アラスカを追いかけて (STAMP BOOKS)

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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001164145

感想・レビュー・書評

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  • フロリダに住む両親と別れ、アラバマ州の全寮制の学校に転入したマイルズは、そこで、魅力的な女の子アラスカと出会う。彼女の気まぐれやいたずらに振り回されながらも彼女に魅かれていくマイルズだったが、彼女はある深夜、泥酔した挙句に動転している状態で車を運転し、帰らぬ人になってしまった。彼女の外出を止めなかったことを後悔するマイルスと仲間たち。彼らは、なんとか彼女の死の原因を探り、それを受け入れられるようになりたいともがくのだった。

    思春期の少年たちの心を鮮やかに描き出す。




    *******

    書いてある内容はすごくいい。飾らない高校生男子の日常や気持ちが細かく描かれていて、なかなかここまで踏み込んで描いてあるものがないだろうと思う。

    ただ、表現が素直過ぎて、これを選書本の「おススメ」に入れてもよいものか?考えてしまう。特にアルコール・タバコ・性的描写が露骨すぎる。
    物語の後半には慣れたが、特に前半にはただただ驚いた。

    おススメするなら高校生以上です。

  • 以前までは白水社から翻訳出版されていたが、絶版。
    入手が難しそうだなぁと思ってたところに、岩波書店から再刊行された本作。

    ジャンルはいわゆるYA。

    全寮制の学校を舞台に、そこで得た仲間との友情や恋を描いた物語。

    といえば、よくある青春小説になってしまうのだが、さすがアメリカという描写、そして内容。

    「歴史上の偉人が最期に残した一言」マニアの主人公は、それまでの、今でいう「黒歴史」の人生を変えるために全寮制の学校に飛び込む。

    そこで得た仲間から煙草、酒、そしてイタズラを覚えていく主人公。
    そんな学校生活の中でも本作のヒロイン、「アラスカ」は特別な存在だった。

    「アラスカ」の愛読書、『迷宮の将軍』(ガブリエル・ガルシア=マルケス)が全編を通して主人公の成長を表していると感じる。

    昔、ハリーポッターのシリーズを読んだ時、全寮制の学校に憧れたことがあった。
    (物語のようなことばかりではなく、現実は規律もしっかりしているのだろうけども)

    主人公がその後どういう人生を送ったのかはもちろん分からないけど、この時期に得た仲間、友人というのは人生でかけがえのない宝物。

    宗田理や恩田陸の青春小説も大好きな自分にとっては、ど真ん中ストライクでした。

    達成感や後悔、そして挫折がしっかりと描かれていて、鮮やかで眩しい青春小説。

  • 「可能性を探しに」親元を離れて、フロリダからアラバマの全寮制の私立高校に入った少年の1年足らずの出来事を描く。
    歴史上の人物の最後の言葉を覚えるのが好きな主人公と、小柄でごつくて、家は貧しいが頭のいい大佐、日本人でラップが得意なタクミ、ルーマニアから移民してきたラーラ、そして頭はいいが素行は悪く、破天荒な魅力を持つ少女アラスカ。敵として存在する「平日戦士」(週末は家に帰る、地元のお金持ちの子女)。恋といたずらと絶望と…「アメリカン・グラフィティ」的なめちゃくちゃ王道のアメリカン青春小説で、青春小説には挫折と後悔がつきものなのだが、もちろんそれもある。
     若干の既視感があっても、この小説が面白いのは、やっぱりキャラクターがよく書き込まれているからだと思う。特にアラスカの投げやりで、純粋で、不安定な魅力が読者に伝わらなければ、ひとりよがりな作品になってしまうが、男女関係なく彼女に惹かれることが納得できる書きぶり。イーグルと呼ばれる寮生を監督する先生や宗教学の先生も、厳しいけれど深い愛情を生徒に抱いていることが伝わってくる。
     岩波って硬いイメージがあるから、子どもも岩波に若者のエロスが描かれているなんて想像もせずラノベに走ってるわけだけど、お手軽なエロに走るくらいならこっちを読んだらいいのに、と思う。
    性描写は『青春のオフサイド』より若干おとなしい程度。
    『ノーラ、12歳の秋』以上。喫煙、飲酒のシーンも多く、YAより一般向けで出した方が良かったのではとも思う。アメリカの、偏差値の高い全寮制私立高校はこんな感じが普通なのかもしれないが、日本の偏差値の高い高校生は学力はあってももうちょっと(性的にはかなり)幼いからなあ。
    でも、いい小説だった。『さよならを待つふたりのために』同様、映画化されてもいいと思う。ただ、アラスカ役はかなり魅力的な子でないと厳しいけど。

