ツバメ号とアマゾン号(下) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

  • 岩波書店
4.16
  • (27)
  • (16)
  • (12)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 307
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141719

作品紹介・あらすじ

船長フリントのハウスボートにどろぼうが入り、うたがいをかけられてしまったツバメ号の乗組員たち。船長フリントとの湖上の「決戦」や、ウの島での宝さがし、夜中のあらし…楽しい夏休みは過ぎてゆきます。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館で借りて読み始めたら、下巻がなかなか返却されなくてかなり間が空いてしまった。「ツバメ号とアマゾン号」が発表されてから今年でちょうど90年。今でも愛されているのだなと思う。

    下巻は上巻以上に物語がスピーディーに展開する。宝物の発見、フリント船長との和睦と戦い。特に印象的なのはあらしとの遭遇で、まるで自分がその場にいるような臨場感がある。

    大人になって本書を読み返すと、子どもの頃を思い出さずにはいられない。こういう「ごっこ遊び」は楽しいもの。ウォーカーきょうだいほどではないにせよ、リュックサックにその日のお菓子を入れて、「遠出」を試みたことは何度もある。裏山に木の棒を片手に登って「修行」したことも。そんなかつて子どもだった大人でも、本書は楽しい時間を与えてくれる。

    物語の終わりで、きょうだいは、はたとシラフに戻り、また退屈な日常に帰るのかとがっかりする。この辺りの子どもの心理描写が抜群にうまい。日常があるからこそ、冒険が鮮やかな色彩を帯びるのだ。
    ホット・ラムを飲んで、退屈な日常に戻ろうか。

  • 再読。

    初めて読んだのが2009年9月でした。

    http://d.hatena.ne.jp/lovelyplace923/20090925

    もう4年近くになるんですね・・・月日の経つのは早い!

    以前は図書館で借りた単行本を読んだのですが、今回は少しずつ買い集めている文庫(宝物♪)を手に取りました。

    ちょうどいい季節に読めてよかったです。

    単行本を持っていないので違いをじっくり比べることはできませんが、土人→原住民や片仮名がけっこう増えていたような印象でした。

    大好きな上橋菜穂子さんの解説も嬉しかったです。



    物語の登場人物と久々に再会できた喜びは最高!

    思っていた以上に記憶に残っていました。

    まだ最初の2巻までしか読んでいないけれど、私にとってこのシリーズはゆったり楽しめる癒しの物語になっています。

    ツバメ号とアマゾン号の子ども達と大人達の健全さ(まっとうさというのでしょうか)に元気をもらえるのです。



    そしてやっぱりツバメ号のお母さんが素敵。

    私にとって理想の母親像第1位です。

    我が家の娘達も8歳、4歳になりましたが、育ってきたらきたで母親業もなかなか大変で(笑)

    難しさも感じているところだったからか、なおさらそう感じました。



    続巻もだいぶ買い集めたので、これからゆっくり読んでいきたいと思います。

    対象年齢は小学校5、6年生頃~ということで、長女と一緒に楽しめる日も近づいてきたかな。

  • これも数年間気になっていたが、ようやく読めた一冊。
    12巻、24冊もある長いサーガの1冊目だそうで、さあ、箱を開けちゃったな、と不安半分、期待半分で読み始める。
    意図したつもりはなかったけど、この本の少年少女と同じく、まさに夏休みの始まりと同時にこの本を読み始めたところだったし、最近ほかに読んでいた本が海賊関係だったので、ダリエンとか、知ってる地名が使われていて嬉しかった。
    読後は少年少女の冒険活劇として、読みたいものを読めた!という満足感でいっぱい。
    子供だけで無人島で暮らすなんて、全ての子供の憧れ。
    食糧は自給しなくていいから安心だよね。
    イギリス人の牛乳への依存は半端ない。
    原住民という単語や、彼らを下に見ている世界観もまさに海賊世界そのもの。まあこの本ではユーモアとして描かれているけれど。ダンピアらの歴史的な海賊の記録→スティーブンソンの宝島→ランサムサーガと系譜をたどって読むのもたのしそう。
    アマゾン海賊のナンシイがキップがよくてかっこいい。
    船の用語はまったくわからないのだけど、いちいちかっこいい世界でホレボレしてしまう。航海士(メイト)とか、航海士君(ミスター・メイト)という呼びかけを真似したくなってしまう。

