- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101117
感想・レビュー・書評
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中学生のころに少しだけ読んだが、いま読み返すと、全然理解できていなかった。でも、こういった内容はある程度人生を経験して苦労を重ねないと理解しづらい本だと思う。逆に言えば、あと10年後に読めば、また理解の幅が広がり、深い読み方ができるに違いないと思う。
両親と私
この部分は、自分自身が、「私」と似た感覚を持っており、自分と重ねながら読んだ。自分も故郷を離れて大学に出て田舎の両親と都会の人との違いについて、「私」に対して共感する部分が非常に多かった。ああ、昔からそういう感覚はあるのだなと自分の、ある意味若くて幼稚だった部分を少し正当化できたような気がした。
人間、ある程度、馬鹿でちゃらんぽらんなところがないと生きていけないなぁと思った。こうやって先生やKのように真面目な人は世の中を生きるのが辛くなってしまう。
もがきながらも生きることに意味があるという、そういう泥臭い人生観とは違う、繊細でガラスのような芸術家のような心をもった人が、昔の日本には多かったのかな。夏目漱石だけでなく、三島由紀夫、川端康成、芥川龍之介、太宰治。みんなそういった繊細さにおける共通点がある。
現代は、そういう繊細な美しさを感じる瞬間が少ない。テレビをみても下品なことばかり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔、教科書に載っていたのを読んで気になったので読んでみました。
さすが、の一言に尽きると思います。静かに展開されていく物語から、最後の最後まで目が離せない。言葉にはされていないけれど、読者が予想する最後は多分一緒。 -
明治天皇の崩御や乃木大将の殉死など、時代背景も手伝って全体的に重苦しい。先生のお嬢さんに惹かれる気持ち、Kに対する嫉妬、Kの自殺によって追い込まれる心境は文学の薫り高く描かれていて良かった。 でもいくつか疑問が残る。人付き合いの苦手な先生に、どうして外国人と海水浴に行くような機会があったのだろう? 私は先生のどこに惹かれて接近したのだろう?あまり魅力的な人とは描かれていないと思う。 私は父の死目に合えたのだろうか?危篤状態の父親を置き去りにするのほどの結びつきを理解することは容易ではない。
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まず、先生がなかなか秘密を告白しなかったことについて考えてみた。
「私」は、「先生」に出会い先生宅に通うようになってから、しきりに「先生」から何かを学ぼうとしている。そのため、「私」は「先生」の過去をも教訓として学びたく思っている。しかし、「先生」からすれば、誰にも語りたくない過去であり、この過去について「私」に話しても何も与える価値がなく、むしろ軽蔑され、また告白しても自分の罪意識は減らないと思い拒んでいたのではないか。
また告白をするには自らの死という意識がどこか片隅にあったのではないかと僕は考えた。
この部分は<夏目漱石のこころについて読みなおす>という本の作者であおる水川隆夫さんは次のように述べている。
【先生は昔犯した自らの罪について「私」に告白したところでこの罪意識は消えないと考えている。また告白は必ずしも告白した者が誠実である事を意味しないのである。告白による痛恨の真剣さを保障し他人に「教訓」を与えることを可能にするには、告白者の死しかないのではないかと思われる。】
このことにより、僕が考えたことは間違ってなかったことが裏付けられる。
また、<夏目漱石のこころについて読みなおす>を読んで、僕が「こころ」を読んだだけでは気づかなかった事も多く書かれていたことに気づいた。
例えば、「私」が父の病気のため故郷に帰る前に「先生」の家へやってくる場面だ。【先生の家には木犀の一株がある。その木犀は黒ずんだ葉に被われている梢を見て、来るべき秋の花と香を想い浮かべていた。すると先生宅の電灯がふっと消えた。】という文がある。これは、ある暗示を示しているというのだ。この黒ずんだ木犀は先生の暗い過去の秘密を表わしている。その木犀は秋になると、花を咲かせ、独特の香りを放つ。その香りは「先生」の感動的な死を表わしているのではないか。また「ふっと消えた電灯」は先生の暗示を表わしているのではないかというのだ。
僕が、この場面の文章だけでは到底このようなことを読みとることができなく普通に流して読んでいたのに対し、<夏目漱石のこころについて読みなおす>の作者水川隆夫さんは読み取り理解していた。
このように、僕が全く注目していなっかった文や段落について<夏目漱石のこころについて読みなおす>という本は細かく解説していた。この本を読むことにより、「こころ」だけでは気づかない事にも気付けたため読んで大変によかったと思う。
また夏目漱石の「こころ」という本自体も大変に面白く、後半の先生の過去について告白している場面ではこの物語に吸い込まれるように一気に読める。また「先生」の苦悩や文章中にまれに出てくる「先生」という人の本当の人柄は、読んでいて非常に考えさせられる。例えば「人間を愛し得る人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐に入ろうとするものを、手を広げて抱きしめる事の出来ない人―それが先生であった」である。これは、「先生」は本当のところ心のなかでは人に対し愛情があるのだが、Kに対する罪意識から表面には出せないという葛藤と長年戦っている様子が表わされた一文ではないかと思うのである。
ここでは到底書ききれないほどの素晴らしい本なので、ぜひ「こころ」と「夏目漱石のこころについて読みなおす」の2冊を読んでみて下さい。 -
物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
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返却:物性研図書室へ返却してください -
夏目漱石の代表作である「こころ」教科書に掲載されているので、読んだことがある人も多いと思います。
「こころ」は、題名のとおり、人の心の葛藤をメインに描かれています。
全てを通して読むことで、よりこの本を楽しむことが出きると思います。
今一度、読んで欲しい文芸作品です。(お肉) -
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登場人物が本当に生きているみたいな人間力があります。
その分読解は難しく一読では足りそうにありませんが、文体がすごく好みでした!