- Amazon.co.jp ・本 (1398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002011905
作品紹介・あらすじ
ゲーテを崇拝してやまなかった著者は,晩年のゲーテに深く愛されてその側近くに身を置いた.ほぼ十年に及ぶ両人の親しい語らいは,文学,芸術はもとより個人生活,諸外国の文化など多岐にわたり,それをまとめた本書は読者もまたゲーテと共に語っているかのような愉しさにあふれている.ゲーテを知るための必読書.
感想・レビュー・書評
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文豪でありワイマール公国の大臣も務め、『色彩論』など自然科学の研究も行った、マルチな天才について、文学志望のエッカーマンが書き残した言行録です。
晩年のゲーテについて、日誌の体裁で彼が言った言葉や行動を記録していて、200年以上も前に生きたゲーテの生き様をよく伝えてくれています。才能があることを隠したり自分を卑下したりしないで、弟子のエッカーマンにいつも朗らかに堂々と接しています。
私は若いころ読んだときには、そういうゲーテの自信満々さに辟易していました。学生の頃、大学の先生からゲーテは歳をとらないとわからないと言われたのを覚えているのですが、こうして自分がゲーテを再読し始めてみると、なるほどまた違う味わいがありました。
「私は、作家という天職に就いているが、大衆が何を求めているかとか、私が全体のためにどう役に立っているかなどということを決して問題にしてこなかった。それどころか、私がひたすら目指してきたのは、自分自身というものをさらに賢明に、さらに良くすること、自分自身の人格内容を高める、さらに自分が善だ、真実だと認めたものを表現することであった。もちろん、これが広範囲に影響を与え、かつ貢献したことを、私も否定するわけではない。しかし、これは目的ではなく、(中略)まったく必然的な結果だったのだ」(下巻、p.295)。
才能は与えられたものだから、それを伸ばして自分の人生を全うすることだけを目指してきたとゲーテは述べています。あんなに後世に偉大な業績を残した人なのに、世の中の役に立つかどうかは二の次だったと言っているのです。自慢とか自己顕示欲とか名誉心とかいったこととは違う次元にいるようです。こんな言葉を読まされると、これぞ天才という感銘を受けます。ナチュラルに徹することができることがまさに「ナチュラル=天才」たる所以だからです。彼は世の中のためとか社会への貢献などという、一見もっともらしい小手先の目的に囚われたりしていません。
こんな風にゲーテに感銘を受けるなんて、私自身が歳をとったということなのかもしれませんね。そんな私ですので、学生さんにはゲーテは、30年後、40年後に読むことをお勧めします。本館2階学習室(新書) 080||Iw||赤409-1~3 (yori) -
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