- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003100714
作品紹介・あらすじ
真面目で優秀だが内気な文三と、教育ある美しいお勢は周囲も認める仲。しかし文三の免職によって事態は急変、お勢の心も世知に長けた昇へと傾いてゆく。明治文明社会に生きる人々の心理と生態を言文一致体によって細緻に描写し、近代文学に計りしれない影響を与えた二葉亭四迷(1864‐1909)の記念碑的作品。
感想・レビュー・書評
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人間の内面、心理は見方はそれぞれ、捉え方はそれぞれ、当時も今もこの小説に出てくる動揺する心理は変わっていない。
140年くらい経った今も変わらないってことは人間が必ず陥る罠だし、特有の権利でもある。
このダイナミクスが人生を彩っている。
やって見ろよAIさん。
とこの時代に叫んでおく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文三とお伊勢。本田の三角関係。
ぐずぐずとはっきりしない文三、ついでに仕事も首になる。
それを周りの皆で馬鹿にする話。 -
何となく敬遠していたが予想以上に読みやすかった
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言葉は今とさほど変わらずも、時代背景が全く違うために、註釈を読まないと書いてある意味が汲み取れない。夥しい量の註釈だけでは足りぬ故に辞書で調べネットで検索しながらようやっと読了。
内海文三の気弱さに若干苛々させられつつも、夢に溢れて前しか視ないというイメージの明治人の中にも文三のような人間が存在していたのかと少し意外さを覚えた。
解説にもあるように、学問への打ち込みと良識だけで生きてきた文三は、結局、口先の巧みさで上り詰めてきたチンピラのような本田昇に悉く負かされてしまう。今の社会でもそれは同じ。そしてその社会の有り様を批判すべく筆を執ったらしいが、二葉亭四迷自身が深みにはまったのか、なんなのかで、結局完結する事なく終わらされてしまったらしい。
明治の当時においてであれば、その警告なり批判なりも新鮮に映ったろうが、今の社会ではその社会問題ももはや誰もが認めるところであり、ゆえに消化不良感が大きい。尾崎紅葉の金色夜叉然り。モヤモヤだけが残る。 -
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とにかく、訳注が多い。
初めての近代小説らしいです。
取り立てて内容的には盛り上がるところとかはないですが、なんと言っても描写の面白さ、博学さ、圧巻の面白さで笑えます。
小説の根源を見たような気がします。
面白かったです。 -
解説:中村光夫
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注釈が多い。当時の世俗、世情、言葉回しなど注釈なしでは解せない。しかし話の展開、文章のキレが良いので読みやすい。結末は悩める青年はそのままに。現代にも通ずる。
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まさに人間そのものが描写されている。この時代に先駆者としてここまで面白い作品を書けるのは素晴らしい。