    以下は大人としての感想。
    おかあさん、、、何者なんだ?
    オーストラリアでの少女時代はナンシイ以上に凄かったに違いない。いつでも落ち着いていて、船の知識も実力もあり、子供たちを信頼し、子供たちからも信頼されている。
    家事は農場の人が手伝ってくれるし、赤ちゃんの世話はナニーがいるし、もう大きくてしっかりしてる四人兄弟は自分たちだけで島暮らしをしていて、互いに気をつけてくれるし、めちゃくちゃ楽そう。。。イイナーーー。と思った。
    スーザンへの助言、料理を楽しみたいなら、洗い物は他人に任せろ、は、至言すぎます。


    そして、海賊のフリント船長こと、ジムおじさん、いい人すぎるでしょ。
    自分の学術書を書くために一夏こもっていたら、姪たちから敵扱いされて、花火入れられたり、侵入されたり、あげく泥棒に入られたり、悲惨すぎます。
    なのに、後半で誤解がとけたら、子供たちと全身で遊んであげて、捕虜として跳ね板を渡らされても対応してあげたり、オウムをプレゼントしたり、サルを買う約束をしたり、もうどこまで善人なのか、泣けてくるレベルである。

    はるか25年前に私もイギリス湖水地方に行ったんだった。ウインダミア湖でこんな激しい世界があったとは、ピーターラビットと羊一色だったので、全然知らなかったなあ。

  • 以前から友人にオススメはされてはいたのだけど、先日の岡田淳さんの講演会でも名前が挙がったのでついに読んでみた。

    上巻はごっこ遊びの世界の範疇かな(といっても子供たちだけで湖に船を出して無人島にキャンプってすごいと思うけど 笑)と思いつつのんびりと読みましたが、下巻は物語が活気付いて俄然面白かった。

