坊っちゃん (岩波文庫)

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著者 : 夏目漱石
  • 岩波書店 (1989年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101032

坊っちゃん (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 小学生の時に、かなり大ざっぱな児童むけリライト版『坊っちゃん』を読んだことはあるが、オリジナルの通読は今回が初めて。読後の感想を一言で述べると「面白い。が、いいのか、これ?」。

    あらすじ紹介には「正義感に燃える若い教師の奮闘の日々」と書いてある。『金八先生』みたいな熱血教師ものかと早合点しそうになるが、だまされてはいけない。『坊っちゃん』は語り口こそ軽妙だが、のちに『こころ』という作品で人間の孤独についてげんなりするほど粘着質に書いた、あの夏目漱石の作品である。ハートフルストーリーを求めて読むと肩すかしをくらう。

    第一に、主人公の〈おれ〉は理想に燃えて教師になったのではなく、たまたま恩師に教職を斡旋されて、ほかに就職先がなかったから引き受けたという、典型的なデモシカ教師である。それでも普通の小説なら、生徒との交流を通して使命感に目覚め、「生徒から色々なことを教えられ、人間として成長できました」ときれいにまとめるところだろうが、『坊っちゃん』は違う。〈おれ〉はあんまり成長しないし、生徒との間には連帯感のカケラも生まれない。そして赴任後1ヶ月で勝手に辞職してしまう(しかも辞表は郵送で提出)。

    さらに「文豪作品=美しい日本語のお手本」という先入観もぶち壊してくれる。計算されつくした巧みな文章には違いないのだが、語り手の〈おれ〉が短気な江戸っ子という設定なので、悪口雑言のオン・パレードでなのである。〈おれ〉の悪態のうち2割くらいは正当な批判であり、そこを掘り下げればいくらでも深読みできると思うが、残りの8割はどう考えても単なる言いがかりだ。ポンポンと歯切れがよくユーモラスなのでついクスッと笑ってしまうが、松山を「不浄な地」呼ばわりは、漱石先生といえどもいかがなものかと思う。『坊っちゃん』を松山の観光資源として活用してもらうことで、罪ほろぼしになっているとは思うけれど。

    とりあえず「明治時代から学級崩壊ってあったんだな」ということや、「3年以内に職場を辞める若者って昔からいたんだな」ということがわかった。ある意味、漱石ってやっぱすげぇ、と思わざるをえない。

  • 中学生になったばかりの頃に読みました。
    教科書に,一章だけが紹介されており,思わず惹かれてしまったのです。それは,主人公の正義漢ぶりが,直情さが,不作法だが無造作で飄々としたところが,
    人物として当時の私がとても憧れたからだと思います.

    夏目漱石のコミカルで軽快な書き口に,勧善懲悪の爽快感が加わり,文学作品のなかでもとても読みやすい作品の一つです.

    多くの版がありますし,また多くの映像や絵や漫画も生まれています.学生の皆様には一読を勧めたい一冊です.

    中学生の時と,今とでは,この作品に対してどの様な感想の変化があるだろうか,一度試して見ようと思います.

  • 自分のなかで漱石ブームなので、十数年振りに読んだ。
    初めて読んだときは、漱石を雲の上の人にように感じていたが、いまは違う。もっと親しみが湧いているし、冗談の好きな人くらいに思っている。

  • 単調に思ってしまった物語。

  • 漱石の作品の中でも最も大衆的で最も親しまれている作品。主要な登場人物は全員欠陥を抱えている。そして自分は坊ちゃんに似ていると感じた。おそらく読者の誰もがうらなりや野太鼓、山嵐、赤シャツ、若しくは狸といった主要な登場人物の誰かに似ていると感じるであろう。そこがこの作品を今なお親しまれるべき作品にしている理由だと思う。とにかく登場人物に自分の欠点が投射されていて愉快でたまらない。

  • 2015/12

  • 「気をつけろったって、これより気の付けようはありません。わるい事をしなけりゃ好いんでしょう」
    赤シャツはホホホホと笑った。別段おれは笑われるような事をいった覚はない。今日ただ今に至るまでこれでいいと堅く信じている。考えて見ると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しているように思う。わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊っちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。それじゃ小学校や中学校で嘘をつくな、正直にしろと倫理の先生が教えない方がいい。いっそ思い切って学校で嘘をつく法とか、人を信じない術とか、人を乗せる策を教授する方が、世のためにも当人のためにもなるだろう。赤シャツがホホホホと笑ったのは、おれの単純なのを笑ったのだ。単純や真率が笑われる世の中じゃ仕様がない。清はこんな時に決して笑った事はない。大に感心して聞いたもんだ。清の方が赤シャツよりよっぽど上等だ。

  • 言わずと知れた名作だけれど。
    本当にちゃんと内容を知っている人が、どれだけいるだろう。
    縁あって松山に行くことが多いが、今回改めて読んで、あまりにイメージと違いすぎていて仰天した。
    何かと見かける坊ちゃん団子などのイラストから、勝手に「坊ちゃんとマドンナは良い仲」なんて思い込んでいた。
    全然違う。
    松山が坊ちゃんを推すから、てっきり松山で面白おかしく嫌な教師をやっつける話と思っていたのに。
    全然違う。
    むしろ、なぜ松山は坊ちゃんを推す気になったのか、不思議でならないくらいだった。
    そして何より、あとがきと又聞きによると、この話で坊ちゃんがしたことの中には、作者の漱石自身が実際にしたことも含まれているらしいことが、驚きだった。
    何となく、『こころ』のせいなのか、漱石には知的で落ち着いた(そして色々な逸話から、神経質な)人だと思っていたのだけれど…思いの外、やんちゃだったのかも。
    数作品読んだくらいで、その人を知ったような気でいちゃいけないものだ。

  • なるほど楽しい。いや楽しい。読み始めた当初はこんなにものめりこむとは思いもしなかった。痛快というイメージだったが中々哲学チックな事を言っており、ぼっちゃんやるじゃない、と言ってしまうほど。後半は赤シャツシャツしていたがメランコリーな感じも一興。しかし東京を好きにはならない、田舎が好きです。

  • 四国の中学に数学の教師として赴任した江戸っ子 の坊っちゃん。校長の「狸」や教頭の「赤シャ ツ」は権力をふりかざし、中学生たちはいたずら で手に負えない。正義感に燃える若い教師の奮闘 の日々が始まる。

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