はてしない物語 上 (岩波少年文庫 501)

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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145014

感想・レビュー・書評

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  • この本は、子供の頃に読んでいないし、テーマ曲は何度も聴いているが映画も見ていない。
    エンデは、一年ほど前に「モモ」を読んで久しく味わっていない不思議な気分になった。
    いつか「はてしない物語」も読もうと思っていて、ようやくページを開くことに!
    外国文学やファンタジーはなぜか避けてきたのだが、この物語には引きずり込まれた。
    少し哲学的なところもあり、頭が凝り固まっているためか、いささか混沌としている。
    ファンタージエンとは何だろうと考えてしまう。心?心を作るもの?
    あまり余計なことを考えずに、続きを読み進めることにしよう。

  • 言わずと知れた児童書の名著。
    古書店で見かけたあかがね色に輝く本をどうしても読みたくなってしまった少年バスチアンは、店主に黙って思わず持ち帰ってしまう。
    ほこりっぽい学校の倉庫に閉じこもって表紙を開くと、勇者アトレーユと幸いの竜フッフールに導かれ、彼自身も共にドキドキハラハラしながらめくるめく冒険の世界へと誘われてゆく。
    虚無に脅かされるファンタージエン国の物語と、七枝燭台のろうそくの炎の灯りでそれを読み続けるバスチアンの現実とは、交互に切り替わり続けてやがて一つになりーー。

    「本って閉じてあるとき、中で何が起こっているのだろうな?」
    バスチアンと同じことを私も考えたことがある。
    ページをめくればすぐそこに物語が広がっているから文字として読むことができる。
    でも閉じてあるときには、いったいどうなっているのだろう?
    その世界はどこに消えてしまうのだろう?

    私は書棚に並ぶ背表紙を見るのが大好きなのだけれど、それってそこに澄ました表情でおしとやかに整列している本たちが、実はどれほど豊かな性格を秘めているかをすでに知っているからなんだと、考えていて気づいた。
    閉じられているその一冊一冊のうちに広がっている世界を想像することができるから。
    本を閉じているときでも想像力は失われない。だから世界は変わらずそこに存在していると確信できる。

    その想像力を育ててくれたのはやはり、かつて少女だった私が読んでいた数々の本なのだろうね。
    通学路で歩きながら没頭したハリー・ポッター。最終巻で呆然とさせられたダレン・シャン。親に隠れてこそこそ集めたガールズ・イン・ラブ。この本は私たち子どもの味方だ!と初めて思わせてくれたチャーリーとチョコレート工場。
    知らない世界へ連れて行ってくれたたくさんの物語が、ぶわっと思い出される。
    私自身も「はてしない物語」を読みながら、バスチアンが読む「はてしない物語」で感じていることそのままを追体験するような、それはとても不思議な感覚だった。
    終わりなき終わり。読みながら生まれる、はてしない物語。

  • 映画『ネバーエンディングストーリー』に感動し、書店で原作のあかがね色の本を手にし、夢中で読み耽りファンタジーの世界に思う存分浸っていた中学生の頃。実に30年ぶりの再読です。マイ本は重くてフォントも昔のものなので、読み易い岩波文庫で。前半は映画でも描かれた、少年バスチアンがファンタージェンに向かうまでの物語。映画では端折られた部分を原作でおおいに楽しみました。
    万を持しての再読でしたが、つまらないと感じる大人になっていたらどうしよう…と正直不安でした。けれども、読み始めてすぐにその不安は杞憂に終わりました。ぐいぐいと読める展開なのに、描写も素晴らしい。
    ドイツ人気質の真面目で教訓めいたエンデの作品は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、これは純粋にファンタジー物語としても楽しめると思います。
    『はてしない物語』が好きすぎて、他の有名どころのファンタジー物語…指輪物語やナルニア国etc.は読む気になれていないのが、唯一の残念なところかな?^^;

  • ミヒャエル節炸裂。

    どんな本も、読んでる以上、頭の中で自分が物語を体験する。この追体験を巧みに練り込んでくる。作中で、少年が本を読んでいるため、追体験の追体験まで発生する!

