あめりか物語 (岩波文庫 緑 42-6)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003104262

作品紹介・あらすじ

明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」「支那街の記」-近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。

感想・レビュー・書評

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  • ★4.0 「夏の海」
    ★3.5 「船室夜話」「酔美人」
    明治時代に荷風が見たあめりかと現代のアメリカは根本的にはあまり変わっていないと思うのだけれど。荷風がもしあの時代に南部を訪れていたら、何をどう語ったのだろうか。

  • あめりか物語というタイトルから、アメリカの文化などを日本人から論ずる話なのかと思ったけど、
    俗っぽい話がメインで想像してたのと違って残念。
    時代だから仕方ないけど、男尊女卑的考え方も目立って途中で読むのが嫌になった。

  • ニューヨークは、ある意味、東京よりも古い都市であり、本著に描かれている情景を追えることが嬉しい。
    当時は、日系移民に対する差別や奴隷的な扱いもあったわけで、欧米に対する憧れや崇拝は抑制的になっているところが現実感があって好感が持てる。
    (立身出世物語では決してないところ)
    一方、駐在員の振る舞い等から、日本の封建的な考え方を批判する箇所も多く(父権社会、男尊女卑等)、荷風の作品のベースになっているところを垣間見ることができる。
    なお、これら批判を読み、今でも変わっていない閉塞的な日本社会にうんざりする気持ちを抱く。

  • 濹東綺譚を読んでから興味を持ち、先にふらんす物語を読んだがよくわからず、今回あめりか物語を読んでなんとなく流れがわかった。
    文学的には確かに凄い人なんだろうなと漠然と感じるが人間としてはどうだったんだろうか、今でいう精神病の類とも思われるような感じか、でなくば相当の堕落者だったのではないかと思う。
    武士の家系で金持ちで、若い頃から廓に入り浸って、父親が心配してアメリカの横浜正金銀行に入れ、アメリカと仕事が嫌だと我儘いって親のコネで渡仏し、そこでこのあめりか物語とふらんす物語を上梓して一躍注目を浴びた、という略歴らしいが、家が金持ちでなかったらただの自堕落。慶應大学に友達の薦めで赴任し、その間も夜の街で女遊びしていたとか。ある意味で一貫性があって良いと思うが、結局金持ちだからできたこと。
    作品は好きだが、つくづく人間は屑だなと感じる。

    なお、今作は当時だから持て囃された訳であって、今の感覚で読むとダカラナニ?と言いたくなるくだりが多く、明治の文学事情をある程度理解していないと読んでいて辛いと思う。しかも解説によると一部あるいは殆どあるいは全部が創作で、事実を書き留めたものではないらしい。確かに読んでいてようもここまで上手い話が集まるなと半信半疑だった。解説自体も少し無理して書いている感があった。

  • 時代で仕方がないのだろうけど、女性蔑視がひどくて耐えられない

  • 荷風がアメリカ・フランス滞在を経て世に問うた外国見聞録といったところでしょうか。明治の終盤の日本人は、そのわずか50年前頃の江戸時代末期における日本人とどう違っていたのでしょうか。
    非常に興味深く読めましたが、どこか、荷風の視線に違和感を禁じられませんでした。

  • 「日本人といえば非難と干渉の国民」という息苦しさに辟易として渡米した荷風の目には、成功するも落ちぶれるも自らの意志・責任という単純さが眩しくてたまらないようでした。

  • 寝取り・寝取られ話が多い。昔の高等遊民とは確かに自堕落だ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701398

  • 荷風さんがあめりかで感じた新鮮な刺激がとても素直に表現されていて、心地いい。また荷風さんらしい、洒落てスパイス纏ったユーモア知性が読み手をほんのりくすぐってくれる。

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著者プロフィール

東京生れ。高商付属外国語学校清語科中退。広津柳浪・福地源一郎に弟子入りし、ゾラに心酔して『地獄の花』などを著す。1903年より08年まで外遊。帰国して『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表し、文名を高める。1910年、慶應義塾文学科教授となり「三田文学」を創刊。その一方、花柳界に通いつめ、『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』などを著す。1952年、文化勲章受章。1917年から没年までの日記『断腸亭日乗』がある。

「2020年 『美しい日本語 荷風 Ⅲ 心の自由をまもる言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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