    嵐のシーンがなんだかすごく良かったなぁ。
    みんなでテントに籠って、みんなそれぞれ静かに考え事してることが違ってて。

    続きもちょこちょこ読んでみたいな。

  • 最近アーサー・ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」が新訳で出版されました。ランサムサーガということで、今後全12巻がそれぞれ上・下巻24冊出版されるそうです。上・下巻をまとめて書きます。内容紹介を、表紙裏から転載します。
    上『ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船ツバメ号をあやつり、子どもたちだけで無人島で過ごします。湖の探検、アマゾン海族との対決・・・自然の中で遊ぶ楽しさいっぱいの冒険物語。』
    下『船長フリントのハウスボートに泥棒が入り、疑いをかけられてしまったツバメ号の乗組員たち。船長フリントとの湖上の「決戦」や、ウの島での宝探し、夜中のあらし・・・楽しい夏休みは過ぎてゆきます。』
    私はこのシリーズが大好きで、特にこれは最初の話なので何度も読んでいます(シリーズを単行本で揃えてます)。ストーリーは完全に頭の中に入っていて、文章もかなり覚えています。だからちょっと不安もありました。新訳が気に入らなかったらどうしようって。でも心配無用でした。訳しているのは以前と同じ神宮輝夫さん。だからかな、文章はほとんど前と違っていません。違っていたのは言葉です。航海の用語は全部カタカナ言葉になっていました。
    振り仮名の付け方が今風なのが嬉しかった。たとえば
    「船長」に対し以前は「せんちょう 」今回は「キャプテン」
    同じく「航海士」はこうかいし→メイト
    「AB船員」エイビーせんいん→エイブルシーマン
    という具合です。昔はこういう振り仮名の付け方はなかったのですが、今ではラノベやSFとかファンタジーで当たり前に使われています。これは意味と音を一度に表現できる、日本語ならではの優れた表現方法だと私は思っています。
    言い換えてある言葉で一番印象的だったのが「乞食のようなジプシー」→「着たきりすずめのジプシー」でした。ジプシーはOKで、乞食はダメなのね。ふーん、そうなんだ・・・。
    卵料理について。おそらくはスクランブル・エッグのことを、前は「たまごのバタ焼き」「かきたま」と訳してありました。それが今回「たまごやき」になってて、それでは後退だ!と思いました。そのあと「スクランブル・エッグ」という言葉も出てきて、統一して欲しかったなと残念でした。
    残念ついでにもう一つ。前に「おかゆ」が度々出てきてすごい違和感がありましたが、今回「ポリッジ」になってて、そうだよね、日本のおかゆはお米で作るけどイギリスならオートミールで作るんだから、よく名前を変えてくれた!とやっと気持ちが落ち着いたの。それなのに~、最後のほうではまた「おかゆ」に戻っていて、「おかゆ」の連発。これは編集の人が気をつければ直せたんじゃないかしら。せっかくの新訳なのに・・・。
    でもまあそんなことは重箱の隅をつつくようなこと。
    今回改めて読み直してみると、以前の翻訳がいかに素晴らしいかが逆に分かってきました。今から40年以上も前の翻訳なのに、とても自然な文章です。古い翻訳本の中には、ほとんど直訳?というのがあって読みにくいものも少なくありません。言葉が古いのは日本語や生活の方が変わったからなんですよね。
    ともかく物語は現代ではなく、出版された当時でさえ数十年前の時代の話で、今からだと80年位前の時代の話です。だからいろいろなことが今と違っていることで、読者にとって逆にわくわくして楽しめる物語になっています。
    そんな昔なのに、大人たちが子どもと真摯に向き合っていることに感動します。たぶん当時でもそうじゃない大人がたくさんいたでしょうが。
    この物語は児童書ですが、本当にこの話の良さが分かるためにはある程度の人生経験が必要だと私は思います。小学生くらいだと、たぶん子供たちのことしか理解できないでしょう。もしかしたら年長組のジョンやスーザンのことも理解できないかもしれません。
    私が最初に読んだのは既に高校生くらいでしたが、子供の頃にこの本を読み、高校生や大学生になってもう一度、そして自分が子供を持ってからまた読むと、その度に違う感動があるはずの本です。
    そういう読みかたが出来る本はそんなにはありません。たいていの本は、読み時がある。「これを子供の頃読んでたらな」なんて感じることがあるもの。
    下巻の終わりに、上橋菜穂子さんが「永遠の夏の光」と題して文を寄せられています。上橋さんが挙げられていた「サトクリフの歴史物語」「指輪物語」「ツバメ号とアマゾン号のシリーズ」の3つの物語。私もこれらに、感動しました。
    だけどそのあとが違うのよね~。上橋さんはこれらが根っこになって、この後文化人類学者を志し、作家に。私は上橋さんの小説の読者に。でも同じ物語に感動したということは、感動の感性が同じなのかなと嬉しく思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「上橋菜穂子さんが「永遠の夏の光」と題して文を寄せられています。」
      それだけ先に読もうっと、、、
      少年文庫版は、神宮輝夫の個人訳になるんです...
      「上橋菜穂子さんが「永遠の夏の光」と題して文を寄せられています。」
      それだけ先に読もうっと、、、
      少年文庫版は、神宮輝夫の個人訳になるんですよね~完結したら読もうかなぁ←そう言うのが多くて収拾つかなくなってる。
      2013/07/18
  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00270584

  • 小帆船をしっかり操り、船員雇用契約書を作って役割分担をする。子ども達のイキイキした姿が印象的。

  • 私の苦手な話だけれど、面白さは十分にある。
    子ども達のごっこを否定せずにちゃんと答えていける大人。
    子どもの意思を尊重して、決して先走りしないこと。
    なかなか、私にはできなかったことだ。

  • 2020.07.¥

全26件中 1 - 10件を表示

アーサー・ランサムの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×