太陽の草原を駆けぬけて

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001156652

作品紹介・あらすじ

五歳のエリューシャと家族は、戦争で故郷を追われ、ポーランドから東へ東へと向かった。落ちのびたのは、カザフスタンの草原の小さな村。何もかもが未知の暮らしのなかで、エリューシャは友だちをつくり、言葉をおぼえ、狩りの知恵を教わり、たくましく成長していく-。終戦後、イスラエルにたどり着くまで、どんなときも前を向いて生きた、母と子の長い長い旅の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 1939年、独ソ不可侵条約締結。ポーランドの西側を独逸、ソ連は東側を分割占領。 1941年、ソ連占領下のポーランド(現在のウクライナ)に暮らしていた5歳のエリュ-シャと家族は、独ソ戦勃発により故郷を追われ、母や姉弟とともに辿り着いたのは、カザフスタンの小さな村だった。 ・・・本作は、ポーランド系ユダヤ人少年の視点で、見知らぬ土地での飢えを凌ぎ、生活の知恵と工夫で逞しく生きぬく姿を、終戦後イスラエルに渡るまでの苦難の歳月を、実話をもとに描かれた、避難民家族の長い旅の物語。 現代のウクライナ、イスラエル、戦争の悲劇は繰り返されている・・・。

  • 戦争中、ナチス・ドイツの侵攻をおそれて、ポーランドからソ連内奥に避難した、五歳のエリューシャとその家族。カザフスタンの草原の小さな村に落ちのびる。何もかもが未知な暮らしのなかで、エリューシャは、友だちをつくり、言葉を覚え、狩の知恵を教わり、たくましく成長していく。


    エリューシャは、家に閉じこもっていられず外に出て行く。言葉も通じない中、手振り身振りでコミュニケーションをとり、同じ年頃の子どもたちと友だちになっていく。そこからだんだんと村の人々に受け入れられていく様子が描かれていている。

    エリューシャが友人から教わった牛糞トルテというものが印象的だった。燃料となる牛糞を拾い集めて作る垣根のことで、そうすると、カッコウが中に入り巣を作る。ヒナが育つと引っぱりだして食べる。なかなか衝撃的だった。

    凍った川で釣りをしていて溺れた時にカザフ人の少年に助けられる場面も印象的だった。他にもドイツの格納庫で梯子に足がはさまれた時に通りすがりのアメリカ兵に助けられた場面も。

    ポーランドへ帰還する列車での旅で、機関砲搭載の車両の兵士(まだ若い少女みたいな)と仲良くなるのだが、ドイツの爆撃機を撃つ時にはしゃぐ様子は読んでいて何とも言えない気持ちになった。

    互いに思いやり仲の良い一家だが、共産主義ソ連を理想とする父親、ユダヤ人国家シオニズム意識の強い母親の間の思想的な違いがある。
    ソ連軍士官の父の死の知らせを受け取った後、一家がポーランド、ドイツ、フランスを経てイスラエルへ辿り着くまでが描かれている。

  • 第二次世界大戦中のユダヤ人については、ホロコーストやナチスの追手からヨーロッパ中を逃げ惑う物語が大半だが、中央アジアを舞台にしたものは本作で初めて読んだ。

    ヨーロッパで生まれ育った少年にとって、未知なる中央アジアの草原生活は、冒険に満ちた刺激的な日常となり、カザフスタン人の少年達と過ごす生き生きとした様子が印象的だった。

    そんな日常と同時にある現実は、人さらいの横行や、略奪、政変等の危険であり、激動の時代の過酷さ。中央アジアに逃れた難民についての本があれば読んでみたい。

  • 1941年、ロシア占領下でポーランドで暮らしていた5歳のエリューシャと家族は、戦争で故郷を追われた。
     落ちのびた のは、カザフスタンの草原の小さな村。何もかもが未知の暮らしの中で、少年は友達をつくり、言葉を覚え、狩りの知恵を教わり、たくましく成長していく。
     終戦後イスラエルにたどり着くまで、どんな時も前を向いて生きた、母と子の長い長い物語。

    • 神戸児童書斜SHAの会さん
      いつの時代も人々は、ただただ穏やかに暮らしていたいだけなのに。時代が変わってもいつも戦争がある。
      いつの時代も人々は、ただただ穏やかに暮らしていたいだけなのに。時代が変わってもいつも戦争がある。
      2015/12/08
  • 戦争で住んでいる地域を追われることは頭では分かっていてもいつもはっとさせられる。新しい土地でたくましく生きて行く姿にエールを送ってしまうが、なかなかのことだろう。
    この家族はユダヤ人でスターリンの統治下、親スターリンの父親なんだが・・・いろんなことがあるね。ユダヤの人たちがヨーロッパからどうやってイスラエルに到達したか、一辺が垣間見られて興味深い。

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