モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)

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制作 : ミヒャエル・エンデ  Michael Ende  大島 かおり 
  • 岩波書店 (1976年9月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001106879

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)の感想・レビュー・書評

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  • 効率を追い求めるあまり心の余裕を失っていく現代人を諷刺した、ちょっぴり辛口のファンタジー。「親が子供に読ませたい本」というのはよく聞くが、これはもしかすると「子供が親に読ませたい本」かもしれない。私は大人になってから読んだので、子供がこれを読んでどう感じるのか本当の所はわからないけれど。

    ひとの話を無心に傾聴するという特技だけで勇敢に戦うヒロイン・モモをはじめ、脇役の大人も子供たちも、美点も欠点もひっくるめて実に魅力的である。私のイチオシはカメのカシオペイア。30分先のことまでなら正確に予見できるという頼もしいような心もとないような微妙な能力を持ち、しかもその戦い方は、敵がどこを通って追いかけてくるかを予見してその場所にうずくまり、敵が自分につまずいて転ぶのを待つという前代未聞の戦法である。こんなに健気でキュートな戦士がほかにいるだろうか!

    ところで、大型書店のレイアウトは大体どこも同じだが、私が足繁く通う某書店では、絵本・児童文学コーナーは店の一番奥にある。そこに辿り着くには、1階の話題書コーナー、文芸書コーナーを通って2階へ行き、ビジネス書コーナー、参考書コーナーを経由して2階の端っこまで行かなければならない。

    その間に必然的に多くの本のタイトルを目にするのだが、改めて眺めてみると、これがまた何とも示唆的なのである。「必要な知識を15分でインプットできる速読術」「本当に頭がよくなる1分間勉強法」「残業ゼロ! 仕事が3倍速くなるダンドリ仕事術」等々。「時間をお金で買う技術」なんてのもある。絵本コーナーでは、賑々しい音や光の出る幼児向け絵本(電池式)が目につく。それらを横目に通り過ぎてようやく児童文学コーナーに着くと、奥の棚にひっそりとこの本が置かれているというわけだ。

    時短系ハウツー本を否定できるほど、私は高尚な人間ではない。とはいえ、やはり殺伐とした感は否めないそれらの本をかきわけて行った突き当たりにエンデの「モモ」があるという事実は、私の心をほんのりと暖かくしてくれる。もちろんそれは、単に本屋のレイアウト上の必然に過ぎないのだが、発行されてはすぐに消えゆく流行本の間をすり抜けて最奥部に辿り着いた者だけが「モモ」を読むことができるというのは、なかなか面白い話ではないかと思うのだ。

    大人がめったに足を踏み入れることのない本屋の奥で、今日もモモやマイスター・ホラが笑って手を振っている。カシオペイアの甲羅には「ズット ココニイマスヨ」と、この本を読んだ人にだけ見える文字が浮かんでいる――そんな光景を連想させてくれる、楽しい物語だった。

  • 大人の童話。大人も子供も夫々の体験、考え方から、どちらも楽しめる内容である。人間の根源に迫るテーマである。標題の表すとおり、時間がテーマの重要な部分を担う。すべての人間にとって与えられた時間は平等である。そこに時間をためるという発想がまず、面白い。自分にとって大切な時間を他の仕事に振り替えて、無駄をなくす。それは人間性をなくしてしまうことに等しい。効率が優先されることは、子供たちの未来の時間をも奪ってしまうことになる。友達と友情や信頼、独創的な発想など。まさに、現代文明社会の批判ともとれる内容だ。失われてしまった、時間をもとに戻すことはできない。文明とは、便利になった。しかしそれに伴いなくしたものを取り戻すことはできるが、それが必要であるか(時間の花)生きがい、個性。育てることの手間。そして、人それぞれで違う、また、枯れる。

    カシオペア、亀なのでなぜ?近未来が見える。

    灰色の男たち、時間の花を保存矢印タバコにして吸う。個別の特色ない男たち、1が全体を表し、分裂する?

  • 人生で読んだ中で1番好きな本だ、と、初めて読んだ小学生の頃に思って以来、これまで人生の様々な場面で何度も読み返してきた、私にとってとても大切な本です。

    年齢を重ね、仕事を始め、日々仕事に忙殺される中で、どうしても、「『圧倒的なスピード』に価値がある」という認識の下、無駄を省きたい、効率的にやりたい、時間を取られたくない、ということを無意識に、優先的に考える様になりました。

    やはり全てのことにたっぷりと時間を使うことは出来ず、時間は有限です。
    大切なことを見失わず生きよう、と、小学生の頃に純粋に思ったことは、今では、何が本当に大切なもので、何が大切ではないことか、を見抜く事も難しくなり、人生の時間をどの様に過ごすか、迷ってしまっている最中です。

    ただ、灰色の男たちの様に、自分たちのため(最終的には自分が生き延びる、自分個人のため)に時間を使うのではなく、モモやジジ、ベッポの様に、自分の大切な人のために使う時間、自分の大切な人と過ごす時間、が、やはり、自分にとっての本当に大切なものになるんだと思います。


    『時間』の概念について、初めて考えてさせてくれたのが、モモでした。
    人が生涯の中で過ごす時間の一瞬、一瞬に、読む人なりの価値と意味を考えさせてくれる本だと思います。
    『この世のものとは思えないほど美しい時間の花』が、一人一人のために、その一瞬一瞬のために咲いている、という光景は、孤独な気持ちを感じていた頃の自分にとっての希望にもなりました。

    これからも、大切に読んでいきたいです。

  • 「時間」が様々な言葉で描写されていて、すごくきれいだった。
    最初引き込まれるが、先の長さに途中挫折しかけて、7章あたりから再び入りこんで読んだ。本が好きな人なら人生で1度は読んでおきたい1冊かも。

    世界中を旅した友人に、日本は時間の流れが速いのだと聞いたことがある。また、鬱病の発症も多いのだという。まるでこの物語の町の人たちのようだ(笑)「時間を大切に」という言葉はよく言われるが、本当に時間を大切にするとはどういうことか考えさせられた。人間85歳まで生きたとして約27億秒、大切に使いたい…「じぶんの時間をどうするかは、じぶんじしんでしかきめられない」のだから。
    仕事や日常に追われていて毎日忙しく本を読む時間がない!!という人にほど読んで欲しい。

  • 小学生の頃に映画を見たことがあって、原作をようやく読めました…

    読んでよかった!

