クローディアの秘密 (岩波少年文庫 50)

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  • / ISBN・EAN: 9784001140507

感想・レビュー・書評

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  • 「ジョコンダ夫人の肖像」が面白かったので、カニグズバーグ2冊目

    「ジョコンダ夫人の肖像」ではレオナルド・ダ・ヴィンチ、こちらはミケランジェロの作品の謎に迫る




    【多少のネタバレ有り ご注意ください】

    6年生のクローディアはおませなある家の長女
    潔癖で、物事を計画的に進めることが大好き
    成績もよく慎重でしっかり者だ
    反面、したたかで融通が効かず、柔軟性に欠ける頑固な一面や、そこを人に強要する面倒くささも合わせ持つ
    こんな記載はないものの、クローディアはクラスでもちょっと敬遠されるようなタイプじゃないかなぁ
    女子からは上から目線が気に入らないと言われて、男子からは口うるさい女子!みたいな…ね

    何か変えたい、変わりたい
    不公平な境遇(と本人だけが思い込んでいる)と、毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしていた
    そんな思いから、家出をすることに
    もちろん冷静で計画性のあるクローディアは突発的に荷物ひとつで家を飛び出すなんて、おバカなことはしない
    家出先も家出仲間も計画的に選んである
    都会の子らしく家出先は綺麗なところ!と選んだのはなんとニューヨークの「メトロポリタン美術館」だ
    そして仲間は3人の弟のうち、口がかたくて(子供なりにというレベルだが)、何より(子供なりに)お金持ちのジェイミーを選抜
    ジェイミーは単純で能天気…というかいわゆる子供らしい子供
    トランプでズルはするけれど(それでお金を貯めた)

    こんなワクワクしそうな家出なら、やってみたい!そんな子供たちが続出しないか心配になる
    私だってメトロポリタン美術館に2泊3日とかやってみたいもの!
    (いや、やっぱり真っ暗なだだっ広い美術館は大人でも怖いか…そう言えばあそこはミイラもあるしなぁ)

    二人は知恵とお金とユーモアで、家出をがっつり成功させていく
    そして、美術館でミケランジェロ作品ではなかろうかという「天使」という彫像に出会う
    クローディアはこの「天使」に魔法をかけられたかの如く、夢中になる
    この作品の謎を追わずにはいられなくなり、家出なんかより重要になってしまう
    やがてクローディア達は、元の持ち主であるフランクワイラー夫人の元へ…

    フランクワイラー夫人とクローディア達のやり取りがとても良いのだ
    只者ではない、82歳(年は内緒)の老女
    彼女の好奇心をくすぐるクローディア達の子供らしさと大胆さ
    最初はブツブツ思いながらも、子供たちをすっかり気に入り、秘密の交換をしたり、取引をしたりし(ジェイミーの得意なトランプも!)きちんと大人扱いする
    最後は子供たちを満足させて家出を終わらせるよう仕向けるのだ
    素晴らしいネゴシエーターである

    「秘密」を持つことで人は人をちがったものにするのに役立つ
    人の内側で力を持つ
    内側で自分の力で考えたり練ったりすることで、本物になる
    「秘密」を持つことによる意義や、心の糧となりそこから広がる世界観、共有する連帯による相互関係、想像力を広げ他人を思いやる気持ち、それらが人の成長につながっていく…そんなことを教わりとても興味深い
    カニグズバーク自身、3人の子供のお母さんであることから、子供の教育を示唆する(だけど決して頭ごなしではない)このような考え方が土台となっているの作品なのだろう
    また「秘密」は、本当にまったく誰も知らないと「秘密」の効力は発揮しない
    「秘密」の存在すら知られなかったらもうそれは秘密じゃないもんね
    「秘密」を持ったクローディア
    元の生活がきっと今までと違う感じがするんじゃないかなぁ
    だって自分の心でしか世界は見れないからね!

