日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)

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著者 : 想田和弘
  • 岩波書店 (2013年11月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708850

日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)の感想・レビュー・書評

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  • つん友(積読の友)・文ちゃんの「備忘録」に釣られてぽちって手に入れてからしばらく「積読」モードにあったのですが、一気に読了しました…といってもごく短いブックレットです。だからひとりでも多くの人に読んでいただきたいな、と思います。

    第1章の大阪市長橋本市に関する論考、第2章の安倍晋三自由民主党総裁に関する論考を読んでいて、ここまでは僕も(精細さはともかく)概ね同じようなことを考えていて、今の政治情勢、社会的風潮について、どうしてこんな状況になってしまったのだろう、と悩ましく思っていました。

    だけど、第3章の「消費者民主主義」という言葉にあたって、ああ、そうだったのか、そうか、こんな大きな間違いをしてきたのか…と合点がいきました。

    僕らは政治の、自治の、国の統治の恩恵をこうむる「消費者=被支配者」ではないのだ。主権者とは消費者ではなく当事者なのですね。サービスを受けてあたりまえだとか、良いサービスを施してもらえなければ(まさに恵んでもらえなければ!)関心はない=投票に行かない、というのがそもそも間違っていたのだと、改めて気付かされました。

    そして最後に取り上げられた日比谷図書館事件の総括として取り上げられた憲法第十二条の「不断の努力によって」という文言に込められた深い意味を改めて実感させられました。

    この憲法が施行されたのが昭和22年(1947年)年5月3日、今から67年前のことです。でもこの憲法は、去年の参議院議員選挙前に起こった「日比谷図書館事件」を予見したかのように、それまでにもたくさんあったであろう主権の行使に対する不当な侵害を予見したかのように「不断の努力によって」という文言をきちんと入れていたことを思うと、この憲法が時代に合っていない、などというのは全くの言いがかりであると思うのです。なぜなら、今まさに起こっている「消費者民主主義(おまかせ民主主義)」に対して、「不断の努力」を積み上げて民主主義を主権者たる国民の手に取り戻さなければならないと気持ちをあらたにさせてくれる、生きた言葉に支えられているからです。

    最後まで読んでも79ページしかありません。遅読の僕ですらごく短い時間で読み切ることの出来る、わかりやすい表現で書かれた民主主義再興のための啓発書として、是非多くの方に読んでいただきたいと心から思います。

    最後に、憲法第十二条の全文を記しておきます。

    日本国憲法第十二条【人権の本質】
     この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
     また、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

  • この衝撃的なタイトルは著者からの強烈な皮肉でもある。民主主義や政治に対して現代人は、主権者ではなく消費者だ。このことは自由とそれに伴う責任の放棄でもある。この本は、安倍晋三、自民党、そして世論について自分が前からもやもやしてた部分を突いてくれた。やっぱり安倍さんが自民党総裁になったあたりからおかしいよ。タイトルに対してふーんて思う人にこそ読んで欲しい。

  • 安倍政権が目指す新しい日本は「国民の基本的人権が制限され、個人の自由がなく、国家権力がやりたい放題できる全体主義の国」。少なくとも自民党改憲案に民主主義は存在しない。民主主義を保つには、我々国民一人ひとりが政治に関心を持ち、情報を集め、分析、選択できる能力を維持しなければならない。一生勉強である。そんなのやってられない。みんな無知でいいんだ。首相も無知だし。その方が「楽」だと言う幼稚な安倍支持派と選挙にすら行かない派が民主主義を捨てようとしているのではないか。

  • 312.1-ソウ  300379278

  • この本で指摘された「小さな不戦敗」に思い当たることがある。「見て見ぬふり」という形で消極的に自分自身が加担していたこともあるかもしれない。そう思うと不勉強だった自分が恥ずかしくなる。この本が出版された2013年から2年、「不戦敗」も、「わーわー騒ぐ」人も見えてきた。あとは一人ひとりの「不断の努力」本当にその通りだ。

  • ごく薄い本。現在の政治状況にも言及している。

    この手の本は普段は読まないので、知識は得られたし面白い指摘もあった。しかし本書自体は、ウケそうな賢者的意見を述べただけではないかという感想も持った。

    個人評価として二つ星。

  • 流石の想田監督。
    安倍政権の狡猾なやり口をうまく分析している。読んでいると、自分たちが本当に民主主義を捨てようとしているという危機感がひしひしと感じられる。
    その原因を日本国民や世界全体での消費者化で説明しているところも納得した。
    民主主義において我々は消費者やお客様ではなく、主権者なのだ。

  • 現在、「日本人が民主主義を捨てたがっているのではないか?」とまで思える状況への著者の危惧について、
    1章で「なぜ橋下氏が多くの人に支持されるか?」、2章で「安倍政権を支えているのはどういう人なのか」ということについて述べられた後、3章で、「熱狂なきファシズム、「表現の自由」という言葉がキーワードとなる。
    ごく薄いブックレットなので、一人でも多くの人に読んでほしいと思います。

  • 「熱狂なきファシズム」。
    まさに今日本が置かれている状態は、この一言でよく表されていると思う。
    日本は民主主義国家だというのは、(著者が言うように)民主主義以外の国で生活したことのない私は日々の生活の中でなかなか実感することはない。
    けれども、民主主義は保証されたシステムではなくて我々国民が不断の努力によって保持していかなくてはいけないものである。
    政治不信と騒がれている昨今、「政治不信」というその言葉自体が有権者の意識の低下をもたらしているのかもしれない。
    有権者の消費者意識という著者の見解、誠に納得。
    もっとワーワー騒いで、為政者たちの脅威にならなければいけない。
    そのためには、消費者的な思考は改めなければならない。投票に行き、政治に参加しなければ、絶対に後悔すると思う。
    本書は、ブックレットで短く簡潔に書かれているので、是非読んでいただきたい。

  • わかりやすい。
    日本人は政治に対して消費者になってしまっているという指摘はなるほどと思う。
    全体的に同意できる。

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日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)の作品紹介

橋下現象とは何だったのか。安倍自民党の「圧勝」で進行する「熱狂なきファシズム」とは-。政治への無関心が社会を覆う中で、民主主義そのものが崖に向かって行進している。いま必要なことは、当たり前に享受してきた「自由」や「権利」の意味を私たちが自ら問い直すことではないか。『選挙』『精神』などのドキュメンタリー作品で注目を集める気鋭の映画作家が、日本社会の直面する危機を鋭く描出する。

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