日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)

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著者 : 想田和弘
  • 岩波書店 (2013年11月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708850

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日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)の感想・レビュー・書評

  • 312.1-ソウ  300379278

  • この本で指摘された「小さな不戦敗」に思い当たることがある。「見て見ぬふり」という形で消極的に自分自身が加担していたこともあるかもしれない。そう思うと不勉強だった自分が恥ずかしくなる。この本が出版された2013年から2年、「不戦敗」も、「わーわー騒ぐ」人も見えてきた。あとは一人ひとりの「不断の努力」本当にその通りだ。

  • ごく薄い本。現在の政治状況にも言及している。

    この手の本は普段は読まないので、知識は得られたし面白い指摘もあった。しかし本書自体は、ウケそうな賢者的意見を述べただけではないかという感想も持った。

    個人評価として二つ星。

  • 映画作家・想田和弘氏が日本社会の危機を警鐘するブックレット。「言葉の支配と思考・行動の支配」「首相は庶民と同じ凡人でよい」というイデオロギー、「熱狂なきファシズム」、「消費者民主主義」というキーワードから問題を提議。今ほど、私たちの「民主主義」が本当の意味で試されている時期はなく、問題に抵抗するには、民主主義の価値を再定義し、真に重要な問題を議論の俎上に載せること、そのため、私たち主権者一人ひとりに「不断の努力」が求められていることを気づかせてくれる。

    はじめに
    第1章 言葉が「支配」するものー橋本支持の「謎」を追うー
    第2章 安倍政権を支えているのは誰なのか?
    第3章 「熱狂なきファシズム」にどう抵抗するか

  • 流石の想田監督。
    安倍政権の狡猾なやり口をうまく分析している。読んでいると、自分たちが本当に民主主義を捨てようとしているという危機感がひしひしと感じられる。
    その原因を日本国民や世界全体での消費者化で説明しているところも納得した。
    民主主義において我々は消費者やお客様ではなく、主権者なのだ。

  • 現在、「日本人が民主主義を捨てたがっているのではないか?」とまで思える状況への著者の危惧について、
    1章で「なぜ橋下氏が多くの人に支持されるか?」、2章で「安倍政権を支えているのはどういう人なのか」ということについて述べられた後、3章で、「熱狂なきファシズム、「表現の自由」という言葉がキーワードとなる。
    ごく薄いブックレットなので、一人でも多くの人に読んでほしいと思います。

  • 「熱狂なきファシズム」。
    まさに今日本が置かれている状態は、この一言でよく表されていると思う。
    日本は民主主義国家だというのは、(著者が言うように)民主主義以外の国で生活したことのない私は日々の生活の中でなかなか実感することはない。
    けれども、民主主義は保証されたシステムではなくて我々国民が不断の努力によって保持していかなくてはいけないものである。
    政治不信と騒がれている昨今、「政治不信」というその言葉自体が有権者の意識の低下をもたらしているのかもしれない。
    有権者の消費者意識という著者の見解、誠に納得。
    もっとワーワー騒いで、為政者たちの脅威にならなければいけない。
    そのためには、消費者的な思考は改めなければならない。投票に行き、政治に参加しなければ、絶対に後悔すると思う。
    本書は、ブックレットで短く簡潔に書かれているので、是非読んでいただきたい。

  • わかりやすい。
    日本人は政治に対して消費者になってしまっているという指摘はなるほどと思う。
    全体的に同意できる。

  • 真面目な論考を久しぶりに読む。

  • 消費者民主主義

  • 312.1 / 日本-政治・行政 民主主義 /

  • 尊敬している想田和弘氏の著書。
    公民の授業でなんとなく学んだ、"国民の不断の努力"。本当にこれが必要なのだなと感じる。民主主義って本当に莫大なエネルギーを元に作られていて......

  • つん友(積読の友)・文ちゃんの「備忘録」に釣られてぽちって手に入れてからしばらく「積読」モードにあったのですが、一気に読了しました…といってもごく短いブックレットです。だからひとりでも多くの人に読んでいただきたいな、と思います。

    第1章の大阪市長橋本市に関する論考、第2章の安倍晋三自由民主党総裁に関する論考を読んでいて、ここまでは僕も(精細さはともかく)概ね同じようなことを考えていて、今の政治情勢、社会的風潮について、どうしてこんな状況になってしまったのだろう、と悩ましく思っていました。

    だけど、第3章の「消費者民主主義」という言葉にあたって、ああ、そうだったのか、そうか、こんな大きな間違いをしてきたのか…と合点がいきました。

    僕らは政治の、自治の、国の統治の恩恵をこうむる「消費者=被支配者」ではないのだ。主権者とは消費者ではなく当事者なのですね。サービスを受けてあたりまえだとか、良いサービスを施してもらえなければ(まさに恵んでもらえなければ!)関心はない=投票に行かない、というのがそもそも間違っていたのだと、改めて気付かされました。

