血をひくというだけで、魔法も使えないまだ少年のアレンが、世界の均衡を守るため奮闘する姿がいい。ゲドに対して、ただの尊敬から友情が芽生える場面もみどころ。また、この作品では魔法を無駄に使わないところも、重みがあって好きです。<内容>ロークの大賢人となったゲド。世界が均衡を失った原因を求めて、若き王子アレンとともに<さいはての島>へ旅に出る。そしてついに永遠の命を得ようと生死両界の扉を開けてしまった魔法使いと対決し、死の国の境界で死力を尽くして戦う。シリーズ第3弾。