モルグ街の殺人事件 (岩波少年文庫 556)

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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145564

感想・レビュー・書評

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  • アニメの名探偵コナンが好きで、
    いつか読んでみたいと思っていた作家のお話。

    7つの短編が収められている。
    最後が有名な『モルグ街の殺人事件』

    初めの『黒猫』は、
    生き物好きの優しい主人公が
    酒のせいで残虐性を止められなくなり、
    堕落していった様を自ら語る形をとる。
    依存症や勝ち誇った時の油断など
    心理描写も今読んでも秀逸。

    『ウィリアム・ウィルスン』は、
    不思議物語のように描かれるが
    最後に種明かしするようなスタイル。

    『アッシャー家の崩壊』や
    『赤死病の仮面』は
    描写が絵画のようで想像力を刺激される。
    そして、とにかく薄気味悪い。

    ミステリー作家だと思って読んでたが
    こういうジャンルを恐怖小説というのを
    訳者あとがきで知った。
    ポーから名前をつけた江戸川乱歩の作品の
    あの薄気味悪さと重なる。
    絵画的な表現などのルーツも感じた。
    なるほど。

    『大渦にのまれて』は
    科学的な視点で描かれていて
    当時は新しかったのかなと思った。
    ポーはすごく賢く好奇心も強く
    新しいことを学んでいた人なのかなと感じた。

    『アモンティリァードの樽』は
    殺し方において
    『黒猫』に重なる部分がある。
    生き埋めに対する恐怖なのか
    こだわりがありそう。

    『モルグ街の殺人事件』は、
    推理・探偵小説の起源のような作品
    ということでドキドキわくわく読んだ。
    デュバンという人がいかに知的で
    分析的かを描いた後に事件発生。
    新聞記事とたくさんの証言者たちの情報。

    おなじデータを見せられているが
    デュバンのように真実に辿り着けない
    主人公と読者である私。
    謎解きが展開されていく。
    警察を出し抜くほどのデュバンの分析力。

    いまなら当たり前のこの形式を
    初めて作ったと思うと尊敬しかない。
    探偵小説やミステリーの
    原型を作ってくれて
    ありがとうと気持ちでいっぱいだ。


  • 江戸川乱歩のペンネームの元ネタとして有名なエドガー・アラン・ポーの短編集です。
    エドガー・アラン・ポーは1800年代の前半に生きていた人物なので、約200年前の作品になります。
    全体のテイストとしては、ホラーよりの怪奇小説という雰囲気の作品群です。タイトルだけは知っていた「黒猫」も収録されています。
    表題作は世界初の推理小説と言われているとおり、殺人事件が起きて犯人を推理するというミステリ小説の原型になってます。ネタバレは避けますが、作品が発表された当時は驚きの結末だったと思われます。未読の人はどこかでネタバレを見る前に読まれることをお勧めします。

  • 約200年前の作品。
    世界で初めての推理小説と言われている“モルグ街の殺人”を読みたくて購読。
    合計7つの短編でどれも非常に味わい深く、今読んでも古さを感じさせない描写と世界観。
    独特な世界観の背景に時代や史実が伴わない設定が、さらにそう思わせているのだと思う。
    目的であったモルグ街の殺人は、想像していたシンプルさとは角度の違う無駄のなさ、意外性とロジカルな謎解き。
    和訳も違和感のない文体なので読みやすく、次へ次へと没入できた。
    文学、歴史、人物など様々な方面に影響を与えたという事実を私の頭ではまだ事実として捉える事しか出来ていないが、
    言葉にできない、抽象的な感覚というもので肌に触れたように思う。

  • 短編ミステリー。果たして結末があるんだろうかと読み進めると・・・、動物の仕業とは、まいった。

  • 黒猫は面白い。昔読んだのに詳細は結構忘れてた。
    主人公は、死刑の前日にこの話を書いてること。子供の時は動物好きでおとなしい近所のこどにもからかわれるような子供だったこと、最初は猫を可愛がってたこと、お酒に溺れて最後はあんな結末になるなんて救われない。
    お酒には気を付けよう。
    ウィリアムウィルソンは結局二重人格なのかなびっくり。
    アッシャー家は何故か近親そうかんの話かと長いこと勘違いしてた。リビングデッドか。
    モルグ街は犯人覚えてたけど、やっはり、すごい。
    これが、世界最初の名探偵のミステリ。すごい才能だよ、本当。
    どの話しも総じて最後がなんかドラマチックだな。

  • 短編がいくつか載っています。頭を使う本の読みたい人向けです。

  • 暗い雰囲気ながら幻想的な短編集。謎解きや推理小説としても、ホラーな展開が好きな人にもおすすめ。

  • 非常に悲惨な事件を物語ったこの作品は、犯人がオランウータンだというなんとも言い難い結果に終わる。凶悪な人間の犯人が居るはずだと推測していたために、驚きを隠せないものであった。しかしやはりそこで、私たちの当たり前だと考えていることを全くひっくり返してしまうような奇想天外な事柄が読者を惹きつけているのだろうと感じた。

  • さて、まず何よりエドガー・アラン・ポーがアメリカ生まれだという事に驚いた。鈍色の空気感そしてダークな質感はヨーロッパ生まれだとばっかり思いながら読んでいた。
    世界初の推理小説と言われている表題作の「モルグ街の殺人」ホームズの原型と言われている主人公デュパンの推理展開は抜群だが、何より世界初の犯人は誰?と思うと「まさか?」と思う展開に唸ってしまった。
    その他「黒猫」や「ウィリアム・ウィルスン」など全7作品の短編小説集となる。様々に編纂された短編集があるので一読の価値はありです。

  • 短編集7編。
    第3作目「アッシャー家の崩壊」まで読んで、気持ちが憂鬱になり、ちょっと断念。
    児童書向けとはいえ、ドロドロで精神的にキツい(-_-;)

    いつか続きを読む予定。

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著者プロフィール

(1809年〜1849年)アメリカの作家、詩人。推理小説の祖とも言われる。主な作品に「アッシャー家の崩壊」、「黄金虫」、詩集『大鴉』など。

「2020年 『【新編エドガー・アラン・ポー評論集】 ゴッサムの街と人々 他』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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