    そして最後に取り上げられた日比谷図書館事件の総括として取り上げられた憲法第十二条の「不断の努力によって」という文言に込められた深い意味を改めて実感させられました。

    この憲法が施行されたのが昭和22年(1947年)年5月3日、今から67年前のことです。でもこの憲法は、去年の参議院議員選挙前に起こった「日比谷図書館事件」を予見したかのように、それまでにもたくさんあったであろう主権の行使に対する不当な侵害を予見したかのように「不断の努力によって」という文言をきちんと入れていたことを思うと、この憲法が時代に合っていない、などというのは全くの言いがかりであると思うのです。なぜなら、今まさに起こっている「消費者民主主義(おまかせ民主主義)」に対して、「不断の努力」を積み上げて民主主義を主権者たる国民の手に取り戻さなければならないと気持ちをあらたにさせてくれる、生きた言葉に支えられているからです。

    最後まで読んでも79ページしかありません。遅読の僕ですらごく短い時間で読み切ることの出来る、わかりやすい表現で書かれた民主主義再興のための啓発書として、是非多くの方に読んでいただきたいと心から思います。

    最後に、憲法第十二条の全文を記しておきます。

    日本国憲法第十二条【人権の本質】
     この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
     また、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

  • 政治は政治家がやるもので、一般市民は政治サービスの受益者という感覚が日本を支配しているのではないかという指摘はなかなか今の状況を言い当てているようです。いろいろ政治に不満がある人がたくさん身の周りにいますが、政治活動をやろうという人はほとんど見かけません。その他人任せとなってしまった隙間に安倍や橋下といったポピュリズム政治家が台頭してきています。今の日本の民主主義は危機に面しているのではないでしょうか。ぜひ一度この本を読んでみてみてださい。

  • 現在,日本がおかれている民主主義の状況を,その思想・主張が最も顕著であるネット上の言説を用いてわかりやすく解説している。

    橋下や安倍を支持する様な者たちのいう事は,彼らの言葉をそのまま九官鳥の様に連呼するだけの“自分”のない主張で,何を指摘されても同じ事を只々繰り返すだけの壊れた蓄音機だが,それに対して批判する者たちも「差別だ」「反民主主義だ」「憲法違反だ」「人権無視だ」「ファシズムだ」「ヒトラーの様だ」と紋切り型の批判しかしない。しかし,彼らにその様な事を言っても「暖簾に腕押し」だ。

    “そのためには,まず手始めに,紋切り型ではない,豊かでみずみずしい,新たな言葉を紡いでいかなくてはなりません。守るべき諸価値を,先人の言葉に頼らず,われわれの言葉で編み直していくのです。それは必然的に,「人権」や「民主主義」といった,この国ではしばらく当然視されてきた価値そのものを問い直し,再定義していく作業にもなるでしょう。(P.25)”

    にはなるほどと思う,その人にあった,そのコミュニティにあった批判をしなければ,彼らの心には響かないとは日々思っているところである。ただ,人権は普遍的な価値のもので当然であるものなので,そこに変な価値観を付加するのはよくないが。

    “民主主義とは本来,自立した個人の存在を前提とします。民衆に主権があるということは,端的には「民衆こそが責任主体であり,決定権がある」ということを意味します。そのためには,民衆の一人ひとりが,少なくとも政治家の仕事の基本的な良し悪しを判別できる程度には,情報を集め,分析し,政策を理解し,選択できる能力を維持していかなければなりません。そして,そのための時間を割かなくてはなりません。民主主義の健全性を維持していくためには,私たち一人ひとりが死ぬまで勉強を続けなくてはなりませんし,絶えず責任の重みを感じ続けなくてはならないのです。それは民主主義の世の中に生きる人間の宿命であり,民主主義から受ける恩恵の代償とも言えます。(P.45)”
    耳が痛いが,まさにその通りで,おまかせ民主主義を通り越した,この消費者民主主義では,国民に主権者たる自覚が全くない,そんなのだから安倍に平気で「国家権力を縛るものだという考え方があるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ。」などと言わせてしまうのだ。自戒もこめて,さらに意識する様にしたい。

  • 「国民の義務」ってのは、兵役とか納税とかじゃなくて、為政者の耳に触る言葉でも言い続けるってことなんだ。

  • 安倍や橋下をまつりあげる「熱狂なきファシズム」が進行してしまう背景には、主権者であるはずの市民が自らを政治サービスの消費者と認識し、「賢い消費者は不完全なサービスは買わない」という「消費者民主主義」の態度があるのでは、という分析に、おおいに納得。じゃあどうしたらいいか、という処方箋が書いてないことに不満の人も多いだろうが、それこそ消費者の態度というものだろう。ついでにいうと、最近の小説や映画の、読者や観客が考える手間をかけなくてもいいように、噛んで砕いた離乳食みたいになってる傾向も、この悪しき消費者主義と同じなんだと思うね。

