当世書生気質 (岩波文庫)

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著者 : 坪内逍遙
  • 岩波書店 (2006年4月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003100424

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当世書生気質 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

  • 小町田粲爾の恋物語と、上野戦争で母妹と生き別れになった守山友芳の話を主軸に、明治初期の書生達の生活を写実的に描いたというもの。
    全20章+αからなり、基本的には様々な書生諸君が授業をサボって牛鍋屋で昼間から酒を飲んだり、借金を拵えたり、アルバイトをして小金を稼いだりする話になっています。
    執筆されたバックボーンや、逍遥が目指し、体現した本作の形にこそ語るべき部分はあれど、内容に関していえば、面白いものではありませんでした。
    登場人物がやたらと多く、場面の移り変わりが激しい上で、歴史的仮名遣いと当時独特の言い回しのオンパレードとなっており、読み終えるのにある程度の根気と、時間が必要です。
    ラストだけ、ああ、なるほどといった落ちになっていましたが、とにかく面白い小説を読みたいからといって、本書を手にとるのはおすすめできません。

    一方で、文学史上の意味としては誰しもが知っているほどに重要な意味を占める作品となっています。
    それまで日本にあった滑稽者や戯作からの脱却を目指して、海外のノベルに並ぶべく書かれた、近代文学の先駆け的作品であり、本書を持って近代小説文学が始まったと言っても過言ではない位置にあります。
    それ故に、小説の黎明的な文章も多く、各章の頭に筆者の考えのようなものが長々と書かれたり、会話の頭には話している人物名が記載していたり、5・7のリズムで文章が区切られていたり、それまでの戯作文学の名残と思われるような書き方が目立ちました。
    ラストも落ちはつきましたが、話の途中でブッツリと終わり、早々に本書の続編の話の腹稿がある旨の本書の内容に関係のない文書が始まります。
    そういったところも含めて文学の黎明を感じられる作品でした。

  • まだ文体は江戸時代の名残を残している。上野戦争で生き別れになった兄妹の再会までの経緯がメインの内容になる。いろいろな書生の話。後半になるにつれ面白くなります。当時の有名な鳥料理屋が上野にあったようで気になるものです。

  •  
    ── 坪内 逍遥《当世書生気質 188506‥-188601‥第1-17号 晩青堂 20060414 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003100425
     坪内 逍遥   作家   18590622 岐阜  19350228 75 /安政 6.0522
     |
     野々口 精作のモデルと推される可能性を懸念、22歳で改名。
    …… 趣味は、女遊び、浪花節、将棋、囲碁、油絵(Wikipedia)。
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%CC%EE%B8%FD+%B1%D1%C0%A4
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19280521
     黄熱客死 ~ 野口家の系図 ~
     
    (20140930)
     

  • ◆読み方が少し間違えそうですが、当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ)。書生という人たちの生態(?)が生き生きと描かれた一冊。書生が義妹と偶然の再会を果たして、恋と勉学のはざまで悩むというラブロマンスを軸にしながら、書生同士の友情や実にまぬけなやりとりなどが展開されてとても面白く読むことができた。じっくり読んでもよし、パッと読んでも笑えるという、おいしい一冊。まさに「一読三嘆」。

    ◆書生と一口にいってもいろいろな人がいるから面白い。友人によからぬ噂が立っているのを忠告し事情を聞く書生、知識はあるが自論をもたないために他人に流される書生、借りたカネもモノも返さないけれど口だけ達者な書生など。「勧善懲悪を排する」という著者の姿勢は、この口だけ達者な書生がのうのうと生きていることからも明らかだと思う(勧善懲悪モノなら、彼への罰は退学では済まない)。

    ◆外国語や方言の混ざった独特の書生言葉も面白い。友人が購入した本をみて「これは実にユウスフル(有用)ぢゃ。」という。見方を変えれば、この本に出てくる書生は全員それだけの語学力はあることがわかる。

    ◆言葉が少し難しいけれど、前半はこっけいな話も多いので面白く読めると思う。15回目あたりから、田の字の出生や、守山の娘の消息といった謎が一気に動き出すので、そこは人物と時代が錯綜して難しいかもしれない。