  • 友達に勧められて。

    儚くも力強い青春物語。

    最初はアメリカの高校生活が想像し辛かったけど、中盤すぎてから予想以上にサクサク読めた。訳がよかったのかも。

    謎が多い方が魅力的。

    アラスカに会いたい。

  • かなり重たいテーマを、この人はナチュラルに気負いなく描く。
    「さよならを待つふたりのために」もそうであったが、本作もその姿勢は変わらない。寂しさやどうにもならなさを、柔らかく瑞々しく描く。

    講演会シーンは圧巻で大好き。

  • 全寮制の高校に転入したマイルズか同室のチップ、通称大佐と最高にクールなアラスカと目まぐるしくも米国の高校生らしい日々が始まった。
    そんななか、アラスカはお酒に酔って夜中に寮を抜け出し車でパトカーに突っ込み即死してしまう。しかも、寮を抜け出す手伝いをしたのは大佐とマイルズだったのだ。
    事故か自殺か、二人はアラスカの死を検証する。

    映画やドラマに出てきそうな米国の高校生活。個性的なアラスカの死に激しく揺れ動くマイルズと大佐。
    タクミとラーラという異文化からの友人、寮の先生や宗教の先生など個性的で優しい。
    二人がアラスカの死を受け入れるまでの後半が特によい。

  • 「アラバマの全寮制の学校に転校したマイルズを待っていたのは、新しい仲間との楽しい日々。中心的存在である本好きの美少女、アラスカに心惹かれるマイルズだが、ある日思いもかけない出来事が彼らを襲う。」

    「取り返しのつかない出来事が起きた後、若い魂たちがどう立ち直るのかを描いた物語。マイルズたちの心の強さと健やかさに圧倒されつつも、読者もいつの間にか励まされているにちがいない。」(『10代のためのYAブックガイド150!2』ポプラ社 より抜粋)

  • 大好きなYA
    登場キャラクター全員が好き
    元はただこの何とも言えないキラキラ感が大好きだっただけだけれど、三浦くんのことを聞いてすっかり闇に陥っていたとき読み返したら光が私を照らす様にまた前を向ける様になった
    所詮YAだからって馬鹿にするような人がいたとしても私にとっては大好きで大切な本です
    青春ものとしても勿論楽しめますが、誰かを失って迷宮に迷ってしまった、そんな人にもお薦めしたいです
    Huluドラマバージョンも日本で公開して欲しいよーー


    トマス・エジソンの最期の言葉はこうだ。「向こうはとても美しい」。向こうがどこなのかはわからないが、きっと、それはどこかにある。そして、きっと美しいはずだ。

  • いかにも外国のお話、という青春小説。結構キワドイ描写が多いので、青少年には大々的にはおすすめできないけど。

  • なんと素晴らしい。
    どこまでも純粋で、どうしようもなく切ない。
    どうして。
    そう。どうしてと思い悩み、考え抜かないと、立ってはいられないのだ。

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著者プロフィール

John Green

1977年,インディアナポリス生まれ.オタク的感性と高い文学性,エンターテインメント性を兼ね備え,2005年発表のデビュー作『アラスカを追いかけて』で2006年度マイケル・L・プリンツ賞受賞.『ペーパータウン』でエドガー賞ヤングアダルト部門賞受賞.『さよならを待つふたりのために』でTIME誌の2012年度の小説1位に選ばれるなど,今もっとも注目されている作家.弟のハンク・グリーンとYouTubeに動画を投稿する,Vlogbrothersの活動でも知られている.

「2019年 『どこまでも亀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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