ホメーロスの オデュッセイア物語(下) (岩波少年文庫)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001146127

作品紹介・あらすじ

ついに故郷の島へ帰りついたが、なつかしい妻の待つ館では、求婚者たちが宴会に明け暮れていた-。オデュッセウスは息子テーレマコスや忠実な召使いたちとともに、復讐の戦いをしかける。物語仕立ての再話で楽しむギリシアの古典。中学以上。

感想・レビュー・書評

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  • 私にしてはとても珍しく古典を読み終えることができた。
    訳者あとがきによると本来『オデュッセイア』は3部構成、全24巻から成るとのこと。
    そんなものを、古典・いわゆる名作・翻訳物が苦手なこの私に読めるはずもなく、とりあえず『オデュッセイア』に触れることができたのは、ここまで短くわかりやすくまとめられていた本書(上下巻)のお陰だ。
    私にはこれくらいが丁度良い。

    バーバラ氏が、原詩とは構成順序を第2部→第1部→第3部に変えたそうだ。
    この長さになったのはバーバラ氏の段階で既になのか、日本語版で縮めたのかはわからない。
    しかしいずれにしても、あらすじや冒頭部分だけの「◯分で読める名著」的な書籍ほど酷く端折られているわけでもなく、読み物として充分楽しめた。

    また、『オデュッセイア』とは「オデュッセウスの物語」という意味だから、『オデュッセイア物語』とすると「オデュッセウスの物語の物語」と重複してしまうが、『イーリアス物語』に合わせてわざとそう訳したと訳者あとがきに説明があった。
    ちょっとおかしいなとは思っていたので、説明があり納得できて良かった。

    訳者あとがきの、「ホメーロス問題」については読み飛ばした。
    最後にオデュッセウスの館の丁寧な図解があったが、そのページに行くまで気づかなかったのが悔やまれる。
    「求婚者たちとの戦い」の章の時に、これを見ながら読みたかった。

  • 前に読んだ神統記に比べるとずっと読みやすかった。
    上巻はオデュッセウスの冒険がテーマだったが下巻はオデュッセウスの復讐がテーマだった。
    神や魔物があまり出てこなかったのは残念だが、爽快な読後感を味わえたのでとても良い作品だった。
    ギリシャ神話入門におすすめ。

  • 読みやすいです。本当はとっても長いらしいので内容はだいぶ削ってあるのでしょうが全くそんな感じがしないと思いました。
    初めから全集、となると大変なので内容を掴んでからの方が分かりやすいかな。と思います。

    下に入ってからスピードがとっても早いです。
    もう転、結の部分なのでそれはそうかもですが。
    こんなしっかりした物語が2700年前?にあったなんて…びっくりです。

  • 「ついに故郷の島へ帰りついたが、なつかしい妻の待つ館では、求婚者たちが宴会に明け暮れていた-。オデュッセウスは息子テーレマコスや忠実な召使いたちとともに、復讐の戦いをしかける。物語仕立ての再話で楽しむギリシアの古典。中学以上。」

  • ・オデュッセイアが、オデュッセウスの冒険物語にとどまらずその先まで書いていることを知らなかったので驚いたし、知らなかった分楽しめた。

    ・オデュッセウスは正義の存在として描かれているにもかかわらず、妻への求婚者を簡単に100人以上も殺害したのは衝撃だった。しかも自分の城の食卓で…。戦争が多かった当時と今との価値観の差だろうか…

  • 息子のテーレマコスの冒険はオデュッセウスほどワクワクしなかった。人間以外の者があまり出てこなかったから?

    あといけすかない求婚者皆殺しは、殺さないでも… 当時の時代背景としては当たり前だったのだろうか。

    いずれにせよ、上下で面白い作品でした。

  • 2015年17冊目。

    10年に渡る冒険が終わり、オデュッセウスが祖国イタケーに着いてから、館に群がる求婚者たちを息子のテーレマコスと共に追い出す物語。
    遥か昔に書かれた話だが、風景など細部まできちんと描写されていて驚いた。
    原典と話しの順序を変えてあるそうだが、とても読みやすかった。
    世界最古の物語の一つを読めてよかった。

  • The Odyssey of Homer (1952)
    Barbara Leonie Picard

    上下巻からなる、高杉一郎訳の岩波少年文庫版。少年文庫となるから、文章は丁寧で読みやすい。しかし、その読みやすさが、紀元前から伝わる古代ギリシアの神秘的かつ重厚な長編叙事詩をかなり軽く、単純な物語にしてしまったように感じる。作者のピカードの失態か高杉氏の訳の失態かは分からないが、多少分かりづらくとも良いからもう少し文章や台詞の言い回しに工夫がほしかった。

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著者プロフィール

1917年、イギリス生まれ。1940年代半ばからフェアリーテイルの短編を50編書き、1949年にそのうちの15編を収録した短編集を出版。これを機に児童文学作家として歩みはじめた。これまで再三カーネギー賞の候補になるなど注目されている。邦訳に『ホメーロスのイーリアス物語』と『ホメーロスのオデュッセイア物語』(共に岩波書店)、『剣と絵筆』(すぐ書房)、『人魚のおくりもの』(長崎出版)がある。2011年没。

「2023年 『バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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