    またこの本の仕掛けてくる構成も凝っている
    ちょっとしたミステリー要素もあるのだが、最後は「ああ、よかった!」という素敵なオチもある

    「小学5・6年生以上」
    とあるが、大人でも十分楽しめる
    大人だからこそわかることもある
    またカニグズバーグが子供を子供扱いせず、読者である子供たち対しても対等に扱っていることが素晴らしい
    こういうことって頭でわかっていてもなかなかできることじゃない
    そんな姿勢も心に響く

    知的でセンスが良く、ユーモアに溢れている素敵な読み物だ

    • ハイジさん
      nejidonさーん(笑)♪
      ありがとうございます。

      カニグズバーグいいですねぇ
      仰るとおり知的ユーモアがあれば、世界平和も夢じゃない
      そ...
      nejidonさーん(笑)♪
      ありがとうございます。

      カニグズバーグいいですねぇ
      仰るとおり知的ユーモアがあれば、世界平和も夢じゃない
      そう思わせてくれます
      読むたびに、新しい発見があり、視野が広がりますね!
      nejidonさんのおかげです(^ ^)
      2020/09/21
    • kuma0504さん
      ハイジさん、おはようございます。
      「秘密を持つことで人は内側に力を持つ」という言葉にビビビと来ました。確かに人類は秘密を持つことで進化してき...
      ハイジさん、おはようございます。
      「秘密を持つことで人は内側に力を持つ」という言葉にビビビと来ました。確かに人類は秘密を持つことで進化してきたのかもしれない。
      だとしたら、わたしも「きちんとした秘密」を持ちたい。左官修行なんてレベルのモノじゃない秘密は、確かにあるけど管理を考えたい。一つ思いついたけど、作家が小説を書く原動力は、その秘密を小出しにすることで得ているのではないか?
      ちょっと内容と関係ない話を長々とすみません。
      2020/09/22
    • ハイジさん
      kuma0504さん
      コメントありがとうございます。
      「秘密」を持つって一見良くないイメージですが、この本を読んで、「秘密」が原動力になるこ...
      kuma0504さん
      コメントありがとうございます。
      「秘密」を持つって一見良くないイメージですが、この本を読んで、「秘密」が原動力になることもある!ハッとさせられました。
      誰しも恐らく思い当たる節があり、私もkuma0504さんと同じくしてビビッと来て考えさせられました。
      仰るとおり、秘密の最大の功績は人類の進化かもしれませんね。
      作家さんのお話しも、大きく頷きました!
      本当にそうですね。
      アーティストの創作も然り。
      面白いです!
      興味深いコメントありがとうございます。
      「秘密」というwordで暫く楽しめそうです♪
      2020/09/22
  • 目次の次に現れるのはメトロポリタン美術館の内部図。
    そしてお次は、「わたしの弁護士・サクソンバーグさま」という手紙。
    手紙を書いたのはどうやら、モノクロの線画に描かれたフランクワイラーさんという老女らしい。
    この老女の語りでお話が進む。
    「読んで、理解してください」と結ばれた手紙の、この出だしだけで秘密めいている。
    タイトルだけでも気を引くのに、一体どんな秘密が展開されるのか。
    1967年に出された本だというのに、今も読み継がれている児童書の名著。

    秘密を持つことは良くないことのように大方の人は教育されている。
    でも本当はその逆で、秘密を持つだけで子どもは賢くなり、成長していく。
    もちろんその秘密は、誰かのものを盗んだり壊したりすることではなく、自分で発見する喜びのこと。見出すことの幸福が、個の確立と成長に繋がり、結果として家族やコミュニティと上手く繋がる力にもなっていく。
    作品の中で作者が何度も秘密の大切さを語っている点がとても重要で、日本のお話には決して登場しないタイプの話になっている。
    何しろ家出の先はメトロポリタン美術館だもの。

    12歳のクローディアは、何かに腹を立てて衝動的に家出したわけではない。
    何かと不公平な毎日が退屈で、変わったことがしてみたかった。
    用意周到に計画をたて、金銭面でしっかりした腕前の9歳の弟を伴って「家出に行く」。
    タフなメンタルの持ち主が主人公のため、ワクワク・ハラハラ感はかなり少ない。
    場面も、美術館内が大半。しかし、この美術館内で発見したものがすごかった。
    さてふたりは、この美術品の秘密にどこまで迫れるか。
    お話は、冒頭の手紙の差出人であるフランクワイラーさんに出会うところから、思いも寄らない結末へと導かれていく。

