ぼんぼん (岩波少年文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141979

作品紹介・あらすじ

洋が小学3年生の年、突然おとうちゃんがたおれた。そして、戦争がはじまった。軍国主義の波にもまれながらも、ほのかな恋心にめざめる少年の成長を、元やくざの佐脇さんが見守る。大阪弁にのせて、人間の真実にせまる作者の代表作。小学5・6年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 今週の本棚・なつかしい一冊:土井善晴・選 『ぼんぼん』=今江祥智・作 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20230304/ddm/015/070/001000c

    ぼんぼん (岩波少年文庫) | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/4001141973/

    ぼんぼん〈新装版〉 | 株式会社 理論社 | おとながこどもにかえる本、こどもがおとなにそだつ本
    https://www.rironsha.com/book/07987

    ぼんぼん 全一冊 | 株式会社 理論社 | おとながこどもにかえる本、こどもがおとなにそだつ本
    https://bit.ly/41HA8fk

    ぼんぼん - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b269672.html

    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    理論社「大長編シリーズ」として出た時に読んだから何年前(調べろよって言わないで)
    その後「兄貴」「おれたちのおふくろ」「牧歌」と出て4部作になるのですが、岩波書店は1冊だけ少年文庫に入れて他は出さないのかなぁ、、、

  • 父の死、戦争と激しく揺れ動く兄弟の数年間を書いた作品。
    今作の屋台骨である佐脇さんはもちろんなのだけど、生活が生き生きと描かれていて、ほんの少ししか出ないキャラクターでも生きているのが見事。
    著者がずっとこだわっていたであろう、芸術家の戦争責任についても時折滲ませてある。
    宇野亜喜良さんの表紙・挿絵も良かった。
    ただ、解説で山田太一氏が続編の重大なネタバレをしていてかなりショックだったんですが…そういうことなんだろうかと思っても今作でははっきり書かれていなかったから…それは書かないで欲しかったなー…。
    でも続編は読みたい。

  • 2015年度今週の1冊
    今江祥智さんが3月20日に亡くなりました。児童文学の大家が次々と去り、寂しいばかりです。
    この本は、イラストを宇野亜喜良氏が飾っています。同じコンビで、戦争を題材にしながら全く世界観の異なる『あのこ』も一読を。(2015/3/28)

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 大阪の、結構いいとこのぼんぼんであるひろしが過ごした小学校3年生から6年生の日々。
    戦争と重なって、決して幸せばかりではなかったけれども、その中でも喜びや楽しみを忘れず、懸命に暮らす姿が生き生きと描かれ、児童文学ながらぐっと引き込まれて読みました。

    ある日突然お父さんが亡くなります。
    なかなか立ち直れない娘を気遣い、母方のおばあちゃんが同居してくれることになりました。
    このおばあちゃんがしっかり者で、先見の明がある。
    本や新聞や耳学問で先の見通しを持っているだけではなく、こまめに身体を動かして家族を支えますが、やはり突然亡くなってしまいます。
    普通に暮らしていると見逃してしまうような些細な事柄から、この先の日本が戦争に向かっていくのではないかと考えたお父さんやおばあちゃんは、モノ不足になっても困らないように、数年分の必需品を買い置きしていたのには驚きました。

    長男は家を出て軍隊に所属していたので、お母さんと中学生の次男、そして小学生の洋だけでは心もとないので、男手としてやってきたのが佐脇さん。
    やくざをやめる時に洋のお父さんに恩を受けたということで、60代の佐脇さん、力仕事からご近所づきあい、時に台所仕事もやれば、ぼんぼんたちの成長を促すあれやこれやの目配りと、とにかくスーパーおじいちゃんなのです。

    そして、この作品の見どころは、洋の成長だけではなく、戦中の佐脇さんの働きようにあると言えます。
    元やくざということもあって、世間の噂に振り回されることなく世の中を見る佐脇さんは、軍や特高の裏をかくようにして洋たちにいろんな経験をさせてくれます。
    肝の座り具合が半端ない。

    一度特高につかまって、1年半ほど佐脇さんは姿を消しますが、洋たちが一番つらかった時に戻ってきてくれます。
    なのに、玉音放送の直後、世の中が見えすぎていた佐脇さんは、命を喪ってしまいます。

