治療文化論: 精神医学的再構築の試み (同時代ライブラリー 30)

著者 :
  • 岩波書店
3.78
  • (3)
  • (1)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 28
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002600307

作品紹介・あらすじ

精神の病いとは何か-精神病理の問題にとって「治療と文化」の考察は不可欠である。何を病気とし、誰を治療者とし、何を以て治癒とするか。そして患者-治療者(社会)関係とはどういうものか。文化精神医学の到達点から精神医療の問題を根源的に問い直し、人間理解への新たな視角を拓く画期的論考。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 岩波講座「精神の科学」〇治療と文化

  • 【書誌情報】
    『治療文化論』
    著者:中井久夫
    カバー・デザイン:岩田友仁
    刊行日:1990/07/13
    ISBN:9784002600307
    版型:規格外 並製 カバー
    シリーズ名:同時代ライブラリー ; 30
    頁数:236
    在庫:品切れ

     精神の病いとは何か――誰を病人とし何を以て治癒とするか,患者‐治療者関係(患者‐社会)とはどういうものか.精神治療の問題を,文化精神医学の到達点から根源的に問い直し,人間理解への新たな視角を拓く画期的論考.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b269951.html

    【メモランダム】
    ※2001年には(江口重幸の解説を附して)岩波現代文庫として再刊。
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b255683.html
    ※初出は、「概説-文化精神医学と治療文化論-」in『精神の科学 岩波講座』第8巻(岩波書店 1983.12刊)。


    【目次】
    献辞 [ii]
    目次 [iii-vii]
    題辞 [002]

    一 文化精神医学をめぐる考察――文化精神医学と文化精神医学者 003

    二 「文化依存症候群」の問題 022

    三 ヨーロッパの「文化依存症候群」―― 一つの逆説」―― 027

    四 「文化依存症候群」についての再考察 034

    五 「個人症候群」という概念に向かって 038
    1 西欧世界における「非」普遍症候群の欠如性 038
    2 科学的「創造の病い」と宗教的「創造の病い」 040
    3 宗教的「創造の病い」としての中山ミキの変貌 044
    4 現代における一例 054
    5 「創造の病い」の再検討 057
      (1)「創造の病い」(エランベルジェ)
      (2) 卑近な一例
    6 「妖精の病い」と神話産生機能 063

    六 「個人症候群」概念導入の試み 068
    1 熟知性のなかで起る治療 068
    2 「治療集団」的側面を持つ小集団 072
      (1) 敗戦直後の年少者
      (2) 集団の集団の永続性・営為・構造
      (3) 困難への対処
      (4) 歴史家の職業病としてのうつ病
      (5)ヒューマン・ファクター
      (6) 少し違った他の例

    七 三症候群の文化精神医学に向かって 089
    1 深い治療と個人症候群性 089
    2 三症候群の構造的基底 093
      (1) 病いの深さ・古さ・患者の発達との関連
      (2) 治療者側の問題と開眼の仕方
    3 医学的認識の二方法との関連 099
    4 精神医学における診断についての一考察 104

    八 治療文化論 111
    1 定義の試み 111
    2 病者と非病者 115
    3 ヤップの破断回復論再考 118

    九 治療文化の諸形態 125
    2 非職業的治療文化 125
      (1)一人治療文化
      (2)家庭治療文化
      (3)小コミュニティ治療文化
    2 職業的治療文化 132
      (1)システムとしてのシャーマニズム
      (2)「内治療」集団としてのアルコーリック・アノニマス
      (3) 修道院とキリスト教治療
      (4)メスメリズム・催眠術・フロイト
    3 力動精神医学の起源を求めて 144

    一〇 精神科治療文化の複数性 154
    1 エランベルジェの逆理 154
      (1) SMOPと精神科医の有徴性
      (2) 精神医学はSMOPに収斂しうるか
      (3) 分裂病の不思議さ
    2 精神科医と土着治療師 166
      (1) インドネシア体験
      (2)「文化依存症候群」の積極的意味

    一一 患者と治療者 185
    1 階級と周縁性 185
    2 患者・中心指向・縁辺 186
    3 民間治療とヒュプリス 187

    一二 終末と新しい地平 199


    参考文献 [201-210]
    あとがき(一九九〇年五月一五日 神戸にて 中井久夫) [211-227]

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。2022年逝去。京都大学法学部から医学部に編入後卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉教授。公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構顧問。著書に『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982)、『中井久夫著作集----精神医学の経験』(岩崎学術出版社、1984-1992)、『中井久夫コレクション』(筑摩書房、2009-2013)、『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997)、『樹をみつめて』(みすず書房、2006)、『「昭和」を送る』(みすず書房、2013)など。訳詩集に『現代ギリシャ詩選』(みすず書房、1985)、『ヴァレリー、若きバルク/魅惑』(みすず書房、1995)、『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中央公論新社、2016)、『中井久夫集 全11巻』(みすず書房、2017-19)

「2022年 『戦争と平和 ある観察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中井久夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中井 久夫
ヴィクトール・E...
中井 久夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×