- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001140903
感想・レビュー・書評
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「シンドバッドの冒険」の全部を読んでみようと思って図書館に行ったらこちらがあったので。
ボルヘス編「バベルの図書館」のガラン版。アラジンも収録。
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4336030448
同じくバートン版
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4336025703
【シンドバッドの冒険】
親の遺産を遊蕩で使い果たしたシンドバッドは、商人になり、商船に乗り込む。
一回目の航海。休憩に降りた島が巨大なクジラの背中だった!
二回目の航海。巨大なロック鳥の島に取り残され、ロック鳥の足に掴まり降りたところはダイヤモンドと毒蛇の谷だった。
三回目の航海。人食い巨人と、人食い蛇に仲間たちが次々に食われてしまう。
四回目の航海。人食い族から逃げ出したら王様に気に入られ、美しい妻も娶らせてもらったが、この国では配偶者が死ねば一緒に生きたまま埋められる風習があった!
五回目の航海。巨大なロック鳥に襲われたり、おんぶ老人に取り憑かれたり。
六回目の航海。孤島から宝石と一緒に抜け出したらインドのセレンディプ島の王様に大歓迎され、王からバクダッドの大教主への大量のお土産を持ち故郷に帰ってこられた。
七回目の航海。バクダッドの大教主から「返礼の品を持ってもう一度セレンディプ島に行ってくれ」と言われた。途中で漂流したら象牙商人の奴隷になってしまったが、象の墓場を見つけて無事に逃げられた。
==簡易版だと勢いのある冒険物語なのだが、全部読むとなかなかシビアだった(笑)
シンドバッドも、島で漂流したときは自分だけの食料を隠し持ち一人生き延びたり、墓場に生き埋めにされたら死体から宝石盗んだり、象を射殺しまくったりと生きるためには勇気と運だけでなくずる賢さや思いっきりの良さも必要なのね。
シンドバッドはの航海は、中近東からおそらくアフリカ、そして中国まで非常に広範囲だ。「シンドバッドの冒険」の原典はアラビアンナイトにはなく、他のお話をもとにフランス人文学者ガランが付け加えたものだという。それならシンドバッドが漂流した島に出てくる船を襲う小人族だとか、人食い族だとかは、ヨーロッパから見た中近東やアジア諸国の蛮族のイメージなのだろうか。
そんなこんなで生きるためのシビアさも持っているシンドバッドだが、やはりイスラムの教えというのか、大金を稼いで故郷に戻ったらまず貧しい人々へ施し、回教教会に寄付をする。
何度も命の危機に陥るが、そのたび「神の思し召しにおまかせしよう」と覚悟を決めてる。人の運命は神の思し召し。大金や命を得るのも失うのも。すべて神のくださるものだと覚悟した上で戦ったり知恵を絞ったりする人こそ神は恩恵をくださる。だからこそ貧富や身分の差は運命として当然だし、人を陥れてのし上がったとしても神の定めというように感じました。
【アラジンと魔法のランプ】
アラジンは怠け者の青年。ある日「私はお前の叔父だ。お前を大金持ちにしてやろう」と言う男が現れる。だが男はアフリカから来た魔法使いで、アラジンを使ってなんでも願いの叶う魔法のランプを手に入れようとしていたのだ。アラジンはわけのわからないまま魔法使いに殺されかけ、そして魔法の力で助かる。
家に帰ったアラジンは、魔法をうまく使い商人となる。ある日町の行列にいた姫に一目惚れして、王様のもとに結婚を申し込む。
王様は無理難題を命じるが、魔法の力を持つアラジンはことごとく叶えて美しいお姫様と結婚するのだった。
==前半では怠け者アラジンが魔法の力を手に入れるまでのお話。後半はお姫様と結婚するお話。
お姫様が無個性だが、こんなもんか。
後半は魔法の力で宝を出しまくるので、お話としてはあんまり動かない。
なお、アラジンは中国の回教徒、魔法使いは魔法を持ってる割には不遇に慣れているアフリカ人、ということで、当時のヨーロッパからみた異民族のイメージなんだろうか。
【ペルシア王と海の王女】
ペルシア王は、絶世の美女の奴隷を妃に迎える。后は一切口を利かず、笑顔を見せることもない。一年経ち跡取り王子が生まれると后はやっと口を開く。
后は『海の薔薇』を意味するグルナーレという名で、海の底の世界の王女だったのだ。海の底の世界では戦争が起こり、グルナーレは地上の世界に出てくることになったのだ。
心を通じ合わせたペルシア王のもとに、グルナーレは海の底の自分の家族を呼ぶ。
【ベーデル王とシャウワーラ姫】
前のお話のペルシア王は、グルナーレ后との間の王子べーデルに位を譲って退位する。グルナーレ后の母や兄は、ベーデルの結婚相手として海の底の別の王国の王女で絶世の美女のジャウワーラを引き合わせようとする。だがその父のサマダンダル王は人を見くびり簡単には結婚など許さなかった。
結婚の許しに向かったベーデルも鳥に姿を変えられて、遠くの島に捨てられてしまい…。
==一応お話の中心は、ベーデル王のシャウワーラ姫へのプロポーズに伴う争いごとなんだが、海の王国の争いだとか、人を動物に変える魔女だとか、話がかなりあっちこっちに飛びまくり、地理上も時間上も広範囲なお話だった。 -
すっごくおもしろかった!