    この4年ほどの間に、何人もの命が洋のまわりから失われますが、それでもプラネタリウムや宝塚を観たりオーケストラの音楽を聴いたり、魚釣りに川遊び、京都の山に登ったり、和歌山まで出かけたり、洋の日常は彩りに溢れています。
    それは、そういう生活を守ろうとする大人がいたからであり、声高に反戦を叫ばない多くの人が生きていた、ということでもあるのだと思いました。

    大阪空襲で防空壕への避難命令が出たとき、洋とお兄ちゃんは、隣近所の数少ない男手として防空壕の外でいざという時に備えます。
    全てを失った時も、お母さんにショックを与えないように、毅然とふるまいます。
    佐脇さんの死をどういうふうに受け止めたのかは書かれていませんが、お母さんを支えながら戦後の時代を生きていく姿が最後に少しだけ書かれ、大きな成長をそこに見ることができました。

  • 大阪の空襲とその前後の戦争を描いたものが東京ではほとんど読まれないので目新しかった。
     これがもっと読まれれば大阪の戦争が身近に感じられるであろう。
     ぼんぼん、ということで上流階級の子どもからみた戦争ということで描かれているので、ほんのわずかの階層での子どもの話でしかないのだが。

  • 戦争時の話。大阪が舞台。戦争の悲惨が描かれるが、それ以上に人間のあらゆる面が描かれている。権威主義、噂、恋愛、友情、兄弟、親子、趣味、食べ物、、、。一面だけ見ていてはダメなのだ。人も社会も多面、尽きぬ多面性を持っていることを忘れまい。ヤクザあがりの人が魅力的だった。
    文学者の戦時の発言に裏切られた感があった。

  • 物語が昭和16年5月から始まるのに気付いて、あぁ、戦争の話か。この分厚い本、ずっと戦争の話だと読むのが辛いなと思った。予想通り戦争の話なのだけれど、戦争の話だけではない。主人公の少年の目を通してみる戦時中の生活は、不自由な中にも、心の余裕がある。時流に流されず、冷静に世の行末を予想する大人たちがいる。前半では、主人公の祖母、後半では佐脇さんという老人の存在が大きい。彼らに見守られて、ぼんぼんとして生きていくことができたのだと思う。終戦の時に小学校6年生ということは、私の両親と同年代でもある。四部作とのことだが、この後、彼らがどうなっていくのか、知るのが怖い気もするので、続けて読むかどうかわからない。

  • 中学生の国語の教材に出てきた部分が面白かったので、全文読みたくて購入。教材に出てきたのは主人公の祖母の話だったのだが、読んでみると序盤で一瞬しか出てこなかった。そこはがっかりしたが、埋めあわせるかのように出てきた「佐脇さん」が大変味わい深い人物で、高倉健さんが出てきたのかと思いました。
    太平洋戦争前から大阪空襲までの大阪が舞台だが、戦争ものというよりは普遍的な児童文学の印象が強い。非常時に育つ子どもは、本来の平時を知らないので非常時に過順応する傾向があるとあらためて感じた。

  • 大人でも夢中になって読める。 と、いうより子供向けの感じがしない。とてもいい本だと思います。

  • 戦時中にもいいことや嫌なことを伴う普通の暮らしがあることや、戦争に対するそれぞれの反応が異なること(それがその人の人となりを表すこと)、当たり前のごとくに人々の考えがとりしまられる時代であったこと、それらを本で読んでもやはり実際に体験するとは違いすぎること、でもそういう辛さをくぐり抜けた人々がいることに思いをはせることも重要であることなど、言葉にするとあまりにも表面的な感じがしてしまいますが、色々なことを垣間見て、また感じました。
    何人が亡くなったという数値とかからははかりしれない、戦争によりう人々がうけた影響について、少しだけ感じることができた気がしました。

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著者プロフィール

1932年、大阪生まれ。『海の日曜日』(実業之日本社)でサンケイ児童出版文化賞と児童福祉文化賞、『ぼんぼん』で日本児童文学者協会賞、『兄貴』で野間児童文芸賞、『ぼんぼん』三部作で路傍の石文学賞を受賞(いずれも理論社)、他に『子どもの本・持札公開』(みすず書房)、『まんじゅうざむらい』(解放出版社)、など多数。絵本では、『でんでんだいこいのち』(片山健・絵/童心社)で小学館児童出版文化賞、『いろはにほへと』(長谷川義史・絵/BL出版)で日本絵本賞を受賞。他に『なんででんねん天満はん—天神祭』(童心社)、『龍』『いつだって長さんがいて…』 (いずれもBL出版)、など多数。

「2007年 『ひげがあろうが なかろうが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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