    ◆メモ

    「ムグムグムグ。ムツケイムツケイ」(p. 40)
    「野良倉雄太(のらくらゆうた)、強岡次郎(すねおかじろう)、臍栗朝泰(へそくりちょうだい)、永歌脩(ながうたおさむ)、図留井根蔵(ずるいこんぞう)、厚川連世(あつかわつらよ)、根津町溺(ねずまちおぼる)」(p. 86)
    「ヘン嫉(そね)むべしッ」(”べしッ”がお気に入りです, p. 86)

    「アイタタ、僕ぢゃといふに。」「僕も糞もあるか。うぬ、うぬ。」ポカポカポカ。「桐山ゆるせー。」「うぬ。おれの名を知ッちょるな。いよいよ怪しいぞ。」ポカポカポカ。「ア、イタタタタ。」ポカポカポカポカ。「アイタタタタ。僕ぢゃアー。」「うぬうぬ。」ポカポカポカ。「アイタタ。僕。」「うぬ。」ポカ。「我輩ぢゃアー」ポカ。「アイタタ。」ポカ。「我(わが)」ポカ。「アイタタタタ。」ポカポカポカ。(前編 終)

  • これ、やはり苦手なんだよな…。筋は追えても登場人物が多くて整理がつかん。しばらくしたらまた読む。

  • 登場人物の名前が覚えられず、思わぬ苦戦。
    しかし単純明快な娯楽ものなのでその辺の細かいことは気にせず一気に読んだ。
    2日ほどルー語よりもいっそう際物めいた英語混じりの書生言葉で話すのが流行に。単純。
    どういうわけかPerfumeの『Handy Man』がぴったりすぎてすっかりイメージソングに。あのテンポのいいガチャガチャ具合が合うのかな。

  • 解説によると作家本人は後々小説神髄との矛盾が散見されるこの小説を駄作として全集に入れるのも望まなかったそうだが、面白く読めました。確かに小説というより教訓めいた人情話っぽさを感じるが、明治の初めという江戸時代の文化と新しい時代の自由が色濃くまじりあう時代がよく書き出されているし、言葉遣いが軽快で読んでいて心地よさを感じる。古今の学生の違い(遊び方...)と共通点(大方は勉学よりも遊びに力点を置いてすごす)を知るのもまた楽し。

  • 登場人物の多さ、入り組んだ関係、今の昼ドラの原型を作ったような作品。さすが、現在の小説の地盤を作ったような作品なだけある。そして、意外に読みやすい。

  • 図書館で借りた。

    高等遊民について知りたくて、昔の書生について書かれたものを読んでみた。
    話の大筋は出自不明の芸者が父、兄に巡り会う、というもの。そこに至までの枝葉に書生の生活が書かれている。
    学生が芸者と近づきになっていることに驚いた。牛鍋屋の店員を平気で口説くのもいたり、下宿で同室のものにバイトを斡旋されたり、会話に略語が混じったり、割と現代に近い部分もあった。話すときに英単語が混じるのは本当にそういう話し方をしていたのかどうか、非常に気になった。仲間内でだけの言葉のつもりなのか、気取りなのか、よく分からない。

    『食道楽』(こちらは書生上がりだけど)を読んでも思ったが、昔の学生はゆったりとしている印象を受ける。将来について希望があるというよりも、何とかなるという気の持ちようのように感じる。

  • 意外と読みやすい。
    愉快で娯楽。
    坪内逍遥が書いたからか、台本っぽいところもたくさん。
    明治の書生に対する、「真面目」っていうイメージがちょっと変わった。

  • 資料と言うより小説だけど。
    文章が現代文ではないので、最初かなり戸惑いもあり。

  • 従来の勧善懲悪をベースとした日本の文学を『小説神髄』で批判し、写実主義を実現せんがためにこの作品を書いたのですね。明治の書生の学生生活と社会風俗を描いた近代文学の先駆書。これを読んで正岡子規は官職を諦め文章家になることを決意したのだ。

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当世書生気質 (岩波文庫)の作品紹介

学生小町田粲爾と芸妓田の次とのロマンス、吉原の遊廓、牛鍋屋-明治10年代の東京の学生生活と社会風俗を描いた日本近代文学の先駆的作品。坪内逍遙(1859‐1935)は勧善懲悪を排して写実主義を提唱した文学理論書『小説神髄』とその具体化としての本書を著し、明治新文学に多大な影響を与えた。

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