猫町 他一七篇 (岩波文庫 緑 62-3)

著者 :
制作 : 清岡 卓行 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 930
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003106235

感想・レビュー・書評

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  • 高村光太郎ともに口語自由詩を完成させ、現代詩人に大きな影響を与えた朔太郎は、マンドリンを奏でたり、マジックを楽しんだり、ミステリーを好んだりと、実にハイカラな人だったようです。本書に収められている「老年と人生」という作品の中にもあるように、芸術家としてかなりのナルシストだったのかもしれませんね。そのためかどうか、朔太郎も私生活ではいろいろあったようですが、本作に登場するアナトール・フランスの、「神が何故に人間を、昆虫のように生態させてくれなかったのか」という言葉には、思わず頷かされました。

  • 朔太郎の作だもの、
    日本語の美しさは、保障されているのだ。

    ねこだましー!

  • 猫です。

  • きれいなにほんご。装幀も読みやすかったような。
    詩集買いましょうかね。

  • 「猫文学」というジャンルが、この国にはたしかにあって、それは愛猫との蜜月を滑稽に、時には哀愁や皮肉を交えて綴ったものと、猫を魔性のもの、いわゆる妖怪的な存在として描いているものと二種類あると思う。表題作や「ウォーソン夫人の黒猫」なんかは無論後者、ポーの「黒猫」の子孫というべきでしょう。こねこねこのこねこのここねこ。

  • 黒猫がツンと澄ましていた。
    数匹が日なたで井戸端会議を開いていた。
    シッポを逆撫で威嚇された。
    猫は、日常だった。

    物をあべこべに捕らえられれば、
    きっと世界はもっと面白いに違いない。
    ぼくは正常でまっとうなのに、世界はあべこべ。
    人は猫男爵。影に潜む猫の陰謀。
    なぁんて、ふっと、ふらっと迷い込む世界。
    例えば旅の途中、知らないはずの町のデジャヴは、
    猫町と同じ趣のある、日常的な非日常。
    幻想を抱いた素敵な心地よさがそこにある。

    なんだか、やっぱり旅に出たくなった。

  • 猫は可愛くないっていうか怪奇的な象徴の猫ですがそれでも引き込まれる怪しい猫と、その街並み。ショートフィルムを見たように映像が浮んでくる話です。「この手に限るよ」が結構好き。

  • 幻想とリアリズム  題名引用の京都にある洋食屋も優れている。

  • 読んでみたかった本。面白かったといえば面白かったが期待した程でもなかったな…。

  • 有名な猫町は詩的で静かかつ華やかな描写にうっとり。凄く短い話なのにひきつけられます。ウォーソン夫人の黒猫も面白い。ふとした日常の狭間に潜む狂気の魅せ方が、さすが。

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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