- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003026311
感想・レビュー・書評
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京都・春秋座で木ノ下歌舞伎「三人吉三」を観た。大歌舞伎の映像で「三人吉三」を予習していたけど、現在上演されている多くは「三人吉三巴白波」で吉三編のみ。今回は初演時の「三人吉三廓初買」で廓編(文里)がからむ。複雑な二層構造になるのだが、この廓編があってこその面白さだった。そして初演時以来という「地獄正月斎日の場」よ…!
観劇が済んで、複雑さと5時間で見落としたり、よく分からなかった細かい点が気になり、本を手に取った。
これまた面白い。
歌舞伎の脚本を読むのが初めてという事もあって、ト書きに興味津々。「ト思入れあって」「ト時の鐘相方にて」「流行り唄にて道具廻る」等。
クライマックスにしても浄瑠璃と清元、それに台詞が掛け合いの調子になって、雪は降るわ泣くわ死ぬわで読んでいても盛り上がり具合が嫌でもわかりました。
全体に渡って七五調の台詞でとんとんと読みやすく気持ちがよい。それが故に内容が入ってこないってこともあったけど。
一重があんなに嫌がっていた文里のことを手のひら返したようになる理由が読んでもいまいち納得できなかったけど、はっきりいって文里相当いい男なので、これは甘えだったのでしょう(む、ツンデレってやつなのかな?)
ともあれ、初演が正月公演であったこと、この物語が年末から正月にかけて、また1年を経ての物語ということが、舞台の季節感や、掛け言葉、地獄の場に曾我狂言の当て込みがあったりから汲みとれた。
うーん、何か書き忘れてるかな?
ま、まづ今日はこれぎり。めでたく打ち出し。
*岩波文庫版は「地獄正月斎日の場」「小磯宿化地蔵の場」未所収だったので、『新潮日本古典集成』を読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黙阿弥の歌舞伎狂言。
タイトルは、同じ「吉三」という名の三人の盗人に由来。
てっきり三人の吉三が連れ立って吉原へ繰り出す話かと思っていたが
違った(笑)
短刀・庚申丸と百両の現金を巡るドタバタ。
ダイナマイトリレーさながら、
庚申丸の代金となるはずの百両が
登場人物たちの間をスリリングに移動する。
脇役の会話など、
あちこちに「くすぐり」が噛まされていて楽しいが、
本筋は入り組んだ人間関係と、そこに生じる悲劇。
旅の女形として育ち、八百屋お七の名を騙る「お嬢吉三」が
お七よろしく櫓に昇って太鼓を叩くシーンが圧巻。
校訂は黙阿弥の女婿・河竹繁俊。
瑣末な余談ですが、
岩波文庫1953年版と1991年復刻版の書影が逆になっている模様。 -
お嬢吉三が八百屋お七をモデルにしていたなんて、知らなんだ!
だったら、結ばれるはお坊吉三じゃなくて、和尚吉三でないかい?と思った。
確か、小姓吉三は、和尚になったはずなんだけど…目黒の雅叙園によれば。