    最初は、

    いたれりつくせりに完成されたおもちゃは、子どもが自分で空想を働かせる余地がない、

    とか、そういう文になるほどなーって感心しながら読んでいたのが、
    途中からは、ドキドキしながらモモの活躍を目で追っていました。

    カメのカシオペイアが好き!


    時間ってなんだろう。

    マイスター・ホラは言いました、

    「…光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのとおなじに、人間には時間を感じとるために心というものがある。…」(p.211)

    なんて素敵な言葉!

    そして、もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないもおなじ!!

    このいま過ぎていく一秒一秒に、美しい花が咲いているのだと思うと、命って尊いな、と感じました。

    節約、時短、すればするほど忙しくなっていく、いつしか追い立てられて生活している…
    身につまされます。

  • Sun, 06 Jun 2010

    ずーっと,実家にハードカバーのモモがおいてあったんだが,
    特に読みたいと思わず,ほっていた.
    # 誰が買ったんだろ・・

    地域通貨ながれで,「エンデの遺言」から,ミヒャエル・エンデの代表作 「モモ」にやってきた.

    児童小説なんですが,そのバックにあるのは,完全に
    「近代社会の批判」 です.

    その中で,時間 と 金融 に焦点を当てているのが,「モモ」の圧倒的なところ.
    多分,子供は,この裏に隠れている重みをまったく理解出来ずに読むんだろうなぁ・・.

    敵(?)となる灰色の男達は,時間貯蓄銀行からやってくる.
    時間貯蓄銀行に時間を節約して,その分預けると将来的には利息がつくという.

    この口車にのせられ,せっせと時間の貯蓄を始める,人たち,
    世の中は,激しく回り出し,みんなの余裕はなくなっていく.

    本書の中でかかれているわけではないが,
    時間=お金 と置き換えても,大体同じだろう.
    時給換算で考えると,結局, 時間=お金という面はある.

    モモはそのなかで,まったくそのような論理に組みしない,
    浮浪者みたいな女の子.

    この女の子が,時間におわれ青ざめていく人々を
    灰色の男たちをやっつけて,解放するというおはなし.

    ストーリーだけを表面的におうと,すごーく,映画向きでラストにむかって盛り上がる感じだし
    こうはんは,はらはらのヒーローもの?

    なんですけど,

    やっぱり扱っている題材が かなり コア!

    正直,最近いそがしさに追われ,子供と遊ぶ時間もあまり持てずにいる自分のことを反省せざるをえない,感じでした.

  • 時間をぬすむ灰色の男達に立ち向かう不思議な女の子モモのお話。時間がなくなって、お金が増えてどんどん忙しくなって、心も友達も楽しみも失ってしまう…というところは現実とオーバーラップしてしまいます。ファンタジーで子供向けに書かれてはいますが、大人が読んだ方がメッセージを強く受け止められるかも。でも、こどもにはこどもの読み方があります。登場人物がみんなとても魅力的でメッセージを超えて大人もこどもも楽しめます。

  • モモは、私の読書人生を変えたと言ってもいいくらいの運命の本。高校生のときに初めて出会い、すごい衝撃を受けて夢中で読んだ記憶があります。きっと生涯にわたって何度も読み返す本。大事なことを思い出させてくれる!

    仕事も遊びも人とのコミュニケーションまでも、あらゆるものの効率化がこのまま加速していったら本当にこんな世界が来てしまうかも。現代人のバイブルとなるべき物語だと思います。

  • 小さい時に読んだらどういう感想を持つのだろう・・・

    時間について、大人が読むとはっとさせられるような言葉がちりばめられていました。時間に追われて仕事をして、生活が豊かになっても心が死んでいったら、生きている意味ないかも・・・と思わされました。
    時間どろぼうも的を得たことを言うから驚きです。確かに世界を人間のすむ余地のないようにしたのは人間だ・・・最後の一体が消える時、敵ながら悲しかったです。「これでいいんだ」ってどういうことでしょう。

    最後のモモの挑戦はすごいスピードで読みました。ベッポにあえてよかったです・・・
    マイスター・ホラが紳士でかっこいい!
    物語のしめくくりの文章がいたずらっぽくてとても好きです。挿絵も素敵。

  • 時間。
    黙っていたって進んでいくし
    どう過ごすかは自分次第。

    一秒たりとも同じ瞬間はないし、
    誰かにあげることもできない。

    誰かと一緒にいたくなったり、
    一人になってみたくなったり。

    二度と同じ時はおとずれないから
    後悔なんてしてる暇はないんだと
    思わせてくれる。

    ああ忙しいなって思った時こそ
    この本ページをめくろうと思う。

    何度でも読みたいし、きっと読む。

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モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)の作品紹介

時間におわれ、おちつきを失って人間本来の生き方を忘れてしまった現代の人々。このように人間たちから時間を奪っているのは、実は時間泥棒の一味のしわざなのだ。ふしぎな少女モモは、時間をとりもどしに「時間の国」へゆく。そこには「時間の花」が輝くように花ひらいていた。時間の真の意味を問う異色のファンタジー。小学5・6年以上向き。

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