伊勢物語 (岩波文庫 黄 8-1)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (115ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003000816

作品紹介・あらすじ

在原業平とおぼしき貴公子を主人公とするこの物語は、彼の元服から終焉までの一代記風の構成をとる。権力とは別次元の価値体系に生きる男、后・斎宮から田舎女・召使との恋愛、報われることを期待しない女の愛、麗しい友情、主従の厚い情義など、ここにはそれまでの王朝文学の思いも及ばなかった愛情の諸相が生き生きと描かれる。

感想・レビュー・書評

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  • 光源氏に先行する「みやび」な物語。紫式部も清少納言も読者仲間だ。ゆるやかな構成だが、基本的には(業平とおぼしき)男の「うひかうぶり」から、死期を悟るまでを描く。第1段の「うひかうぶり」は、元服か初爵かと解釈が分かれるが、いずれにしても青年になったばかりという年齢だろう。そして、この早熟にして激しい「みやび」が全段にわたって賞賛されているのだ。心魅かれるのは、やはり二条后高子とのくだり(第3段~第6段。後段でもしばしば回顧される)と、第23段の名高い筒井筒だろう。貴種流離譚にして王朝の雅の原型がここにある。

  • p.2023/12/7

  • 図書館で借りた。
    岩波文庫の黄色、日本の古典を読んでみようシリーズだ。伊勢物語は平安時代に成立した歌物語。
    和歌を中心にした、恋愛小説的なもの。

    歴史書とは違って、中々前提知識が無いので読むのに苦労した。教養が足りないと実感。

  • 好きな女とかけおちをした男。夜、雷雨の中、逃げるふたり。女が草の上の露を見て「あれは何?」と言う。男は隠れる場所を探すのに夢中、この辺りは鬼が出るとも聞く。男は荒れ果てた倉を見つけ、女を奥に押し入れ、戸口を守っていた。夜が明け、倉の中を見ると、女は鬼に食われていた。女が「あれは何?」と言ったとき、「露だよ」と答え、露のように消えてしまっておけば、この悲しみもなかったろう。彼女がいなくなったいま、月は昔の月ではない。春は昔の春ではない。作者不詳「芥河」『伊勢物語』

    かぐや姫を迎えに来た天人「かぐや姫、不死の薬を飲みなさい。穢い地上のものを食べていたので気持ち悪いでしょう」。▼かぐや姫は、育ててくれたおじいさんとおばあさんを地上に置いて行くのが不憫だと思っていたが、天の羽衣を着ると、その思いは消え失せた。作者不詳『竹取物語』

    *******************************

    世の中つらいことがあるたびに谷から身投げしていたら、深い谷でも浅くなるだろう(作者不明)。▼やまとうたは、力を入れないでも天地の神々を動かし、目に見えない鬼神をしみじみとした思いにさせ、猛々しい武士の心を慰める。紀貫之(編)『古今和歌集』905

    唐とこの国とでは言葉は違うが、月の光は同じなので、それを見る人の心も同じだろうか。紀貫之『土佐日記』935

    私がお慕いしているのに、それほどでもない女を可愛がりなさるとは、癪にさわり恨めしい(夕顔)。▼あなたが心変わりをしているとも知らず、私の訪れを待っているものとばかり思っていました(浮舟)。紫式部『源氏物語』

    若い男は細めなのがいい。年配の男は豊かに太って貫禄があるのがいい。▼講師は美しい顔の人がいい。美しい顔をじっと見つめていれば、話の有難みも感じられる。▼人から一番の扱いをされないといやだ。一番でないなら、憎まれたりひどい扱いを受ける方がましだ。▼ハエが濡れた足で顔にとまっている有り様は本当に憎らしい。▼急用がある時にやってきて長話をする人は憎らしい。▼来客中なのに、家の奥の方からくつろいだ内輪話が聞こえてきて、止めることができないのはいたたまれない。▼毛がよく抜ける銀の毛抜きはめったにない。▼枯れた葵や人形遊びの道具を見ると昔が恋しくなる。 ▼二歳から三歳くらいの幼児が小さなごみをみつけて、愛らしい指でつまんで、大人たちに見せている。とてもかわいい。清 少納言『枕草子』

    夜な夜な別の女のところに行く夫。「嘆きながら一人で寝る夜は、夜が明けるまでどんなに長くつらいか、あなたには分からないでしょう」と和歌をいつもより改まった字で書き、色あせた菊に挿して夫に渡した。藤原道綱母『蜻蛉かげろう日記』974

    私は小さいころ、自分はまだ器量がよくないが、年頃になれば見た目も美しい夕顔や浮舟のようになるのだ、と思っていた。あさはかなことだった。▼古い考えの父は、宮仕えはとてもつらいと思い、最初わたしを家から出さなかった。菅原孝標女『更級日記』 1060

    藤原道長『御堂関白記』995
    ※神経質そうな細い線。

    ※国風文化。平安時代中期。

  • 業平作ではないけれど、
    かしがまし草葉にかゝる蟲の音やわれだに物をいはでこそ思へ
    めっちゃ同意笑

  • 単なる名歌集にしては物語的要素が強いけれど、詠み手はさまざま、時系列もほとんどバラバラ。
    こうなってくると逆に成立過程が気になるところ。

  • 「むかし、をとこありけり」
    平安時代を舞台にした恋愛物語のショートショートとでも言える作品集です。

  • 六歌仙の一人、在原業平の代表作です。

    一般的に、古典文学はとっつきにくいイメージだと思いますが、伊勢物語は色々な恋愛模様を和歌とともに綴った笑いあり涙あり切なさありの非常に素敵な物語です。

    駆け落ちしたものの女を鬼に奪われてしまう『芥川』(6段)や、かきつばたの歌で御馴染みの『東下り』(9段)は、高校の授業でも取り上げられて馴染みがあると思います。

    あ、個人的には、23段が好きです。

    物語中に挿入されている和歌もまた秀逸です。修辞がとても技巧的だったりもします。
    さすが六歌仙、業平さん(´∀`人)ステキ

    人間の価値観は時代とともにどんどん変わっていきますが、
    根本的な感情は千年前も今も同じなんだと思います。

    全125話の独立した短編からなるので、気合を入れすぎずに少しずつ読み進めることができます。
    今まで授業以外で古典を読んだことがない人にもお勧めします。
    よかったら読んでみてください。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003000811
    ── 大津 有一《伊勢物語 09‥‥‥ 19641216 岩波文庫》九四
    http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/ise2.htm
     
     在原 業平  歌人 0825‥‥ 京都 08800709 56 /天長 2.‥‥-元慶 4.0528
    /Ariwarano, Narihira
     
     大津 有一 国文学 19020327 石川 19830701 81 /皇學館大學教授
    /Ootsu, Yuuichi
     
     むかし、男ありけり。女を買って、しけこんだところ、不如意につき、
    わかい女と交代したという。わかい女に万札をわたすと、帳場で両替し、
    釣銭をくれたそうな。生き馬の目を抜く都会でも、ここに泉ありき。
     
    (20121102)(20210505)
     

  • 注釈が物足りなかったのが残念。身分を超えた愛情を感じられる一冊。

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