    親があわてふためくという描写が一切ないところも興味深い。
    家出という行為に与えている意味も日本とまるで違い、子どもの成長を見守る作者の愛を感じる。
    一番面白いのは、頭が良くて理屈っぽく野心家のクローディアを、うまく現実的におさめたのがフランクワイラーさんであるというところ。
    終盤のこの老女のセリフがとても味わい深く、ここだけ何度も読み返してしまった。
    成長の傍らには賢明な大人がいるものなのね。こちらも、この夏ぜひどうぞ。

    • nejidonさん
      佐藤史緒さん,こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!
      その大貫妙子さんの歌というのを、他の方のレビューでも...
      佐藤史緒さん,こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます。とても嬉しいです!
      その大貫妙子さんの歌というのを、他の方のレビューでも読みましたが、残念なことに
      分からないのです。
      年齢的にはクリアしているはずなのですけれどねぇ・・
      悲しいかなピンと来なくて、歌好きな友人に歌ってもらいました(笑)
      まさに、この作品にインスパイアされて生まれた歌なのだと思いましたよ♪
      そうそう、楽器のケースをトランク代わりにするのですよね。とても賢い子たちで。

      この作品、佐藤史緒さんはきっとお好みなんじゃないかしら?
      ひとつ前の「シャーロットのおくりもの」と共に、ぜひどうぞ!
      メトロポリタン美術館に詳しくなれて、とても楽しい読書タイムになるかと思います。
      2018/07/18
    • 佐藤史緒さん
      みんなのうた史上「怖い歌」としてぶっちぎりで名前の上がることの多い歌ですが、私は良い曲だと思います。シュールではありますけど。それにしてもご...
      みんなのうた史上「怖い歌」としてぶっちぎりで名前の上がることの多い歌ですが、私は良い曲だと思います。シュールではありますけど。それにしてもご友人の方、すごいですね、いきなりリクエストされて歌えるなんて!(笑)

      ほんとうに好きそうなお話ですので、今度、岩波少年文庫の置いてある本屋に行ったら探してみようと思います♪ 「シャーロットのおくりもの」と一緒に…
      すてきなお話、ご紹介ありがとうございました
      (*´∀`)♪
      2018/07/19
    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、再訪してくださってありがとうございます!
      でしょう?でしょう?その友人は公立中の音楽教師です。
      「みんなのうた」の譜面はほ...
      佐藤史緒さん、再訪してくださってありがとうございます!
      でしょう?でしょう?その友人は公立中の音楽教師です。
      「みんなのうた」の譜面はほとんど入手しているのですよ。
      この時も、譜面を見ながら実に明るく楽しそうに歌ってくれました。
      よって、大貫妙子さんもビックリの全然怖くない歌でした・笑
      私は図書館で借りたものですが、書店でも首尾よく手に入りますように!
      期待に違わない読書となりますよう、秘かにお祈りしております。
      2018/07/20
  • 好きな作家さんが何人かこの本を紹介していたので、気になって手に取った。

    12歳で長女のクローディアは、家族の自分に対する扱いに不満をもち、家出を計画する。家出先はなんと、ニューヨークのメトロポリタン美術館である。
    クローディアは、二番目の弟のジェイミー(倹約家で一番お金を持っている)を仲間に引き入れて美術館に潜入し、そこで暮らし始める。

    美術館で暮らすなんて、想像するだけでわくわくする冒険だ。さらに、潜入中、美術館が競争入札で手に入れたミケランジェロの彫刻と思われる天使の謎を2人が調査するパートは、ちょっとした謎解きの面白さもある。
    でも、なんといっても本書のメインは、大人の世界に踏み入れようとするクローディアの成長である。
    彼女は何か違う自分になって家に戻りたいと思っているが、違う自分とは何なのか、自分でもわかっていない。ジェイミーと違い、彼女にとって天使の像の謎は、自分を変えてくれるきっかけなのだ。

