- Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002708898
作品紹介・あらすじ
憲法に男女平等を書き込んだベアテ。その父は日本に西洋音楽を伝えた世界的なピアニストだった。理想主義と人間への信頼に生きた父娘の稀有な生涯。
感想・レビュー・書評
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戦前から終戦直後まで日本で暮らし、日本の音楽界に貢献したピアニスト、レオ・シロタ。
日本で育ち、日本国憲法作成に深くかかわり、戦後はアジアの芸術文化をアメリカにひろく紹介したベアテ・シロタ。
父娘それぞれの足跡と、憲法や国際交流について語られたブックレット。
ベアテから寄せられた前書きと、ベアテの娘ニコルによる回想つき。
大筋は『1945年のクリスマス』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4760110771で知っていた話。
けれど、私はあれを読んだ頃あまり憲法に関心がなかった。
憲法はゆらがないと信じていたし、日本はもう戦争をしない国だと思っていた。
今読んだらきっと受け取り方がだいぶ変わっていると思う。あの本はもう一度読み直したい。
私は音楽には疎いので、レオ・シロタのことはベアテのお父さんとしてしか知らない。
でも音楽家として、教育者としての姿をもっと知りたい。
日本はもっとこの人を知るべきだ。
亡くなる直前のベアテの姿に衝撃を受けた。
病床で、命を振り絞るようにして日本からの改憲関係の取材を受けたという。
こんなに案じてくれていた。
こんなに誇りを持って仕事をして、関わり続けてくれた。
改憲護憲を叫ぶ日本人の中にさえ、こんなに誠実に向き合っている人は少ないように思う。
私は憲法を変えようとしている人や変えたい理由について知らなければならないと思っていたけれど、その前に自分が受けている恩恵について知るべきだと思った。
自分のことなんだから、意見を言うにしても憲法自体をまずは知らないと。
ユダヤ系の有能な若い女性が、自分の故郷とも呼べる国に占領軍側として戻ってきて復興にかかわる、文化的な事業をなし、子供や女性の生きやすい世界を作ろうとする。
こういう点で、国際児童図書評議会(IBBY)のイェラ・レップマンを連想しながら読んだ。
『子どもの本は世界の架け橋 』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4772190376
世界を良くしていこうとする人たちは、「戦え・守れ・やつらを倒せ」とは言わないのだな。
戦中のシロタ夫妻の扱われ方は『日本はなぜユダヤ人を迫害しなかったのか―ナチス時代のハルビン・神戸・上海』 http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4829503386を思い出しながら読んだ。
「うちは同盟国であって占領国じゃないんだからドイツの方針にホイホイしたがわないぞ!」というパワーゲーム。
「ユダヤ人の生命」に興味のない国だからこその扱い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
彼女の存在を僕は知らなかった。
妻に薦められて読んだ。
日本憲法の女性の権利に関する条文に、当時22歳のベアテ・シロタが関わっていた。すごいことだと思う。 -
中学校2年の時に日本国憲法を読んだ時の衝撃、なるほど、全人類の思いがベアテ・シロタを突き動かしたんだと納得した。