    少年が要所で感想を述べることで、どう読取るべきかを補ってもくれる。児童書らしくて安心する。

    児童書としては入組みすぎてる感があるんだけど、こどもたちの理解力を甘く見過ぎかなぁ。

    下巻も楽しみ。

  • 思わず拍手が出る

    これ、本当に、小学生の頃読みたかった。
    ほんとに感動が桁違いだと思う。

    けど出会えて良かったなぁ
    長い!ってずっと思ってたけど、そうやってこのはてしない物語を一緒に旅できて良かった。
    涙流しながら読む本って、なかなかないよ。

    ハードカバーで読めは本気で正解

  • ひとまず上巻を読了。
    エンデの「モモ」が気に入ったので、手に取りました。

    「ネバーエンディングストーリー」の原作とは全く気付かずに…途中で指摘されて知りました。

    どこをとってもぱっとしない、いじめられっ子の少年バスチアンが内容も知らないままに心惹かれて手にした冒険小説。
    やがて小説の中の冒険と、自分の世界がつながりー。

    上巻では現実とファンタージエンが繋がるかどうか、というところまで。
    単なる冒険ファンタジーではなく、様々な視点からの現代への風刺や問いかけが散りばめられた作品です。

    虚無に飲み込まれそうな国、ファンタージエン。
    その国を助けられるのは人の子であるが人間にとって、既にファンタージエンは「偽り」となっていた。

    この設定が投げかけているメッセージをどう受け止めるか。
    忙殺され、荒んだ心を、そっと和らげてくれます。

    下巻でどのように展開するのか、楽しみです。

  • 少年・バスチアンが古本屋で手に取った『はてしない物語』。その物語の国“ファンタージエン”は虚無に飲み込まれて滅亡の危機に瀕していた。もう一人の主人公の少年・アトレーユはその滅亡から世界を救う手立てを探す旅に出る。

    バスチアンとアトレーユの視点が交互に描かれる演出が、読み手の臨場感を加速させている。読者の自分が物語にのめり込んでいく姿がバスチアンと重なってくるよね。それが『はてしない物語』という構造を見事に利用した演出にもなっていて素晴らしい。勇気がなかったバスチアンがアトレーユの冒険を読書体験し、少しずつ自分の勇気を振りしぼっていく姿がよかった。

    そして、何よりもファンタジー世界の生き生きとした描写たちのすごさ!ファンタージエンという架空の世界なのに、目の前に浮かんでくるような躍動感がある。自分の想像力を回転させる気持ちよさにあふれている作品だと思う。その下地があるからこそ、メタフィクションとしての演出の説得力にもなっているんだよね。

    上巻はまさに二人の少年の運命が合わさるところまでが描かれる。虚無によって蝕まれ続けているファンタージエンをバスチアンは救うことができるのか。

  • 内容を頭で想像するのが大変だった。

  • もはや王道のファンタジー。
    ファンタジーのお姫様や、怪物や、魔法の試練、そういうのが好きな人がまさに大好きな物語。
    現実の人間が本の世界に飲み込まれるのは誰しもが自分で考えたことがあるかもしれない、まさにその妄想

  • 文庫にて再読。
    この本はどうしたってハードカバーで読むのが良いけれど、
    携帯して読めるのはありがたい。
    何度目かわからない再読だけれど、描写の美しさにいつも感動させられる。
    訳者の日本語の技術を感じる。
    上下巻の分割の仕方にも、配慮が感じられて好感が持てた。
    (ハリー・ポッターの静山社にも見習ってほしい・・・・・・)
    モモもジム・ボタンもサーカス物語も大好きだけれど、
    やはりエンデははてしない物語が最高だと思う。

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