Tバック戦争・影 小さな5つの話 (カニグズバーグ作品集 7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001155976

感想・レビュー・書評

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  • 『影』は短編集。純粋さを失ってはいけない。

    『サメの歯海岸』良心の目覚め
    『つかまりやすい人』人を喜ばすのは言葉
    『織物の村で』切れてはダメ
    『老人ホームにて』涙。テープに吹き込む話し。
    『バートとレイ』モディリアーニと屏風の話しの前談だ!

    これで日本語に訳されているカニグズバーグの作品は全て読了。あとは講演集を残すのみ。

  • 収録されている「バートとレイ ウィリアムの話」は『ムーンレディの記憶』の前段のストーリー。

  • Tバック戦争以外は初めて読んだお話。読ませるよねー。面白かったです。

  • ニーマンマーカスが
    フラワーチルドレンを花の子供たち、

  • 中篇「Tバック戦争」と短篇5つから成る「影」を収録。決して声高に不正を告発したり正義を訴えるわけではないが、子どもたちの目を通して社会の差別や不公正を冷徹に見つめ、個人の拠って立つ軸を見出そうとするカニグズバーグの姿勢がよく現れているように思う。
    「Tバック戦争」が扱うのは、とりわけシリアスな問題だ。サンドイッチの売上を上げるためにTバックを履く売り子たち(実際には経営者が履かせていたことがわかる)と、これを非難するキリスト教道徳派。両者の対立の間で、「Aの反対はBではない」「賛成できないものには賛成しない」という自身の原則を貫く個人が、現代の魔女狩りの標的とされてしまう。このバーナデットと、彼女を理解する弁護士、経営者の3人が、かつてはコミューン運動の仲間であった過去を共有していることが味噌だ。物語の終わりは期待していたようなハッピーエンドではないが、カニグズバーグはバーナデットを正義を貫く悲劇のヒロインにもせず、冷静に自分を分析し、自身の原則を手放さない個人に寄り添おうとする視線を貫いている。

    対して「影」に収録された5つの物語はどれもささやかであるとはいえ、子どもたちが生きる社会を見つめる作者のまなざしに曖昧さはない。「サメの歯海岸」の少年は、ベトナム戦争退役兵とタイ生まれの女性を両親にもっているし、「バートとレイ」の母親は、長年夫からのDVを受けている。「織物の村で」は、アメリカからの観光客を相手に土産物を売りさばくことで生計を立てている少年と、英語が話せるガイド女性との間の権力関係と友情の微妙なバランスを描いている。カニグズバーグの子どもたちは、複雑でときに不条理な権力関係の交錯する世界にすでにいやおうなしに巻き込まれていることをよく自覚しており、周りの人々をよく観察しながら、自分なりの生きる原則を見出そうとしている。鼻もちならない元学長に最高の宝物をあたえてやる「サメの歯海岸」の少年や、ビジネスをあつかう力を見出し始めた母親に自信をつけさせようと望む少年、そして「つかまりやすい人」であると自覚している少年と兄貴のラストの会話も最高に爽快だ。

  • カニグズバークは大好きだけど読みづらかった。申し訳ないけど、翻訳がうまくないなあ。松永ふみ子さんも石井桃子さんも亡くなられたしね。誰の翻訳がいいだろうか。

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