シンドバットが、後悔してもつい航海しちゃうっていうのがますますおもしろい。
絵本とか絵の多い本とは、お話とか登場人物とかが結構ちがっていて、うんとくわしく書かれている感じ。でも、読みやすくてたくさん想像できて、こっちの方が断然よかった。(小6) -
バグダッドの商人であるシンドバッドは、インド洋に航海に出て、難破等の困難を乗り越え商売を成功させる物語です。旅の困難に懲りたのにもかかわらず、血が騒いで再び航海に乗り出す、そんな話が6回繰り返されます。7回目の航海だけは教主の命令で赴きました。
大人になってから読むと気づくシンドバッドの物語が描くイスラムの世界観があります。子どもの時に聞きかじっていただけでは、気づきませんでした。
http://naokis.doorblog.jp/archives/Sinbad_the_saior.html【世界の文学を読む】『アラビアン・ナイト』より『船乗りシンドバッドの航海』 : なおきのブログ
2017.12.16 『教養は児童書で学べ』からの選書
2017.12.30 『古典力』より
2017.12.31 「世界の文学作品を読む(2018年に向けて)」に追加
2018.01.06 読書開始
2018.01.09 読了
2018.01.09 朝活読書サロンで紹介する。 -
ファンタジック。きらびやか。
アラビアの気候が生んだ世界なのね~。
盗賊も裏切りもあまり残酷なこととしてとらえられていない気がする。
誤解を恐れずいうと、ISがやって見せることも一部の人にとっては本当に残酷だと思われていないのかもしれない。)とても人間臭いのか?
そうかと思うと’立派な人’も出てくるけど。
人間が一番わからない。
立派でもあり、残酷でもあり。
その分からないものを存在させるために魔人というものが生まれてきたのかな~。 -
気づいたらちゃんと読んだことがない。
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シェヘラザードが命乞いに語った作品集。
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訳も再編の目的も明確で読みやすい。
まあそもそもが「ヨーロッパ人が夢見るエキゾチックな嘘アジアの話」なので、読んでてその地理描写は中国じゃねえとか、中東エリアにその価値観を持ち込むなとか言いたいことだらけだけどな。 -
上巻は『シンドバッドの冒険(1〜7回目の航海)』、『アラジンと魔法のランプ』『ペルシア王と海の王女』『ベーデル王とジャウワーラ姫』の全10編。シンドバッドやアラジンは現代でも(あるいは日本でも)モチーフにした作品が作られているので、却って原典の雰囲気やシンプルなストーリーに触れる価値を感じる。特にアラジンは中国の話として描かれている(ただし、どう読んでも中国ではない)ことなど、客観的に見て楽しめる部分が多い。内容といい文体といい、読みやすいとは言いがたいので、小学校高学年以上向けというのも納得。
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読みたいなと思いつつ、読んだことがない作品。
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読了。レビューは最終巻で。
「シンドバッド第八の航海」には言及されないの?
「シンドバッド第八の航海」には言及されないの?
あ、あれ?本は返してしまったんですが、七回までしか書かれてなかったはず。
大人向けの話ですかね?
あ、あれ?本は返してしまったんですが、七回までしか書かれてなかったはず。
大人向けの話ですかね?
スティーヴン・ミルハウザー 「バーナム博物館」(白水社)です、、、
スティーヴン・ミルハウザー 「バーナム博物館」(白水社)です、、、