はなのすきなうし (岩波の子どもの本 カンガルー印)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001151114

感想・レビュー・書評

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  • 1954年(昭和29年)発行の古い古いスペインの絵本。

    子牛のふぇるじなんどは他の牛と遊ぶよりも、ひとりで草の上に座って静かに花の匂いを嗅いでいるのが好きでした。
    おかあさんはそんなふぇるじなんどを心配しましたが、ふぇるじなんどは「ぼくはひとり、はなのにおいをかいでいるほうがすきなのです」と言います。
    ふぇるじなんどが寂しがってないのが分かったおかあさんは安心して、ふぇるじなんどの好きなようにさせることにしました。
    ーーー時が経ちどんどん大きくなったふぇるじなんど。
    けれども相変わらずお花の匂いを嗅ぐのが好きでした。
    ある日、変な帽子を被った5人の男が牧場にやってきます。
    彼らはマドリードの闘牛に出すいちばん足の速い一番乱暴な牛を探しに来たのですーーー。

    本当に強いというのはどういうことか。
    ふぇるじなんどを見ると分かります。

    ふぇるじなんどの好きなコルクの木が、挿絵だと木にコルク栓がたくさん成ってる風に書かれていて、思わず「コルクの木」の画像を検索してしまった。
    そんなわけない笑
    でも、この絵本を読んだ子どもたちは、おうちのワインのコルク栓がなる木があると信じて成長するのかもな、と、思って微笑ましく思った。

    全編ひらがなで、ひらがなを習い始めたお子さんにどうぞ。

  • 長男との思い出の絵本。
    長男は物語絵本よりも科学絵本や図鑑の方が好きなタイプだったけど、『はなのすきなうし』はずいぶん気に入ったらしく、一時期は毎晩読んでいた。

    ジャングルジムのてっぺんで風を楽しみながらのんびり過ごすのが大好き。
    つかまえたコメツキムシやハナムグリやゴミグモやカナヘビと対話するのが大好き。
    積み木で近所の道路を再現するのが大好き。
    そんな少し風変わりな趣味を持つマイペースな長男にとっては、「これ!これは僕の絵本!」という気持ちだったのかもしれない。


    さて、母親としては、心に刺さるのはやはりこの箇所……
    「そこで おかあさんには ふぇるじなんどが さびしがって いない ことが わかりました。」
    「うしとは いうものの、よく ものの わかった おかあさんでしたので、ふぇるじなんどの すきなように しておいて やりました。」

    よくものを見通せない上に新米母だった私は、
    (この子は、そもそもお友達との関わりをそれほど必要としていなくて、ただ自分の好きな世界に浸っていたい子なのかな?)
    (本当はお友達と遊びたいのに、関わり方がよくわからなくて、自分の好きな世界に没頭しているのかな?)
    (自分の好きな世界に夢中で、お友達と遊ぶ楽しさをまだ知らないだけなのかな?)
    なーんて、この絵本を読むたびに長男のマイペースさに色々考えを巡らせていたのを覚えている。
    でも、それで心をかき乱されるというよりは、まぁのんびり見守るか、と穏やかな気持ちにしてくれるのが、きっとこの絵本の底力。
    子にも親にも優しい、なんともおおらかな絵本だ。

  • 「ありのままである(花が好きを貫く)か」それとも「戦う(闘牛する)か」のアナロジーがとても好き。

    仕事をするとよく出てくる「戦う」ないし「勝つ」「負ける」という概念。
    あれがどうもピンとこなくて、仕事というのはみんなで力を合わせて世界に何かしらの貢献をしていくことではないのか? 「勝った負けた」といって一体誰と勝負しているのか?と思ってしまう。

    それでも「勝ち方を覚えろ」「負け方も覚えろ」とよく分からない言葉で叱咤激励される。

    戦うことを期待されても超然としているふぇるじなんど。かっこういい。すぺいんの雰囲気にとてもワクワクして、そして癒された。

  • 本人にそんな気はないのに、たまたま色んな事が重なって…でも結局自分の好きな事を知っているって事が一番強いんだなと思った一冊。

  • 花の匂いを嗅ぐことが好きで戦うことが嫌いな牛フェルジナンドは、無理やり闘牛場に連れて行かれてしまう。
    この本は1936年のスペイン内戦中に出版されて評判となり、当時いろいろと政治的に解釈されたそうである。
    みんなと同じでなくてもいいんだよと作者の優しいメッセージが伝わってくる。

  • ふぇるじなんどが、みんなのようにらんぼうしないで花のにおいをかいでいたのは、花がすきなんだろうなあ。かわいいと思いました。コルクの木ってどんな木かな。(小2)

  • なかなかフィロソフィーを感じさせる作品だが、それは大人が思うことで子どものお話会向けかどうかと言うとかなり微妙。
    ということで☆四つ。
    小さなサイズながら、各ページの左側に必ず白黒の挿絵が入っていて、シンプルで分かりやすい絵である。
    文字は右側に縦書きで、文字数はごく控えめ。

    はなのすきなうしとは、フェルジナンドという名前の牛。
    マドリードの闘牛場で勇ましく戦うのが夢だという他の牛たちと違い、フェルジナンドはひとりお気に入りの場所で花のにおいをかいで過ごすのが大好き。
    賢いお母さんもそれをちゃんと認めている。
    が、ある日闘牛用の牛を探しにきた牛飼いたちの目にとまってしまう。。
    一切闘うことをしなかったフェルジナンドだが、そこは絵本の世界。
    殺されずに元の牧場に戻される。ほっ・・・
    そして結論が、「フェルジナンドは とても しあわせでした」である。

    幸せなんてひとそれぞれ。牛それぞれ。
    どう感じるかの心の問題である。誰かに押し付けられるものでもない。
    ところで、お話の中で登場するフェルジナンドの好きな「コルクの木」とは、
    地中海西部で栽培される「コルク樫」のこと。
    高さ15メートルにも及ぶ常緑高木で、幹に厚い強靭なコルク層があるのだそうだ。
    見てみたいものである。

  • 自分の幸せは自分が決めること。優しさとのんびりさに癒されますね。

  • 息子読み聞かせ。闘牛シーンも、最近見かけないから、ここから説明するところから。フェルジナンドってカッコ良すぎる名前で、うしだと思ってなかったらしく、「誰?」と聞き返す息子。
    はなが好きなまま、みんなと同じでなくていいんだよ。と語りかけたくなる。

  • 自分が何を好きなのか、ちゃんと知っているフェルジナンド。変わり者扱いされても揺るぎません。

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著者プロフィール

米国の児童文学作家、絵本作家。メリーランド州ハミルトン生まれ。ハーバード大学卒業後、教師を経て出版社に入社。1934年、鉛筆書きのコミック風の挿絵をつけた「文法はおもしろい」で作家として出発。36年に出版した「はなのすきなうし」で好評を得たほか、同書はアメリカの絵本の古典の一つになる。

「2018年 『けんこうだいいち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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