  • 傲慢の一言に尽きる。近年は『世界』や『現代思想』などで、政治学の知見に基づいた分析なども読めるようになっているが、そのような蓄積があるにも関わらず、自分は日本の危険な動きから距離を置いているということを強調するような記述や、「大衆の危険な言説」としてインターネットの書き込みを採り上げるという態度などは、カタルシスとして有用かもしれないが、それでアクチュアルな問題に切り込めるとは思えない。「自分は大衆とは違う」と思い込み、他者を見下すような態度は、それこそ本書で批判されている橋下徹などと同じものでしかない。

  • この衝撃的なタイトルは著者からの強烈な皮肉でもある。民主主義や政治に対して現代人は、主権者ではなく消費者だ。このことは自由とそれに伴う責任の放棄でもある。この本は、安倍晋三、自民党、そして世論について自分が前からもやもやしてた部分を突いてくれた。やっぱり安倍さんが自民党総裁になったあたりからおかしいよ。タイトルに対してふーんて思う人にこそ読んで欲しい。

  • 政治家は政治サービスの提供者で、主権者は投票と税金を対価にしたその消費者であると、政治家も主権者もイメージしている。そういう『消費者民主主義』と呼ぶべき病が、日本の民主主義を蝕みつつあるのではないか。
    だとすると、「投票に行かない」「政治に関心を持たない」という消費的な「協力」によって、熱狂なきファシズムが静かに進行していく道理もつかめます。(引用)…

    最近、個人的に考えている政治的ニヒリズム、先日読んだ國分功一郎『来るべき民主主義』、湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』とも良い感じで結びついてきました。

    そして、そこから導き出される結論は、私たちはヒーローを待たず、自らが『不断の努力』によって、『来るべき民主主義』を築いて行かなければならない…という非常に、しんどいものになりそうです。

  • 主権者とは政治サービスの消費者ではない。消費者には責任は伴わないが、主権者には責任が伴う。今おすすめの一冊です。 http://urx.nu/66t2

  • 当たり前過ぎて見過ごしてしまいがちだけれど、本当に大切で守らなければならないことを、分かりやすい普段の使う言葉で、じっくりと丁寧に考えている本。皆にもぜひ読んでもらいたい。

  • 自分の受信機がビンビンな状態だからか、一気読みして心が揺さぶられた。久しぶりのこの感覚。目が覚めるというか、これ、その通り!と思ってしまっていた。
    しかし、この感覚こそが、私が言葉によって支配された状態であり、もっと自分自身が、本当にそれは正しいのか、勉強しながら考えていかなければならないのだとは思うのだが。
    恥ずかしながら想田和弘さんという方は存じあげなかったので崇拝してしまいそうだ。Twitterもフォローさせてもらった。
    映画も見てみたいなあと思う。

    この本の中に書かれていた 内田樹さんの「下流志向」も読んでみたいと思う。

  • 想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレット、読了。橋下現象から安倍政権の誕生まで--。進行する「熱狂なきファシズム」を鋭く抽出する恐ろしい本だ。消費者と化した有権者の意識、みんながハードルを下げ、賢くなることを拒否する態度はオルテガの描く未来予想図の如し。

    「主権者が自らを政治サービスの消費者としてイメージすると、政治の主体であることをやめ、受け身になります」。消費モデルで政治を捉えることこそまさに『大衆の反逆』の「慢心しきったお坊ちゃん」(オルテガ)の錯誤。

    民主主義の原点は「みんなのことは、みんなで議論し主張や利害をすりあわせ、みんなで決めて責任を持とう」だが、消費者民主主義は「お客様を煩わさないで。面倒だから誰かが決めてよ、気に入ったら買ってやるから」になる。

    人々との語らないの中から著者が見出した日本の現状とは、海の外(著者はNYが拠点)では考えられないことだ。熱狂なきファシズムに抵抗していく究極の手段は、主権者一人ひとりが「不断の努力」をしていくことにほかならない。

    「首相は庶民と同じでよい」というイデオロギー(芦部知らない事件)の蔓延にも驚くが、映画監督の著者はたびたび「門外漢は口を出すな」「お前は映画だけを作ってろ」というおびただしいリプライ(風潮)により驚く。

    “「門外漢は政治を論じるな」という風潮に風穴をあける最良の方法は、「門外漢が実際に政治について語ること」” 民主主義が終了することで深刻な影響を受けるのは無数の「門外漢」。だからこそ不断の努力としての責任が重要か。

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橋下現象とは何だったのか。安倍自民党の「圧勝」で進行する「熱狂なきファシズム」とは-。政治への無関心が社会を覆う中で、民主主義そのものが崖に向かって行進している。いま必要なことは、当たり前に享受してきた「自由」や「権利」の意味を私たちが自ら問い直すことではないか。『選挙』『精神』などのドキュメンタリー作品で注目を集める気鋭の映画作家が、日本社会の直面する危機を鋭く描出する。

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