フランバーズ屋敷の人びと 5 愛ふたたび(下) (岩波少年文庫 601)
- 岩波書店 (2009年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001146011
感想・レビュー・書評
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誰かの人生ほど、豊かで強烈な興味をそそるものを知らない。
クリスチナにとっては、人生とは穏やかに満ち足りた気持ちで送るものではなく
乗り越えるのが不可能かとみえる柵を、血が湧くほどの興奮と高揚でもって跳躍するものである。
暫く長編はいいです、と言いたくなるくらいであった。
それでも最後まで夢中になれたのは、全ての人物に共通する「どっかにおりそう」な描写による所が大きい。
逃避にはもってこいです。 -
今回も、ドロ沼純愛物語。
クリスティナとディック夫婦は、それぞれ他の人を愛しているし。
クリスティナの愛する人は、亡き前夫の兄で、当時は結婚を許されない禁断の愛。
マークとドロシー夫婦もそれぞれ別に愛する人が・・・
て、これが少年少女文学?
最終的にクリスティナはマークと一緒になって、物語前半ではありえないと思われたカップル誕生。
つくづく、クリスティナって「だめんずウォーカー」(笑)
やっぱり、前3作で完でよかったのではないでしょうか。
クリスティナとディックの身分違いの恋成就で「完」のほうが、夢があったよ〜 -
意見の分かれる4作目だが、私は支持したい思う。たしかに少女小説として、恋愛小説としては3作目で完璧に終わっている。しかし、困難な時代に自分の生き方を模索し貫き通そうとする一人の女性を描くなら、4作は必然だったと言える。クリスチナとディックの唯一の共通点・乗馬が失われ、マークが「いいやつ」になってしまったのは残念。けれど馬、飛行機、自動車など時代を映す道具立ての描写は見事だし、クリスチナの生き方をとおして20世紀初頭のイギリスを浮かび上がらせることに成功している。
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この着地の仕方は、わたしには想像できなかったです。
でも、作者は、物語に、登場人物に、ものすごく誠実に寄り添った結果、こうなったんだということがわかります。
最後のオチと、時代が、ぴったりはまるということは、これ、作者のはじめからの「読み」通りだったのでしょうか?
そうすると、時間をものすごくおいてこの4部を出したことさえ、計算だったのかも。
納得いくかどうかはともかく、圧巻でした。
そして、これは、子どもには読ませられんと思った。
……まぁ、もともと駆け落ちの話なんですけどね。 -
クリスチナとディックは、階級のちがいを愛でのりこえて結婚したはずだった。
しかし、考え方も感情もかみあわず、二人の関係はどうしようもやくこわれていく。
何を求め、誰を愛するのか、クリスチナは再び決断のときを迎える。
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とうとうシリーズ読み終わってしまった…
最初1巻を読んだとき、狩猟のシーンばかりで、しかも狩猟とか興味無いし、登場人物みんなむかつくしキーーってなったんだけど、その1巻の最後でウィルと良い感じになってきてから楽しーってなって最後まで読むほどはまってしまった…
全部通して言えるのは、凄くイギリスの文化が描かれてる作品だったなあって思った。
狩猟文化とか、飛行機、戦争、屋敷やそれに仕える使用人達…最後は階級かなあ…
この最終巻も、ディックはなんでこんなかたくななんだ…とか思ったりしたけど、私たちの感覚からはわからないほど、階級とかそういう問題があるんだなあ…
てかマークと結局くっついたのか…
マークがどんどん良い人になってきてクリスチナと同じく私もマークに
惹かれた(*^o^*)
面白かった。それぞれ面白かった。
ほんといろんなことが次々に起こって、嫌な人がでてきたり、支えてくれる人がでてきたり…
クリスチナがフランバーズ屋敷にきてからこうやって大人になるまで…
長かったなー!楽しかった!! -
半年ほど前に読んだばかりであるが、今回は再版を機に1巻から読みとおした。あらためて大きな感動を受けている。1巻で描かれた、まだ視野の狭い10代のクリスチナから大きな成長を遂げた。しかも、数々の失敗と深い痛手を負いながら。「みずからのいたらなさに頭をかかえながら」生きているクリスチナと、その周辺の人びとが描きこまれて見事。
「貧しい男は、お姫さまと結婚しました」で終わってしまうおとぎ話の続きを見た。