士の思想: 日本型組織と個人の自立 (同時代ライブラリー 309)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002603094

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  • 日本の経営組織の原型は江戸時代の大名家(藩)にあるという仮説の元に、織田信長の組織革命、徳川吉宗の享保の改革、上杉鷹山の藩政改革、幕末の川路聖莫・井上清直兄弟、勝海舟などの若手幕僚抜擢に見る幕府の組織制度などを詳しく取り上げています。日本の封建時代が決して殿様絶対主義ではなく、「家」という組織を守るという考え方から幅広く行われた主君押込制度、養子縁組制度、そして吉宗の足高制による人材抜擢制度などを紹介しています。確かに、日本の武家の家制度は現在の日本企業組織の原型になったということは、100年ほど前まで残っていた制度が今も企業の中に残っていても何ら不思議ではありませんね。

  •  日本型組織なるものは、多くの場合、極めて浅く偏向したイメージでとらえられてきたが、それを打破する名著。
     武士団の成立を俯瞰した上で、江戸期の大名家組織を例にとり、日本型組織の特色、中でも組織における個人の自立性を論証。論の根拠となる各種の史料も豊富であり、それだけでも楽しめる。
     個人的には、組織設計という点で大いに参考となり、本書を通して思い得た工夫を実地に適用したこともある。歴史好きよりはむしろ、組織設計、組織運用に携わる人にとって一層有益と思われる。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター名誉教授、大阪学院大学法学部教授。博士(文学)(京都大学)。専攻は日本近世史・武家社会論。主な著書に『主君「押込」の構造』(平凡社)、『士(サムライ)の思想―日本型組織・強さの構造』(日本経済新聞社)、『武士道の精神史』(ちくま書房)、編著に『徳川社会と日本の近代化』(思文閣出版)、『徳川家康─その政治と文化・芸能』(宮帯出版社)ほか多数。

「2020年 『信長の自己神格化と本能寺の変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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