    彼女とジェイミーは、謎を解き明かすために、像を競売にかけたフランクワイラー夫人に会いに行く。フランクワイラー夫人は現実的な考えを持つ女性で、クローディアたちを対等な人間として扱い、秘密を共有する。解明されていない秘密の存在と、それを自分とジェイミー、夫人しか知らないという事実によって、彼女は家出をようやく終わらせることができたのである。

    思春期の行き場のない不満や焦燥感など、誰でも一度は通る道を丁寧に描きつつ、冒険やミステリの要素をミックスさせた、大人にも子どもにも楽しい一冊。

  • メトロポリタン美術館がコレクション売却を検討。コロナによる財政難のため|美術手帖
    https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/23557

    メトロポリタン美術館 | NHK みんなのうた
    https://www.nhk.or.jp/minna/songs/MIN198404_04/

    クローディアの秘密 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b269525.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      自分でも驚いていますが、読んだ本より読みたい本を優先して挙げているので、、、このような驚きのニュースでも無いと。。。
      カ...
      nejidonさん
      自分でも驚いていますが、読んだ本より読みたい本を優先して挙げているので、、、このような驚きのニュースでも無いと。。。
      カニグズバーグは好きな作家です「ジョコンダ」「ムーンレディ」「ジェニファ」「キャロライン」、、、
      そうそう「ジョコンダ」は、少年文庫化を待てずに買った一冊です。。。正確には古本で買い直しました。
      2021/02/10
    • nejidonさん
      猫丸さん♪
      ああ、良かったです!
      ジョコンダ夫人は先ほど確認して小躍りしました。あれは素晴らしいですね!
      もう一度言いますが、本当に好...
      猫丸さん♪
      ああ、良かったです!
      ジョコンダ夫人は先ほど確認して小躍りしました。あれは素晴らしいですね!
      もう一度言いますが、本当に好きな作家さんなんです(*'▽')
      ありがとうございます!!
      2021/02/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      猫がカニグズバーグを好きなのは、一言では無理ですが、ひとつは徹頭徹尾「子ども」の味方だと思えるコト。今ひとつは「弱い立場...
      nejidonさん
      猫がカニグズバーグを好きなのは、一言では無理ですが、ひとつは徹頭徹尾「子ども」の味方だと思えるコト。今ひとつは「弱い立場の側」に真摯に向き合っているからでしょうか、、、
      んー省略し過ぎ?
      2021/02/11
  • あるご婦人から自分の弁護士への手紙、という形式で物語が始まります。このご婦人の語りから、一筋縄では行かない感がビシビシと出ています。
    読者は読んでいくうちに、このベシルというご婦人と、主人公であるクローディアとはどのような関係なのだ?と思いながら読み勧めてゆきます。
    手紙は語ります。

    11歳のクローディアは下に三人の弟がいます。お小遣いは少ないし、私だけお手伝いは多いし、すぐ下の弟はサイアクだし、持ち回りで一番下の弟の弟の面倒を見なければいけないし、毎週毎週同じこと、同じ喧嘩の繰り返し。もうただのオール5のクローディアでいることに飽きました。家族が私をもっと重要だって気がついてくれなくてはいけない。だから家出することにしたのです。
    クローディアは計画を建てることが得意です。だから今回もちゃんと計画を練りました。
    家出の最中に身を寄せる場所は?昔ながらのリュック1つで行くがままに外を歩くなんて、現代っ子のクローディアには無理です!
    クローディアが家出先として逃げ込む場所は、大きくて気持ちが良くて美しい屋内…そうだ、NY市のメトロポリタン美術館が最適です。
    それから家出の相棒を決めなければいけません。弟たちの中では、下から二番目で9歳のジェイミーがまだマシです。男の子らしく面倒なことが大好きですが、口が堅くユーモアもありお金のことはしっかりしています。全体的にしっかりしているけれどお金の管理はちょっと苦手なクローディアにとって、家出の相棒としては最適でしょう。

