ことばの詩学 (同時代ライブラリー 132)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002601328

作品紹介・あらすじ

「詩の言葉」「子どもの言葉」は新しい意味を創り出す。なぞなぞ、わらべうた、民話の言葉は、簡潔な「構造」の中に無数の変形を生み出し、創造的な意味作用を秘める。本書は、日常的で親しみやすい素材を使って、文化のモデルとしての言語の構造を解明し、創造性の秘密に光をあてる。現代的な関心に応える言語学のテキスト。

感想・レビュー・書評

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  • 詩というものを見た場合、日常のことばと違うという印象を受けるのはなぜか、
    ということに論理的説明を与えた本。
    日常に使用している語彙とさしたる違いもなにのに、
    なぜ詩は詩らしくあるのか、それは比喩と矛盾というものを含むからだという答えを出している。
    似ているものに置き換える比喩を隠喩と呼び、
    またあるものの一部などで全体を例えることを換喩と呼ぶ。
    この二つを駆使することで、日常に使われている
    既に意味を与えられている記号に対して意味を再定義しなおす詩のことばが完成する。
    なぞなぞとことわざも基本的には同じ構造を用いているが、
    なぞなぞは、「叙述・主題」であるのに対し、
    ことわざは、「主題・叙述」という構造を取っている。
    また、ことわざは全体でメッセージや教訓を伝えているが、
    なぞなぞというものは、主題が何であるかを当てさせることば遊びなので、
    通常主題が記述されることはない。
    著者の分析は更に大きな視点に移り、
    わらべうたから民話、呪いといった類のものまで論理的に分析している。
    民話などは、抽象的概念に昇華させることで
    大きな共通点を見出し、そのことによって別系統と考えられている
    民話も実は元をただすと同じ出展であるということがいえると言っている。

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著者プロフィール

1934年、京都市の生まれ。東京大学で英語英文学、イェール大学で言語学専攻。現在、東京大学名誉教授、日本認知言語学会名誉会長。インディアナ大学、ミュンヘン大学、チュービンゲン大学、ベルリン自由大学、北京日本学研究センターなどで客員教授、ロンドン大学、カリフォルニア大学バークレー校などで客員研究員。Longman Dictionary of Contemporary English(3rd ed.),『ロングマン英和辞典』の編集で校閲者。著書に『意味論』『「する」と「なる」の言語学』(大修館書店)、『記号論への招待』『ことばの詩学』(岩波書店)、『〈英文法〉を考える』『日本語と日本語論』(ちくま学芸文庫)、『英語の感覚・日本語の感覚』(NHKブックス)など。言語学研究書の翻訳、論文多数。

「2022年 『ふしぎなことば ことばのふしぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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