    クローディアとジェイミーは綿密に練った計画の元、ついに家を出て、メトロポリタン美術館で生活することになりました!
    警備員さんの目から隠れ展示のベッドに寝ます。昼は美術館を出て食事をしたり、美術館めぐりをしたりします。
    だってこの家出はただの家出ではありません。なにかを身に付けなくては。エジプトの部屋、ルネッサンスの部屋、…あの行列は何でしょう?クローディアは、目玉商品として美術館に買い取られた、ミケランジェロ作ではないかと言われている天使の像に夢中になります。
    専門家たちが鑑定に鑑定を重ねても出どころがはっきりしない天使像。自分たちはその像の一番近いところで寝泊まりしている。それならこの像の秘密を探ろう。それこそ自分がこの家出で成し遂げたと言えることになる!
    図書館、新聞、美術館の解説…クローディアとジェイミーは天使像の作者を調べようとします。

    しかしやはり子供の、しかも家出で隠れ住んでいる子供の力では限界があります。
    それにもう1週間立ちました。さすがにそろそろ家に帰らなくては。

    しかしこのまま帰ったら、私はまた毎週毎週同じことの繰り返しのただのクローディアになってしまう。自分は何かを成し遂げなければいけないのに。なにか大きな冒険をしたという、何かを成し遂げたという、自分だけの秘密を持たないと、家出する前と変わらなくなってしまう…。
    クローディアとジェイミーは、美術館を出て、天使像を寄付したご婦人ベシルさん、つまりはこの手紙を書いている私の家に向かったのです…。

    ===

    10歳のうちの次男に読ませようと思って借りてきたのですが、まだ初盤の家出したあたりで「クローディアが好きになれない〜」「やることが極端すぎるし、家出するくせにお金にいい加減だし」と言って脱落。
    どうやら同じ年頃のうちの日本男子には感覚が合わなかったことと、親である私には(成長のためとはいえ)子供が1週間も行方不明だなんてキツイと思うところもあったので、
    ★は一つ減らしています。

    以下は私の感想。

    題名が「秘密」というので、もっと具体的な秘密のことかと思っていたら、
    自分が自分でいるために、成長するためには自分だけが胸に持っている「秘密」が必要であり、知識だけでなく自分の中で温める「秘密」が大切だ、という内面的なものでした。

    しかしこのクローディアとジェイミーのしっかりしていること!
    家出をはじめとする生活面もそうですが、最後に「秘密」を持っているということについて納得する答えを出し、さらには二人で本当の”相棒”にもなりました。
    更には語り手であるベシルさんのただもんじゃない感がまた愉快。いきなり訪ねてきた家出中の子どもたち二人を見て、彼らが何かを得たがっていることを知り、そして対等の相手として取引を申し出るのです。
    「秘密」と「家出」の顛末は、まあお話としてできすぎた感はありますが、登場人物の考え方、誰もが自分でいるために必要なもの、など大変前向きな物語でした。

    …しかし私は子供がいる親の立場なので、
    もしこの物語の親のように4人の子供育てて、そのうち子供2人が1週間行方不明になったら思うと…orz

    • nejidonさん
      淳水堂さん、こんにちは(^^♪
      丁寧な良いレビューですね!
      カニグズバーグはどれも大好きです。
      言われる通り「同じ年頃の日本男子には合...
      淳水堂さん、こんにちは(^^♪
      丁寧な良いレビューですね!
      カニグズバーグはどれも大好きです。
      言われる通り「同じ年頃の日本男子には合わない」って、言うことろがありますよね。
      自立を促すのがあちらの親御さんであり社会環境なのでしょう。
      そのあたりがしのばれる、良い作品だと思います。
      いいなぁ、カニグズバーグ。
      私も読みたいのですが、図書館がどこも休館でどうにもなりません。
      2020/04/16
    • 淳水堂さん
      nejidonさん いらしていただきありがとうございます。

      私が子供のころあまり絵本や児童文学を読んでいなかったので、私が興味があるも...
      nejidonさん いらしていただきありがとうございます。

      私が子供のころあまり絵本や児童文学を読んでいなかったので、私が興味があるものを子供に読ませてる状況です。

      実に素敵な行動力ですが、

      英米の映画や本では、子供も家族の役割があり、自我がありますよね。
      映画の子役さんも、子供、ではなき、俳優、という感じだし。
      このクローディアに取っては役割が不公平だったようですが(笑)

      読者が合わない、分からない、という感想を持ったとしても、
      でもそういう人がいるんだな、とわかることが大切ですよね。
      2020/04/16
  • 読み終わりほやほやなので、うっわ最後の2章!
    という、語彙力ゼロの感想です。

    小学5、6年生から読める岩波少年文庫。
    小学生にも劣る感想文…

    家出してメトロポリタン美術館でしばらく寝起きする姉弟のお話。
    ♪バイオリンのケース トランペットのケース
    トランクがわりにして出発だ♪

    いろいろいうのは野暮なんで。
    うっわ最後の2章!です。

  • とてもワクワクさせられました!
    正反対の性格の姉弟が、家出をします。計画を立てたのは姉のクローディア。クローディアは三兄妹の長女。“長女だから”と言われ続け不自由な目に我慢の限界を感じ、家出を決意。弟のジェイミーとメトロポリタン美術館に忍び込みます。そこでの生活は今まで何不自由なく暮らしてきた2人にとって空腹との闘いや、お金の問題に悩まされます。しかし、ある日2人は美術館の天使の象にひきつけられ…!
    小学校高学年から大人の方まで楽しめる作品だと思います

  • すごく面白かった。
    クローディアは綿密に家出の計画を経て、二番目の弟ジェイミーを連れて美術館に家出に"いく"。
    そこで出会った天使の像になぜだかとても魅了され、クローディアは秘密を解き明かさねばと天使について調査していく。そして冒頭からの語り手であるとある夫人に行き着き…どきどきである。
    秘密というものについて改めてどきどきさせられ、胸に秘めるということの大事さを思い出させてくれる物語だった。秘密を持つことで、新しい自分を見つけることができるのだ。
    著者の他の本もゆっくり読んでいきたい。

  • 夏休みもほぼ終わり。図書館の目立つ場所にあった児童文学。
    を、私が借りてしまった。

    だってメトロポリタン美術館に潜むなんて、ドキドキしちゃうじゃないの。
    それをしたのが、12才のクローディアと9才のジェイミーの姉弟。
    そう2人は家出をしたのだ。
    家出というか、これは冒険だ。
    途中から、美術館に展示されてる小さな天使の像に2人は魅了されていく。
    ミケランジェロの作品じゃないかという事を突き止めようと必死になる。
    家出してるというのに。
    最後にはとうとう美術館に売却した財産家の所まで行ってしまう。
    これは、なかなかの冒険譚だったかもね。

    私が借りたのは、もうちょっと素敵な装丁だった。

  • 小学生のクローディアとジェイミーの姉弟が、ニューヨークのメトロポリタン美術館に家出した一週間を描いた作品。

    児童文学なのもあり、入り組んだ構成や胸に迫りくる展開みたいなものはありません。
    それでも、クローディアとジェイミーそれぞれの個性が明確に設定され、話の冒頭から書き表されているところが、この物語を生き生きとしたものにしています。

    計画を立てたり考えたりするのが上手いけど、癇癪持ちで、意地っ張りなところのあるクローディア。
    深く考えたりせず、口も軽いけど、けちんぼで、お金の使い方が上手なジェイミー。

    二人の子供らしい無邪気さやわがまま、冒険心といった、生き生きとしたとした描写が存分に楽しめます。

    誰もいなくなった夜の美術館で、展示品である中世の貴族のベッドで眠るとか、毎朝そこから起き出して昼は普通の鑑賞者のふりをしながら美術の勉強をするとか、いい歳した大人になっても、やっぱりワクワクします。
    閉館時と開館前に、監視員の目をかいくぐる瞬間とか、ドキドキして楽しめるし。
    彼らと同じ年齢の子供の頃に読んだら、夢中になっただろうなあ…。

    クローディアの目的が、当初の家出から、とある展示品の謎解きに変わってしまうところなんかは、やっぱり子供らしくてご愛嬌。

    物語の最後は、ちょっと駆け足で取ってつけたような御都合主義な感じもしますが、児童文学と思えば、爽やかでいい終わり方です。

    実在する美術館だけに、美術館内の展示室の描写なんかも楽しくて、息抜きに読むのに良い物語でした。

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